日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

今の政治刷新本部は政治不信を高めるだけ

2024年01月13日 18時25分44秒 | 日々雑感
 派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、自民党は1月11日、再発防止策や派閥のあり方などを議論するために設置した「政治刷新本部」の初会合を開いた。冒頭、岸田総理大臣は「国民の厳しい目、疑念の目が注がれている。信頼回復のため、日本の民主主義を守るためには自民党がみずから変わらなければならない」と述べたが、具体的な方策は示されず、指導力の欠如が印象に残っただけだ。同本部の最高顧問には、首相経験者の菅義偉氏と麻生太郎副総裁が就いたが、この人事は恐らく首相自ら決めたのであろうが、この騒ぎを無難に沈めることを期待しているとしか思えない。

 その他のメンバーは誰が決めたのであろうか。主要メディアが指摘するところであるが、最大の疑問はこの不祥事の主役の安倍派から10名も加わったことである。しかもメンバー入りした10議員のうち9人がパーティー収入の一部を裏金にしていた疑いがあることが分かったそうだ。彼らは取材に対し無言を貫いているが、国民の信頼回復の為に事実をぶち明けようとする意思があるとは到底思えない。恐らく内心の気持ちは、支援者には金の亡者が多く政治家には表に出せない金が必要だと言うことであろう。確かに多くの支援者の中には金で動く人間もいるだろうが、何のために政治家をやっていると聞きたい。

 1900年代中ごろ活躍した政治家の石橋湛山氏は井戸塀政治家として有名であるが、 国事のために自らの財をはたいて奔走し、結局残ったのは「井戸」と「塀」だけという殊勝な政治家のことである。通常国会が終盤を迎えていた昨年6月初め、与野党の国会議員44人が議員連盟「超党派石橋湛山研究会」を発足させたのは、現在の不祥事を予想していたためではないだろうか。この議員連盟の会員に「政治刷新本部」に招かれた人はいるのだろうか。

 さて、先述の会合では、無派閥の菅前総理大臣等が、信頼回復には党として明確な対応を打ち出す必要があるとして、派閥を解消すべきだと主張した一方、党内には派閥に所属する議員を中心に、若手の人材育成など担ってきた役割もある、等として解消に否定的な意見も根強くあったそうだ。自民党を含め国会内には、議員連盟や勉強会等と称するグループが多数存在する。先述の石橋湛山研究会もその一つである。派閥を必要と主張する人から、派閥を人事の調整や資金集めを行わない、政策を研鑽するための組織とする案を出ているが、これまでの派閥で政策を議論した事例は一つもないとのことだ。何とも情けない話だ。

 今月中に中間的な意見の取りまとめを行う方針だそうだが、国民の信頼回復につながる踏み込んだ改革案を打ち出せるかが最大の焦点となる。国民が納得できる改革案が示されなければ、岸田政権の浮上どころが、一層の沈下を招くだけになろう。2024.01.13(犬賀 大好ー975)

安倍元首相のくびきが無くなった特捜部はどこまでやるか

2024年01月10日 09時22分05秒 | 日々雑感
 東京地検特捜部が自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる事件で、派閥からおよそ4,800万円のキックバックを受けたとみられる池田衆議院議員を1月7日に逮捕した。

 これに先立ち同特捜部は昨年12月28日には東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反容疑で、衆院議員の柿沢前法務副大臣を逮捕している。柿沢議員の事件は個人の起こした事件であるが、池田議員の事件は政治資金が絡む事件で自民党、特に安倍派全体が関係し、安倍派のみならず自民党が分裂する可能性がある事件と解説する識者もいる。

 岸田文雄首相は4日、官邸で年頭記者会見を開き、自民党派閥による政治資金パーティー裏金問題を受け、新たに設ける政治刷新本部を通じて自民党の体質を刷新すると述べたが、同本部の最高顧問には、首相経験者の菅義偉氏と麻生太郎副総裁を据えると聴き、刷新も中途半端に幕引きされると確信した。この顧問の二人は安倍長期政権の重臣で、政治資金を巡る不祥事の温床を作った張本人と見られ、派閥のあり方等抜本改革を目指す体質刷新には一番不適切な人間と思われるからである。

