ワールドカップ目前の選手の怪我

　１９９８年のロマーリオ
　２００２年のベッカム
　そして２００６年のトッティ

　上記３人の選手に共通する出来事は、ワールドカップのエントリー直前に故障を抱えており、ファンとメディア、そして監督をやきもきさせた事です。結局ロマーリオはエントリーされず、記者会見で号泣し、ベッカムの脚を骨折させてしまったアルゼンチン人のドウーシェルは、英国のファンから非難轟々でした。（１９８６年ワールドカップから続く、両国の背景も背後にはあると思います。）

　「家に帰ったら１０歳の娘に、トッティに怪我をさせちゃたんでしょ。パパは刑務所に行かないと行けないの？」

　この言葉はトッティに重傷を負わせてしまったヴァニーリが、帰宅して娘さんに聞かれた言葉だそうです。この談話はワールドサッカーダイジェストの２００６年３月１５日号に掲載されていますが、ワールドカップを目前にしたこの時期、怪我をした方もさせてしまった方も、落ち込むなという方が無理ですね。

　だからといってタックルやチャージを試合中に回避することは難しいですし、空中戦での競り合いやゴール前のＧＫとストライカーの攻防など、接触プレイはサッカーの醍醐味のひとつですしね。非常に難しいところです。

　仮に無事エントリーできたとしても、代表キャンプや親善試合で故障してしまう危険性も、十二分に注意しないといけません。

　２００２年のフランスは、韓国戦で負傷したジダンの代役が立てられず、そのまま空中分解してしまいました。よもや前回チャンピオンが、予選リーグで敗退してしまうとは、フランスの関係者はもとより、世界中のジャーナリストでさえ予期できなかったことでした。

　フランスはジダン不在のシミュレーションとして前年のコンフェデ杯をヨアン・ミクー、そしてワールドカップ本戦にはジョルカエフをエントリーしましたが、結果は残せませんでした。
　彼らのワールドカップはジダンが負傷した時点で、終わっていたのかもしれません。

　今世界中の代表監督が主力のコンディションに頭を悩ませていると思います。
　その悩みはニュージーランドや北朝鮮のような初出場に近い国、スペインやブラジルのような優勝候補でも何ら変る事の無い悩みです。
　
　つくづく代表監督というのは、気が休まらない仕事だと思います。どんなリスク・マネージメントを考えても、選手の故障は自分の手の届く範囲の外での出来事ですからね。そして親善試合の数は既に限られた数となっていますし。心中は穏やかではないでしょう。