1970年ワールドカップ、2大会ぶりの優勝を目指すブラジル代表は8強で前回優勝国、イングランド代表と対戦します。
ブラジル代表にはペレのほか、カルロス・アルベルト、トスタン、ジャイルジーニョにクロドアウドが控える
イングランド代表には主将のボビー・ムーアのほか、ボビー・チャールトンにゴードン・バンクスが控える
というまさに8強でありながら決勝戦のような大戦でした。
特にボビー・ムーアとペレが握手を交わし、完璧とみなされたペレのヘディング・シュートを右手一本でかきだしたゴードン・バンクスの一世一代のプレイ。
この試合を現地観戦できた方は、本当に幸福だったでしょうね。
この時のワールドカップは16カ国という、まさに強豪だけで争う形式であり、今よりも優勝ははるかに困難な時代でした。
またペレとムーアの握手もそうですが、そこには敬意と尊敬、愛情が間違いなく存在していたと思いますよ。
ですからブラジルの方が
「ネイマールは簡単に倒れすぎだよ」
「もっと相手を慮る必要があるのに」
と指摘するのは、得点力だけでは見劣りしなくとも、潔さや対戦相手を素直に讃える姿がペレと異なり、まったく見られないことを残念に感じているためではないでしょうか。
それでもエムバッペにしてもメッシにしても、1度でもワールドカップで優勝していることは、それだけで素晴らしいことではあるのですがね。