(2015.09.05訪問)
大和朝廷に匹敵する古代王朝葛城王朝があったかどうかは知りませんが、大和国中の西端、金剛葛城山麓には古の栄華
の跡が、此処彼処に伝承されているようです。葛城王朝の祖葛城襲津彦の娘、磐之媛が夫仁徳天皇に愛想を尽かし望郷
の念を歌に託した
…… 奈良を過ぎ 小楯 大和を過ぎ 我が見が欲し国は 葛城高宮吾家のあたり
この歌の「葛城高宮吾家のあたり」は、今日訪ねる九品寺の少し南、葛城山麓に在ったと記紀は伝えています。正か否
は別にして、いにしえの伝承が今に語り継がれるのはのには、やはりそれなりの理由があるのでしょう。この葛城一帯
に何がしかの力を持つ勢力が居たことの証ではないだろうか。
そう云った古い伝承と古代ロマンを併せ持つ地域に石仏の寺、九品寺は在ります。
久々に大和路号は、大和路葛城古道を走っています。
▼葛城古道、楢原バス停横の寺号石標。左の小径を山手に入ります。
[ 九品寺 ]
●山号 戒那山(かいなさん)
●寺号 九品寺(くほんじ)
●宗派 浄土宗(じょうどしゅう)
●開基 伝 聖武天皇(しょうむてんのう)
●開山 伝 行基(ぎょうき)
●開創 不祥
●本尊 阿弥陀如来坐像
▲拝観料 境内自由 無料駐車場あります。
▲拝観時間 自由
▲奈良県御所市楢原1188 電話0745-62-3001
▲ 近鉄御所線「御所駅」下車 奈良交通バス「くじら口」下車 徒歩約25分
御所コミュニティバス「楢原」下車 徒歩約5分
▼山門、真ん中を通ろうと左右から通ろうとご自由にどうぞ。
九品寺縁起 (九品寺パンフから抄出)
金剛葛城山系に栄えた戒那千坊の一院で、奈良朝聖武天皇のとき、僧行基が開創されたと伝えられ、その後永禄年間弘
誓大和尚が専修念仏の道場とされて以降、浄土宗に属している。
▼参道です。
▼参道石段先の屋根は本堂です。
▼寺号石標。
▼石段左に切妻屋根に本瓦葺、袴腰の立派な鐘楼。梵鐘は慶長十五年(1610年)の鋳造銘が刻されているそうです。
▼龍水口の手水鉢。
▼こじんまりとした境内の一部。
▼本堂。本尊 阿弥陀如来坐像(重文)。
桁行五間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺、一間向拝付。明和五年(1768年)再建。近年平成大修理が行われている。
寺務所で本堂拝観をお願いしたんですが「当寺は拝観寺院ではないので」とやんわり断られました。
▼本堂正面です。
▼戒那山と書かれた扁額。
▼小窓から覗いた須弥壇、中央が本尊の阿弥陀如来坐像(重文)。像高123cm、木造、平安後期。
内陣は一段高い四本柱に囲まれ、奥の須弥壇に本尊がお坐りなんですが、ほとんど尊顔は拝せません。残々念々!
▼本堂前に行基さんがお立ちです。
▼地蔵堂。変形方四間、宝形造、本瓦葺。ガッチリ施錠されていて内部は窺えません。
▼地蔵堂扁額。
千体石仏オンパレードの本堂裏山へ行ってみましょう。
200年程前、境内開墾の時に土中から堀だされたものを現在のように配置されたようで、南北朝の頃、この地の南朝方
豪族楢原氏の城兵士が身代わりに奉納したものらしくそのため「身代わり千体地蔵」と云われている。1600~1700体
はあるそうです。
▼細い参道法面には石仏がズラリと…、
▼並べられ…、
▼お地蔵さんも石窟にお立ちです。
▼参道から見晴るかす、御所の町から遠く明日香まで、パノラマビュー!
▼こんな石段参道の先に…、
▼出ました石仏ピラミッド、千体石仏オンパレード!
▼お顔や姿かたちは定かにあらず、
▼時の流れの苦悩を一心にあびた末の姿なのか。
▼異形灯籠、テッペンに梟がとまっています。
▼千体石仏大雛壇から少し離れた所にもこぼれ陽石仏が。
千体石仏に圧倒されたあとは、十徳園庭園へ行きましょう。
▼本堂からの石段を下り、山門左右には、
▼十徳園庭園が広がり、西国三十三カ所観音のミニ霊場を巡ることが出来ます。
霊場各寺の観音石像が安置されています。
▼山門右には池泉回遊式庭園が…、
▼いろんな表情を見せてくれます。
▼咲き残りの白い百日紅や…、
▼薮欄らしき紫の小花が池畔を彩り…、
▼鯉が悠然と泳いでいます。
植栽の見事な刈り込みや、もみじや桜の樹々が今は青々としていますが、シーズンの彩りはさぞやの感がします。
▼東を見れば大和三山耳なしと畝傍の神山が…、(香具山が写ってないのはご愛嬌と思って下さいネ)
▼西を見れば葛城の峰々が、往古の繁栄を知ってか知らずか、葛城王朝の夢のあとは今静かに時を紡いでいるようです。
▼ご朱印です。
赤いよだれかけを付けてた夥しい石仏の数に圧倒されますヨ。
殆どの石仏は風化、摩耗、欠けなど風雪遺憾ともし難くの姿ですが、しかし整理整頓され規則正しく安置されているの
を見ると、この地域における信仰の深さを見たような気がします。チョット異様な感じもしないでもありませんがネ。
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