土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

吉野水分神社、神の聖域を独り占め。

2013年02月22日 | 奈良の古寺巡り


(2013.02.16訪問)

金峯山寺の参拝を終え、塔頭喜蔵院で孔雀の相手をしましたが、全然相手にされず、それではと上千本を目
指すことにしました。
最初は行く気マンマン、すぐにマン、そしてヘト、やがてヘトヘト…。
キツイ坂を上るにつれて、雪が目立って来ました。道はジュクジュク、一台タクシーが行きましたが、それ
以外動くものはいません。朱色の鳥居が見えました、 ホッ!

▼上千本付近から吉野の山々。




[ 吉野水分神社 ]
●社号 吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)
●開創 不詳
●社格 式内社 旧村社
●祭神
 正殿 天之水分大神 (あめのみくまりのおおかみ)
 右殿 天萬栲幡千幡姫命 (あめよろずたくはたちはたひめのみこと)
    玉依姫命 (たまよりひめのみこと)
    天津彦火瓊瓊杵命 (あまつひこほのににぎのみこと)
 左殿 高皇産霊命 (たかみむすびのみこと)、少彦名命 (すくなひこなのみこと)、御子命
▲奈良県吉野郡吉野町吉野山字子守1612 電話/07463-2-3012
▲近畿日本鉄道阿倍野橋駅から特急吉野行きで終点吉野駅、ロープウエイ千本口駅から吉野山駅。
シーズン中は吉野駅、吉野山駅から奥千本行バス便がありますが、冬期は運行していません。
タクシーか歩いてください。詳細は吉野大峯ケーブル自動車のHPをどうぞ。

吉野水分神社縁起 (鳥居前案内板から抄出)
創立年代は不詳ですが一千年前の延喜式神名帳にすでに大月次、新嘗に案上官幣に預る旧社にて大和四処水
分の第一として記され吉野八大神祠の一社で、俗に子守大明神と申されます。水分とは「水配」の意味で水
を程よく田畑に配分する神様で、毎年四月三日に五穀豊穣を祈る御田植祭が盛大に行われ、その神事は吉野
町の無形文化財として指定されています。
当社が子守の神になった事については「水配」が「みくまり」「みこもり」 「こもり」と転訛して子供を護
る神、子供を授ける神になったと言われています。

▼鳥居。




▼神社案内板。




▼立派な楼門です。昭和六十二年解体修理されたそうで、古色の境内の中では異彩です。




▼正面から楼門。重層、入母屋造、橡葺(とちぶき)、十二脚門。




▼境内。右に本殿、左に拝殿、正面幣殿。
社殿がコの字形に配されたこじんまりとした境内は、人の気配なし、物音なし。




▼三棟一体の本殿 (重文)。中央春日造、左右流造、檜皮葺。慶長九年 (1605年) 豊臣秀頼再建。
棟をつないだ建築様式で水分造 (みくまりづくり) というそうです。




▼右殿(重文)。




▼正殿(重文)。




▼正殿(重文)。




▼左殿(重文)。




▼幣殿に祀られている子守大明神。切妻造、柿葺。




▼豊臣秀頼寄進と伝わる神輿。幣殿左右に二基置かれています。




▼境内。手前右にしだれ桜。これがまた凄いらしいですよ。




▼拝殿のつらら。




▼拝殿の吊り燈籠。これは新しいものです。




▼枝に雪。なんの木か知りませんが芽吹いています。春待ち雪のオシャレな姿。と思いません?




▼道端に役行者。
この前の道を右に行くと、奥千本で僅か3キロほど。もう行く気はありません、絶対に! 




▼神社から少し下ったところからの眺めですよ。




▼よくぞ来たものよと感無量! 中央上、蔵王堂ですよ。




深閑とした吉野山中、雪景色の中に鎮まる吉野水分神社は、小さな神域に歴史の星霜を経た悠久の時が留ま
り、静かな祈りの世界がここに在る、そんな精神の聖域を、凛とした静寂の中、今、独り占めしています。
きらびやかな大神社のあの雰囲気はここには有りません。静です、閑です、物音一つしません。

桜シーズンになると、そんな感傷は何処かに吹っ飛ぶそうです。