「こころを生かす」 酒井 大岳著を読んだ時に、本の中に書かれ
ていた、中村 久子さんのこと、しもやけが原因で、突発性脱疽とい
う病気で、両手、両足を失った方です。
昨年のブログにも、取り上げましたけど、本を読んでみたいと思い、
書店に取り寄せをお願いして、買って読んだ本です。
「中村 久子の一生」 瀬上 敏雄著
満2歳の時かかった突発性脱疽にて、高い熱のため、肉が焼け、
骨が腐ってゆく、恐ろしい病気にかかり、両手、両足を失ったのです。
母や、祖母の厳しくも、あたたかい教育と、つねに、前向きに生きよう
とした、久子自身の努力によって、口と短い腕を使って、裁縫、編物、
字を書くこと、炊事、選択、掃除も、人としてしなければならないことは、
なんでも、出来るようになったのです。
手足の無い人間が、生きていくには、その手足の無い姿で、裁縫し
たり、字を書いたりして、人々に見てもらって、生きる見世物の世界し
かないと、苦しみ考えたすえに決心して、「だるま娘」の呼び名にて、
26年間見世物芸人としての生活を、続けていたのです。
一度死を決意した母親・あやですが、
「母（かか）さまは、死のうとしている、母さま、死ぬのはいや！」
と久子の言葉に、思いとどまり、
「手足が無いからといって、ただ、可愛そうと盲目的な愛情で、可愛が
るだけでは、これからの久子は、どうして生きてゆくことが、出来るでし
ょう」と
「久子を自分一人で生きられる、強い人間に育てよう、そのために
今日から鬼になろう」と、着物をほどいて、洗い張りから教え始めたの
でした。
思うように使うことが出来ない挟みを、投げ出して、泣きだしても、母
は許してくれませんでした。
「最初のひとつが出来なければ、これから先何一つ、出来なくなってし
まうのですよ。なんとしてでも、自分で工夫してやりとおすのです」
久子は傷害の身を、自分が克服するほか道はないと、自分に負けて
はならない」と頑張って、裁縫、編み物、字を書くことなど、出来るように
なったのです。
母、あやは出来ることなら、手を差しのべてやりたい、見ている方が
辛いのです。しかし、一度手を出してしまえば、久子は人を当てにす
る、甘えをもってしまう、久子のために、心を鬼にしなければ・・・と自分
にいいきかせる。
「どんなことでも、やれば出来るのです。出来ないというのは、わがま
まだからです。どこまでも、自分で考えてやりなさい」
強い母の言葉に、久子はふるいたったのです。
＊＊＊ 文中より ＊＊＊
久子さんの言葉。
「私を本当の人間にしてくれたのは、手足のない自分の体でした」
昭和12年、23年、30年とヘレン・ケラー女子と3回会見している。
昭和36年5月、身体障害者の代表として、天皇陛下と拝謁。
昭和43年3月19日、71歳にて永眠。
（国から障害者にもらえるお金を、手足が無くても働けるからと
久子は、もらいませんでした。）
著者のあとがきより
ゆたかな物質に恵まれながら、感謝の心を失い、みんな自分本位に
なった。こころの貧しくなった今日の時代、手足のない、いのちを真っ
正直に生きられた久子さんが、一層懐かしく思えます。
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立派な祖母（のことは書きませんでしたが・・）と、母であったと思います。
こころを鬼にして、辛かったと思います。
きびしい、あたたかい教育をしたお二人に、頭の下がる思いです。
ウオーキング～強風のためお休みする