私はこの原稿をマック+atokで書いています。で、先日MacOSを「10.11.1」から「10.11.2」に上げたところ、なぜかatokが行方不明になってしまいました。これは困った、とネットで質問をしようとしたら、標準装備の日本語入力プログラムであることえりもなぜか見えません。これでは質問そのものが日本語で入力できません。FAQを読もうにも検索語が入力できません。
ここで私は二つの方法を思いつきます。一つは、バックアップデータを使って、MacOSが「10.11.1」だったときの状態に戻す。もう一つは、再度atokをインストールする。とりあえず簡単な方で、atokを再インストールしました。するとあっさりatokが復活し、さらにまるでついでのようにことえりも選択可能になりました。もう要らないんですけどね。
しかし、あれは一体何だったんでしょう?
【ただいま読書中】『ビブリオバトルを楽しもう ──ゲームで広がる読書の輪』谷口忠大 監修、粕谷亮美 著、 しもつきみずほ 絵、さ・え・ら書房、2014年、2200円(税別)
図書館や学校で行われるようになった「ビブリオバトル」の紹介本です。この「バトル」は、「自分が読んで面白かった本・他人に勧めたい本を紹介し、何人かが発表した後『自分が読みたい』と思った本に投票、最多票を得た人が勝者」という「ゲーム」です。
ルールは簡単。
1)本は何でも構わない。
2)本は自分で選択する。
3)発表の制限時間は5分。
4)「原稿を読み上げる」は不可。
5)発表の後、2~3分間のディスカッション。
6)投票は自分が発表した本以外のものに。
「課題図書を読んで、ため息をつきながら読書感想文を書く。時には後書きを丸写し」なんて“苦行”ではなくて、「自分はこんなところが面白かった。良かったら、読んでみたら?」と勧めるわけで、これは楽しい「ゲーム」です。しかも最後に勝者が決まるわけですから、プレゼンテーションの技術も磨かれそうです。
「5分間のプレゼンテーション」というと、私の話す速度だと、原稿を書くとしたら400字詰め原稿用紙で3枚半くらいの分量になります。子供にはけっこうきつい量かな。でも、本当に好きな本についてだったら、これだととても足りないかもしれません。
そうそう、私が毎日書いているこの日記も、ほとんどそのままこのビブリオバトルに使えそうな気がします。毎日ビブリオバトルがあっても、戦えそうです。
そういえば、ある専門分野についての概説などを出版しようとする人の中には、その分野の魅力を少しでも多くの他人に伝えたい、という思いから本を書いた人が混じっているはずです。ビブリオバトルと通じる姿勢がそういった著者にはあるのではないか、と私には思えます。
そうそう、もう一つ。このゲームは民主主義のトレーニングにもなっています。権威が勧める本を読んで発表するのではなくて、何を読むか何を発表するかはすべて自己決定。発表は「声が大きい者」が有利にならないように時間は平等。ついでにディスカッションでは読んでいない人間の一方的な批判などは司会者がコントロールします。投票は「人(好き嫌い)」ではなくて「本(どれに興味が持てたか)」を基準とします。つまり、ビブリオバトルが失敗する学校は、「生徒が本を読まない」「生徒に元気がない」と生徒のせいにする前に、学校が本当に民主主義的に運営されているか、見直すチャンスをもらった、と考えることも可能になりそうです。