ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

夢の戸

2017-10-25 04:20:04 | 短歌





夢の戸を 開けて鳥とも なりてしか はるかにとほき ひむがしの空





*「てしか」は完了の助動詞「つ」の連用形「て」に願望の終助詞「しか」がついたもので、自分の願望を表わします。~したいものだ、などと訳されます。

動詞を連用形にしてくっつければいいだけなので、活用してみましょう。こういうことをひとつひとつ積み重ねていくことによって、スキルはどんどんあがってきます。

夢の扉をあけて、鳥になってみたいものだ。あのはるかに遠い東の空よ。

東は「ひむがし」とも「ひんがし」とも言いますね。文字数によって変えて活用しましょう。

東の空というのは、もちろん天狼星を意識しています。あの人はよく東の空にシリウスを見ていました。冬の宵の口など、黄昏時に犬を散歩させてると、東の空にあの美しい星が見えていたのです。

一匹の犬が、かのじょの寂しい人生に暖かい機会を与えてくれていた。かのじょがこの世界で、数少ない友人の一人と見ている人は、遠い東の土地にいるのです。だれも自分をわかってはくれないが、あの人だけは、きっとこんなにも馬鹿な自分のことをわかってくれるだろう。

そういう人がひとりでもいるということが、幸せだった。

きっと一生会えることはないだろう。だが、いてくれるだけでうれしい。きりきりと澄んで光る天狼の星を見ながら、かのじょの心は鳥のように飛んでいきたがっていた。一度でも会えたら、なつかしさに胸が震えるに違いない。互いを知り抜いている目を、確かめるに違いない。

わたしたちは、この世界では互いに会い見ることは滅多にありませんが、魂の世界ではお互いを知り抜いているのです。深く愛し合っている。

孤独な人生の中で、薄い霊魂の記憶に頼るしか、寂しさを埋める方法がなかった。結局、生きている間は一度もあなたに会えなかったが。

故郷で再会したとき、泣いてあなたと抱き合いたい。


白百合の 群れ咲くにはで あひてしか はるかにとほき ふるさとのそら    夢詩香






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