Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

キレる老人

2021年10月19日 10時43分54秒 | エッセイ


   電車の中で、隣に座った若い女性を怒鳴りつけている。
   食堂では店員の態度が気に入らないと大声を張り上げている。
   いずれもいい年をした老人だ。
   こんなキレる高齢者の姿を
   YOU TUBEなどで見かけることが多くなった。
   科学的に見れば、
   高齢になると、脳の前頭葉が収縮し、判断力が低下し、
   感情の抑制が効かなくなるということらしい。

                     

   新聞の読者投書欄に「キレる高齢者が増えている」
   と指摘する若者の意見を掲載したところ、高齢者からは
   「暇なんだ」「話し相手が欲しい」「自分にイライラしている」
   「私たちは一生懸命働き、そのおかげで日本は先進国入りをし、
   東京オリンピックまでやれた。お国のために働き続けてきた
   私たちの言動を大目に見てほしい」
   「昔のように3世代が一緒に暮らすことも、
   お寺で法話を聞いた後に他の信者と
   会話を楽しむことも少なくなった。
   人生に対する不安や不満を誰も本気で聞いてくれない。
   老年期は寂寥感が募るばかり」
   こんな声が集まった。


   高齢になると脳の前頭葉が収縮し、判断力が低下し、
   感情の抑制が効かなくなるというのであれば、
   キレる高齢者というのは、万国共通のことなのか。
   どうも、そうじゃないらしい。
   欧米では「年を取ると、より性格が穏やかになり、優しくなる」
   というのが定説だ。
   イギリスの科学者の言葉を借りれば、
   「人間は年を取るほど、神経質ではなくなり、
   感情をコントロールしやすくなる。
   同時に、誠実さと協調性が増し、責任感が高まり、
   より敵対的ではなくなる」のだそうだ。


   ここで、ちょっと気になるのが「幸福度」だ。
   国連の調査によると、日本の幸福度は世界155カ国中51位。
   サウジアラビアやニカラグア、ウズベキスタンより低い。
   またOECDの人生に対する満足度調査では
   先進38カ国中29番目だ。
   しかも、日本では年を取るにつれ、幸福度が下がっているのである。



   それらを見れば、高齢者だけを責めても問題は解決しないだろう。
   昔、「穏やかで優しいお爺さん、お婆さんたち」が
   周りにはたくさんいた。
   なのに今は、切れる高齢者が何かと話題になる時代だ。
   日本はどこかで間違ったのではあるまいか。
   なぜ、こうも幸福度の低い国となってしまったのか。
   自戒を込めながら、さまざまに考えさせられる。





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
しっぺ返し (コロ健)
2021-10-19 12:18:26
こんにちは。
今のお年寄りが若い人を大切にしてきていたら、もっと大切にしてもらえたかもしれませんね。世代間格差・対立が問題になるような社会ではなかなか難しいような気がします。欧米でも若者の失業が問題になっていますから、そのうち世界中が不幸になるかもしれません。
富の再配分を言っている国がありますが、案外うまくいくかもしれませんね。
せめて周囲の若い人には親切にしたいと思います。
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Unknown (Toshiが行く)
2021-10-19 13:47:43
コロ健さん こんにちは。
年寄りの重要な役割の一つは、将来を担う若い人たちを育てることではないでしょうか。でも現実はそうではありませんね。年寄りのいけないところの一つは、自分の考えばかりを述べ、相手の言うことに耳を貸さないことです。若い人を育てる。素晴らしい余生になるでしょうね。自らにもそう言い聞かせているのですが。
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終戦前後に生まれた世代かな (narkejp)
2021-10-20 08:37:25
物心ついた頃は価値観の大転換、生活は激変、犯罪も多く世情も不安定、そんな少年少女世代が老人になったのが今、ということかもしれません。今の若い人たちは、全体的に落ち着いているように感じます。
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Unknown (Toshiが行く)
2021-10-20 09:51:34
narkejpさん おはようございます。
私はまさに戦後の混乱期に少年時代を送った世代ですが、その頃はまだ周囲に「穏やかで優しいお爺さん、お婆さん」がたくさんいらっしゃったように思います。やはり戦争─敗戦による価値観の大転換が様々なことに影響を及ぼしているのでしょうね。
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