(2011.02.05 訪問)
実は世尊寺から帰途、巨勢路にまわりユニークキャラクターの仁王さんがいる八
紘寺を訪ねようと勇んで走ったもののナビのない悲しさか、古瀬の集落をうろう
ろ聞きまくり、探しまくったのですがついに発見できず断念。どうも東西を間違
えて探していたようです。
葛城山から二上山を左に見て葛城古道を走っていると当麻寺、石光寺の表示が目
に入りました。通常当麻寺、石光寺はセットで拝観しますが、この日は「そうだ
石光寺へ行こう」で気がついたら山門前の駐車場に着いていました。
このお寺も花の寺、特に牡丹の寺として有名ですネ。今は寒牡丹も終わり、藁ぼ
うしが主のいないまま広い境内で寂しそうに並んでいます。
[ 石光寺 ] せっこうじ
●山号 慈雲山(じうんさん)
●院号 普照律院(ふしょうりついん)
●寺号 石光寺(せっこうじ)
●宗派 浄土宗
●開基 天智天皇
●開山 役小角
●本尊 阿弥陀如来坐像
石光寺縁起
670年天智天皇ころ、この地に光を放つ石があり、まわりを掘ると弥勒三尊の石
像が出現、天皇の命により、役小角が弥勒如来を祀り、石光寺の名を賜ったのが
始まりだそうです。
▼山門。
季節が季節ですので冬景色ばかりですが、いつ訪ねてもきれいなお寺です。
▼想観の沙。
山門を入るとスグ前に盛り砂があります。手前が方形、此岸(迷い)ボク達衆生
の世界を表し、後方が円形、彼岸(覚り)仏の世界を表していると云います。
▼本堂。
▼本堂偏額。ユニークな書体、常行堂と書かれています。
▼本堂内陣。
本尊 阿弥陀如来坐像を祀り、内陣須弥壇の荘厳はキンピカ!
▼弥勒堂。
本尊 弥勒如来坐像。
この日は開帳期間が過ぎていたのかお堂は閉じられていました。
近年発掘された開山当時の石光寺本尊、弥勒石仏の頭・体部が祀られているそう
で、二上山の凝灰岩で彫られた白鳳仏だそうです。
▼染の井。
このお寺はお隣当麻寺と同様、中将姫の伝説に彩られています。中将姫が当麻寺
にこもるうち霊感を得て蓮の茎を集め、糸を繰出し、この寺の庭に井戸を掘り、
糸を浸したところ五色に染まった。それがこの染の井と云われている井戸の伝承
です。お話はこのあと当麻曼茶羅へと続くのでございます。
▼塔心礎。
相当手の込んだ心礎で、三段に掘られています。この塔心礎がこのお寺のものだ
とすると、いまの寺観からは想像も出来ない大きなお寺だったのでは。
▼蝋梅。
どこで見ても、蝋梅の黄色は云いようのない美しさです。
▼境内。
▼鐘楼。
▼十三重石塔。
▼境内。
藁ぼうしが並んでいますがすべてが空き室です。
▼石仏。
まるでソフトクリームがとけだしたような仏様。如来形だと思いますが、説明が
ありません。
▼蝋梅。
もう~イヤになるくらいの美しさです。
▼百日紅。
見て下さい、根性曲がり放題!捻れ放題!さるすべりの大木。なんぼなんでも猿
は滑り落ちないよネ。ボクでもハンモック代わりに寝られそう。
相当な樹齢、ずっと昔からあるそうです。
国中(くんなか)から西方二上山の雄岳と雌岳の間に沈む夕陽を古人はその向う
を西方浄土と見た。その神々しい山の麓に石光寺はあり、いろいろの伝承に彩ら
れその地に法灯を守っている白鳳の古寺です。残念ながら開基開山の天智天皇や
役小角の由緒は石標に刻まれた文字にしかボク達は感じることが出来ませんが、
往時の権力者の寺に対する思いは巨大寺院や由緒正しきお寺を見るたびに、なみ
なみならぬ檄を感じます。