安倍首相と言えば、2001年、2001年「慰安婦」問題を取り上げたNHKのETV番組が改変さらたとこ、官房長官だった安倍氏がNHK幹部に注文をつけた問題がありました。 マスコミ操作に執念を持っていると思われます。 今日の「赤旗」の記事は、まさに、戸崎氏の言うようにテレビの危機でしょう
元NHKディレクター 戸崎 賢二さん
かつてない危機的状況テレビジャーナリズム
報道機関としてのテレビは戦後かつてない危機的状況に人つだのではないか。最近、安倍首相の出演の例をこれだけ見せられると、そう思わずにはいられない。
一概に首相のテレビ出演がいけない、というわけではない。しかしスタジオに呼ぶ場合、権力者に対する距離と批判的精神が絶対に必要である。
記憶に残る放送がある。筑紫哲也がTBS「NEWS23」で2007年に当時の福田首相に厳しく迫ったインタビューだ。「消えた年金問題」の自民党の方針を、筑紫は「お言葉ですが」と切り返し、「ウソつぽい公約」と批判した。福田首相は嘸然とし、メータ落としも拒否して帰ったという。
今年1月、TBSで放送された筑紫を振り返るドキュメンタリーで、福田元首相はこのときの筑紫の態度を回顧して、「ジャーナリストの衿侍でしょう。権力に取り込まれたジャーナリズムなど見ていられないじゃないですか」と述べた。
最近の一連の首相登場番組は、「権力側」でさえ言えるこうした批判に耐えられそうもない。
安倍首相がスタジオにきてくれた、と大はしゃぎの日本テレビ「スッキリり‥」は論外として、フジの「ス
ーパーニュース」も、自民党の政策が何の反論もなくストレートに宣伝され、安倍首相の「人柄の善さ」が印象付けられる放送となっていた。
今回の首相のテレビ連続出演は、官邸側の系統的な工作による疑いがある。07年の参院選前にも、安倍首相のテレビ出演が連続したが、これは官邸サイドから各テレビ局への強い働きかけによるものだったと、同年7月23日号の『AERA』誌が暴露している。
繰り返し言われることだが、ジャーナリズムに期待されるのは「権力に対するウオッチドック」(権力を
見張る監視人)の役割である。
報道に携わる者にとって当然のこの常識、教養が、首相出演を安易に受け入れる現場ではもはや死語となり、自覚さえないとみえるところに、現在のテレビの危機の深さを見る思いがする。