時 人を待たず、光陰 惜しむべし
古より有道の人、国城 男女 七宝 百物を 惜しまず
唯 光陰のみ、之を惜しむ
少量で病を治すので有名なわが国の名医、蒲輔周老中医も
「少量で効かせなければ」と言っている。
かつて久しく中陽虚弱で微熱の続く患者に升陽益胃湯を出したが、
一日量は15gで、日本の分量よりも少量で効果があった。
蒲老はいつも言っている「東垣の補中益気湯は労役で熱甚の者に用いるが、
黄耆一味だけは一銭を用いて他の薬味は数分でよい」と。
即ち中虚で重剤に耐えないからである。
処方用量を減らすのに散剤という手がある。
本来が散剤であるものを現在は湯剤としているものがかなりある。
これは薬材を大量に消費するばかりか却って効果も良くない。
岳美中老師は生前、表虚の自汗を治すのに玉屏風散の粗末を用いたが、
9gづつ朝晩二回煎じて飲ませただけで十分の効果を発揮した。
岳老は言っている「初めて医学を学んだ時、李東垣の<脾胃論>を読んで、
多くの方剤の下に毎服3、4銭と書いてあるのを見て、
こんなに少ない量では効く筈が無いと、散剤を湯剤に改め、
原方の数倍も薬量を用いたものだ。
しかし、その後の経験でそれが間違いだったことが分かった」と。
泡で飲むか(散剤にお湯をかけてかき混ぜて飲む)、
煮散で飲むか(散剤を暫時煎じて飲む)、いずれにせよ
微粉末にすると成分の溶出が容易になり少量で済む。
仲景は50余方の散剤を用いている。
五代から宋までの間に湯剤を散剤に直すことが盛んに行われた。<傷寒総病論>
甚だしいのになると全部が散剤で湯剤が無いのさへある。<経済総録>
<本草綱目>にも散末は沢山あり、用量の多くは“方寸匕”か“匙”で
大抵は2、3銭である。
中国中医薬報 1994.6.26
http://youjyodo.la.coocan.jp/geocities/mycoment/40.html
※1両=1.3~1.4g ,
1両=10銭