 安倍派の主要幹部は特捜部の任意聴取を受け、更に逮捕者が出るに及び、派内には人身御供だという不満が募っているようだが、当面は岸田首相の判断に従わざるを得ない状況だ。安倍派閥の会長も決まらないまま幹部間の綱引きが続いていたが、裏金問題の急浮上で益々分裂に向かう可能性が大きくなったようだ。

 岸田首相は13日の記者会見で何時ものように、先頭に立って戦っていく、と述べたが、積極的に動く気配は感じられず、自分が何をしなくても安倍派が自然崩壊するだろうと心待ちにしている感である。また自民党の刷新の責任は前述の二人の顧問に取ってもらおうとする考えではないかとも勘繰る。本当にそこまで考えているとすれば、岸田首相は普段の自信の無い言い方に似合わない腹黒い策略家だ。

 自民党の主要な派閥は2021年までの4年間にあわせておよそ4000万円分の政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に適切に記載していなかったとされているが、桜を見る会の問題は2019年の事件であり、この頃から安倍一強政治の驕りが高まったと考えられる。

さて、これ程までに自民党、特に安倍派が問題を起こしている原因の一つは、桜を見る会等で不祥事を起こしているに拘わらずいずれも不問に付した検察特捜部にあると思われ、ここにきて特捜部が積極的に動いているのは安倍元首相の死と関係があると思わざるを得ない。

 2020年5月、賭けマージャン問題が浮上したことで、当時東京高検検事長であった黒川氏は辞任したが、検事総長に就任するとの噂もあった。さて、2021年、前年まで法務大臣を務めていた河井氏が東京地検特捜部によって公職選挙法違反の容疑で逮捕され、更に同年9月に持病の再発を理由に安倍氏が首相を辞任し、2022年7月に街頭演説中銃撃を受けて死亡したことで、特捜部の動きが一層活発になったようにみえる。

 黒川氏の辞任がターニングポイントになった感があり、やはり安倍政権と検察庁あるいは法務省の間で様々な駆け引きがあったのではないかと思わざるを得ない。安倍元首相のくびきが無くなった特捜部がどこまでやるか見物である。2024.01.09(犬賀 大好ー975)

トランプ前大統領の復活なるかの

2024年01月06日 10時40分40秒 | 日々雑感
 今年2024年米国最大のイベントは11月5日の大統領選挙だろう。米国のイベントであるが、日本にとっても影響は非常に大きい。さて、今月15日にはアイオワ州の共和党大会が開催され、候補者レースが正式に開始される。現段階において、トランプ前大統領が60%以上の支持を得て独走状態にあり、フロリダ州のディサンティス知事に大きく水を開けているようだ。

 しかし、2021年1月の米議会襲撃にトランプ氏が関わったことが、反乱に関与した人物の公職就任を禁じた合衆国憲法の修正条項に触れるとして、同氏の立候補資格の剥奪の訴えが全米の半数以上の州で出され、複数の州の裁判所で審理されているとのことだ。コロラド州最高裁は、昨年12月19日にトランプ氏の同州予備選への出馬を認めない判断を下している。メーン州の州務長官も先月28日、立候補資格を認めない判断を示した。一方、米ミシガン州の最高裁判所は先月27日、資格剥奪を求めていた有権者団体の上訴を却下し、トランプ前大統領は2024年大統領選の同州での予備選に立候補できるとの判断を下した。

 また、アメリカのコロラド州の裁判所が先述の様に立候補する資格がないと判断したが、トランプ氏は不服として連邦最高裁判所に上訴した。トランプ氏はこれまでに様々な訴訟を受けており、日本であればとっくに政治生命を失っていると思われるが、訴訟社会の米国ならではの話か、トランプ自身の個性か、しぶとく生き残っている。

 バイデン、トランプ両氏はいずれも党の予備選で対立候補の挑戦を受けそうだが、結局は大統領候補に選ばれる可能性が高い。バイデン氏は高齢が憂慮され、トランプ氏は数々の刑事訴追を受けているにも拘わらずだ。

