「明日の予想最高気温は……」なんて言っている天気予報を見ながら考えました。もし「明日の予想最高人物は○○さん、予想最低人物は××さん」なんて言われたら、こわいだろうなあ。
【ただいま読書中】『Dr.ヘリオットのおかしな体験』ジェイムズ・ヘリオット 著、 池澤夏樹 訳､ 集英社、1978年、1500円
イギリスで獣医をしているヘリオットさんが、体験した「おかしな動物」や「おかしな人間」について短くまとめた作品が集められています。時代は戦争中と戦前。おそらく著者が経験を積み、もう古くて“時効”になったエピソードを思い出しながら書いていったのでしょう。
しかし、この獣医さん、文才があります。最初の一文で“世界”を提示し、そこからあっという間にその世界に読者を連れ込み、不思議なものをたくさん見せ、読者の感情を揺さぶり、もう一回（あるいは二回三回と）揺さぶり、そして最後にきちんとオチをつける。この面白さは、下手な紹介文（この私の文章のことです）を読むよりも、実物を読む方が良いです。一気に読むのも良いですが、手近に置いておいて、気が向いたときに適当にちびりちびりと読むのも良いでしょう。長く楽しめる本です。強くお勧め。