なにもかも 女のせいに ばかりして おれはすべてに 逃げてきたのだ
*これは説明しなくてもわかるでしょうが、大火の歌ですね。いやすごい。ここまですっきりと詠える人は、なかなかいません。事実上、彼だけでしょうね。
口語的に、すらすら言っているだけなのだが、みごとに歌になっている。頭の回転の速い人だからこれができるのです。
ツイッターではもう、毎日彼のつぶやきばかりがメインになっていますがね、時々こういう痛いのを詠んでくれるので、たすかりますね。
一応歌がメインの活動なので、そこは忘れないでもらいたいのです。
まあ要するに、男も女も、いやなことはみんな女のせいにばかりして逃げてきたのです。女性は弱くて、仕返しなどめったにしませんし、男が強く出れば反抗もできませんから。
すべてを女性のせいにして、黙らせてきた。
男が女を好きになって嫌なことをするのも、女のせいなのだ。女なんてものがいるからいけないのだ。
自分が不美人なのに苦しむのも、あんな美人な女がいるからいけないのだ。
馬鹿な男も女も、めったに男には文句を言いません。言えば何をされるかわかりませんから。しかし女性にはおとなしい人が多いものですから、全部女性に押し付けてきたのです。
とりわけ、男が好きになる、美しい女性に押し付けてきたのです。
全部、あんな女が悪いのだ。きれいなふりしてるけど、あんなのは嘘なんだ。心はブスなんだよ。見かけでだまして、いやなことをしようとしているんだ。だから馬鹿にしてもいいんだ。
痛いことができない男は、自分から美人に話しかけることもできませんから、暗いところに回って、美人の悪口ばかり言っている。それで、きれいな女性をみんなで殺してきたのです。
好きになるのが嫌だったからです。逃げろ。あんなものは馬鹿なのだ。おれたちをだまそうとしているのだ。そう言いながら、決して離れていきはしない。
一生とりつくのです。血が逆流するほどに、好きなのに、決してよってきてはくれないからです。
人間の心の、最も深く、低いところにある、下劣な感情と言えましょう。そういう感情を、馬鹿は何にも解決できていなかったのです。
すべてから逃げてきた。
そして、逃げてきた長い年月の間にたまっていた、やらなければならなかった宿題の山が、今、いっぺんに降ってきたのです。
全部、自分で責任をとりなさいと。