 2024年米大統領選でバイデン大統領とトランプ前大統領の二者択一を迫られそうな事態を前に、米国内では次世代の指導者を求める声が広がっているようだ。最近の世論調査では、米国の成人63%が第3の主要政党が必要という考えに同意したそうだ。この割合は1年前から7ポイント上昇し、この質問を行った2003年以来で最も高かったそうだ。

 共和・民主両党は民意を代弁するという仕事をまともに果たせておらず、現在、政治は完全に二極化してしまっている。特に、ウクライナ紛争とイスラエル紛争ではダブルスタンダードとの非難を世界から浴びているが、その解決策を見出していない。多くの米国民は、もっと若くて国を分断しない別の選択肢を切望しているのだろう。

 この声を受けてか、2人の無所属候補が参戦している。進歩派的な活動家コーネル・ウェスト氏と、最近民主党を離党したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏だ。今回の選挙は、バイデン大統領とトランプ前大統領の接戦となる可能性が高いが、第三党の人物にわずかな票が流れるだけでも、選挙結果に大きな影響が及ぶ可能性があるそうで目が離せない。
2024.01.06(犬賀 大好ー974)

技能実 習制度の廃止は時代の流れ

2024年01月04日 10時13分09秒 | 日々雑感
 2024年が始まった。只今日本は少子高齢化の真っただ中、昨年はコロナ禍が去り、サービス業等における働き手の人材不足が顕著になっている。今年は、2017年に政府が示した「働き方改革実行計画」により、勤務時間の制限厳格化により運送業等におけるドライバー不足等、更に大阪万博における建設業における作業員不足も重なり、人材不足がこれまで以上に社会問題と騒がれるだろう。その対処策の一つとして外国人労働者の活用が注目される。

 これまで日本は移民を認めておらず、外国人労働者の活躍の場は技能実習制度によるところが大きかった。この制度はあくまでも国際貢献を名目にした出身国への技術移転を大義名分にしていた。しかし、実体日本の労働力不足を補う背景もあり、厳しい職場環境に置かれた技能実習生の失踪が相次ぎ、政府の有識者会議は今の制度を廃止するとした最終報告書を昨年11月にまとめたのだ。正式な変更はこれからの予定となっており、遅きに失っしている感もする。新たな制度は実態に合わせて、人材の確保と育成を目的とし、名称も「育成就労制度」に変えるとしているが、育成就労制度と名前を変えても、これまでの特定技能制度は引き続き残すようで、このために育成も目的の一つとしているのだ。

 育成就労制度においては、基本的に3年で一定の専門性や技能を持つ水準にまで育成する。専門の知識が求められる特定技能制度への移行には、技能と日本語の試験に合格するという条件を加える。また、これまで原則できなかった別の企業などに移る「転籍」は、1年以上働いたうえで、一定の技能と日本語の能力があれば同じ分野に限り認めることにするとした。

 特定技能制度は1号と2号があり、日本への永住につながる「2号」の対象は現在、建設と造船・舶用工業に限られているが、農業、漁業、飲食料品製造、外食等、11分野に広げる政府案が昨年5月に、自民党の外国人労働者等特別委員会などの合同会議で了承された。1号では家族同伴は許されなかったが、2号では許される為、近年異常な円安で日本で働く価値が低下したとは言え、安心・安全な生活が送れる日本への希望が増加することを期待したい。

 ドイツも日本同様少子高齢化で人手不足が深刻になっているため、外国人労働者の受け入れに積極的である。2025年ごろにベビーブーム世代が退職した後、どう人材を確保するかが課題になっているが、この件とは別にドイツではシリア等からの難民が急増して社会問題化しており、外国人の受け入れに関しては日本以上に複雑な問題を抱えている。

 人手不足は経済成長の妨げになるため、岸田首相も少子化対策を掲げているが、日本人だけの枠内では限りがあり、外国人頼らざるを得ないところが出てくるだろう。育成就労制度もその一つであるが、これだけでは十分ではない。外国人の増加は治安等様々な問題を引き起こすだろうが、避けて通れない問題である。2024.01.04(犬賀 大好ー973)