福岡市の中心地・天神地区では
「天神ビックバン」と称する再開発事業が進められている。
合わせて12件ものビルの建て替えをはじめとする
再開発事業が計画されており、すでに2件が完成している。
都市発展の象徴とも言える高層ビル群が相次ぎ登場するのだが、
一方では街並みから〝柔らかさ〟〝やすらぎ〟みたいなものが
消失していくようで、何とはない嘆息を誘う。
そんな街に教会の鐘が響き渡る。
ビッグバンの第2号として昨年12月に大型複合施設が完成し、
さらに今年6月にビル内に高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」が
開業した福岡大名ガーデンシティ。
ビルは地上25階、地下1階建てで高さは111㍍あり、
ガラスの壁面には青い空、白い雲、赤い夕陽を映し出す。
このモダンな装いのガーデンシティの、
道路を挟んだ向かいに大名町カトリック教会がある。
高さ40㍍の鐘楼があり、毎日正午になると鐘を鳴らす。
その音は、あの美しいガーデンシティビルの壁面に跳ね返り、
また、せわしなく変わりゆく天神地区に響き渡る。
まるでビルを、そして街並みを
いたわるかのようなその響きに道行く人たちは足を止める。