【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

世界連邦と地方自治

2015-11-30 06:35:39 | Weblog

 将来世界連邦ができたら、現在の「国の政府」はアメリカだったら州政府のような立場になるのでしょう。ということは、アメリカはけっこうすんなりと世界連邦制度に移行できるでしょう。「自治」がしっかりしていますから、憲法を一部改正するだけで済みそうです。日本はどうかな? 現在の県庁のような機能しか果たせない「日本政府」では、日本の「自治」は成立しないと思えます。だとすると、世界連邦のために準備するべきは、真の地方自治の確立、かな。

【ただいま読書中】『日米開戦(下)』トム・クランシー 著、 田村源二 訳、 新潮文庫、1995年、777円(税別)
 戦争というのは大きな物語(というか、巨大な愚行)ですが、本書では細部の積み重ねでそれが表現されます。たとえば東京で孤立した三人のCIAの非合法工作員。友好国が突然「敵国」に変貌してしまった状況で、国際電話もかけられず大使館にも近寄れません。しかし彼らは重要な情報を握っています。ワシントンから彼らにどのような手をさしのべることができるのか、そもそもどうやって「助けが行くぞ」との連絡をするのか、ここは知恵の絞りどころです。
 日本の奇妙な“宣戦布告”も意味不明です。その“意味”を解こうとアメリカ政府は知恵を絞ることになります。
 しかし「日米開戦」と言われるとぎょっとしますが、本書の舞台は我々の地球とは違う世界のようです。日本国内に有効に機能する米軍基地はない様子ですし、北朝鮮は崩壊しているし、日本は核武装、それも核弾頭を搭載した大陸間弾道弾を20発保有しているのですから。……やっぱりぎょっとした方が良さそうです。
 こちらの自衛隊と同じく、あちらの自衛隊も武装はアメリカから主に調達しています。しかしそれを独自に改良してもっと優れたものにしました。さらに核武装は、自衛隊の知らない話です。民生目的でロシアが放出したミサイルを大量に買い付け、それを改造して“国産”の核弾頭を据え付けた者がいるのです。
 諜報活動で何かの全貌がわかることはありません。まるでジグソーパズルのかけらを一つ一つ集めてそれぞれの真贋を確かめながらパズルを完成させようとする努力です。それでもある程度「これは真実らしい」というピースが集まれば、全部が揃わなくても全体像や欠落部分に何があるか推測することは可能になります。推測できる者の手元にそのピースが集まれば、ですが。
 ついにアメリカは反撃を始めます。まずは「円」に対する攻撃(しかし、アメリカの銀行などだけではなくて欧米諸国の政府と中央銀行がすべて組んで攻撃に参加するとは、攻撃力(と獲得できる利益)はすごいのですが、倫理的にはどうなんだろ?とは思います)。ぼろぼろになった太平洋艦隊は使い物にならないので、輸送機一機分の落下傘部隊と攻撃型潜水艦が一隻、日本に忍び寄ります。
 しかし、ジャンボジェットの“特攻”では、ぎょっとしてしまいました。まさかビンラディンはここからヒントを得ていたのかな、と。