「この人が店員に暴力を振るいました」と“犯人”の顔写真を店に掲示したマクドナルドに対してテレビニュースで「プライバシー」とか「人権」とか言っていました。たしかに「私刑」をする権利は誰にもないわけですが、ではそのニュースに続いて別の事件で(犯人ではない、まだ裁判前だから)「容疑者」の氏名や顔写真を堂々と全国に流しているマスコミの態度は、一体何なのでしょう?
【ただいま読書中】『盤上の詰みと罰(2)』松本渚 作、双葉社、2015年、600円(税別)
名人相手に大盤解説をすることになった都は、名人が予想した「最善手」を否定して「その手は屋久杉さんという人間を成さない……」と言います。「将棋は対話」であって「その手」には「その人」のすべてが現れるのです。
これは「コンピューター将棋」に対する人間からの“返答”かもしれません。「過去の記録」と「盤面の駒の配置だけ」で最善手を探すコンピューターと違って、人間は「自分」と「相手」の対局で手(=未来)を選択する、というのが都の主張です。
そこに名人は「愛」を見ます。
愛による対局? 勝ち負けを競っているのに?
やっと「最後の対局者」を見つけた都は、自分が記憶障害を負うことになった原因がわかるかもしれない、という期待と、対局者個人に対する異常なまでの興味を覚えながら,対局を始めます。しかし、自分が何を避けていたのかを相手に指摘され……
なんとも“難しい”美少女将棋漫画でした。いや、美少女も将棋も好きなので、私は楽しめましたけどね。