Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

カレーライス

2020年11月10日 06時00分00秒 | まち歩き
     何とも奇妙、というか、理解しがたい関係の男女ペアだ。
     ほぼ週1回は、ランチに通う全国チェーンのカレー屋さんでの話。
                                          
それほど繁く通えば、まあ常連客の一人となっているだろう。
格別、カレーライスが好物というわけではない。そこそこ、といった程度だ。
あの店は旨いだとか、まずいだとか、そんなことにさして執着しないから、
そのカレー屋さんは勤務する会社が入居しているビルの隣にある、
つまり近くにある便利さが何よりの理由となっているのである。

    入口から奥へカウンターが延び、全部で12席しかない小さな店だが、
    付近には会社や店舗が多いせいもあり、ランチタイムは結構込み合っている。
    この昼時は男性1人、女性3人、全員が中年のスタッフで、
    ローテーションにより2人1組、つまりペアになって接客している。
    4人の組み合わせだから数組のペアができるわけだが、
    この中に1組、何とも不思議な関係の男女のペアがいるのだ。
                                               
男性が調理、女性がレジとカウンターを担当しており、
明らかに男性が上司然としている。それはこちらのあずかり知らぬことであるが、
この男性の小うるさいことといったらありゃしない。
「ほれ、早くカウンターを片付けて……」
「レジでお客様が待っておられるじゃないか」
などと休む間もないほど、あれやこれやと指示をする。
「それ、パワハラじゃないですか」と言いたくなるような時さえある。
それも客の面前なのだから、聞き苦しく、見苦しい思いにさえさせられる。
それほどの言われ方だと、「私、辞めさせていただきます」となってもおかしくない、
などと余計なことまで気を揉む始末だ。
                                               
    ところがだ。その女性、腹を立てているふうにはまったく見えない。
    表情も受け答えも平然たるもの。
    「いやー、ご立派」と声を掛けたくなるほどだ。
    驚いたことに、別の日には笑顔交じりで睦まじそうにしているではないか。
    ひょっとして、ご夫婦? 
    そんなことは聞けはしないが、あるいはそうなのかもしれない。
    奥さんが亭主を手の平に乗せ上手に転がす、よくあるあの図だ。
    いやいや、そう言い切れるほどの自信はないか。

    あれやこれやと想像し、心中ニヤニヤしながらカレーをいただく。

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