プロポーズの仕方
自転車や一輪車の乗り方
転ばない歩き方
正しい夫婦げんかのやりかた
ネット上でのフレーミングの鎮め方
他人から尊敬を得る方法
恋人との別れ方
読書法
【ただいま読書中】『王狼たちの戦旗(上) 氷と炎の歌2』ジョージ・R・R・マーティン 著、 岡部宏之 訳、 早川書房、2004年、2800円(税別)
これまで見たこともない大きさの血と炎の色の彗星が空を切り裂く赤い傷となって現われ「赤い剣」「赤いメッセンジャー」と人々に呼ばれます。予兆です。ただし、その予兆がどのような意味を持つかについて人々の意見は割れています。おおむね自分たちに有利に解釈しているのですが、それを疑う人もいます。
七王国では、10年続いた「長い夏」が終り、「もっと長い冬」が始まろうとしていました。
ロバート王の暗殺後、「鉄の玉座」は息子ジョフリーが継ぎます。しかしそれを認めない叔父二人はそれぞれ「王」を自称、さらにジョフリーに殺されたエダード・スタークの息子ロブは「北の王」として立ちます。北の防壁の向こう側の異形の存在は蠢動を続けています。
私は、前巻でてっきり死んだと思っていた人と再会できました。また、信じ、裏切られ、そしてもうだまされないために誰も信じないぞ、と決心する人も目撃します。でもそれは「信じたこと」が悪いのではなくて「裏切る人を信じたこと」が悪いのですが。ですから次にするべきは「もう人は信じない」と決心することではなくて「信じるかどうかきちんと見きわめる判断力をつけるか、一度信じたらそれを貫く勇気を持つか」のどちらかじゃないかなあ、なんて忠告をしたくなります。本のページに向かって何を呟いても意味はないのですが、実はそれを私は自分に向かって呟いているのです。
各地で「会話」が行なわれています。表面的なことばの交流と、語られない裏の意味の交流とが。複雑な政治と外交が国中で展開しています。「次」に備えて。
ストーリーが停滞する瞬間がありますが(というか、本書ではストーリーはほとんど進みません)、読者は退屈する暇はありません。そんなとき物語は、過去に向かって広がっていくのです。これまで説明抜きで放置されていた人々の過去が少しずつ明かされます。読者にとって新しい場所が登場すると、そこにはたいてい過去の戦いの傷や人間関係の傷が残されています。そしてそれらは“終わったこと”ではありません。過去は屈折しながら未来へ投影され続けているのです。
夜警団は北への遠征隊を組織します。所属するレンジャーほとんどによる武装偵察です。異形の者たちの侵攻が何を意味するのか、北方で何が本当に起きているのか、七王国そのもののために確認しなければならないのです。しかし彼らが発見したのは“沈黙”でした。
“沈黙”は海の向こうにもありました。前王朝の末裔デーナリス・ターガリエンは14歳で女王となり、ドラゴンの卵を孵し、そして爆心地を思わせる広大な砂漠の死の町でキャンプをしています。そして死の町は、七王国の中にも……いくつも……
ここに至って、前巻『七王国の玉座』が気になります。エダードの子どもたちは一人に一匹ずつ大狼を持っていました。しかし、その内一匹は欠けてしまい、一匹は行方不明になっています。それが一体何を意味するのか、が今頃になって気になりだしたのです。これは絶対伏線です。しかし、どんな伏線?
立派な領主になれそうなのに本当は騎士になりたい少年。本当は国王になれたのに辺境で一生を終えようとする老人。北へ帰りたいのに南へ駆り立てられる女性。その人の望みと回りの望みと、環境と運命との複雑なすれ違いが続きます。
そうそう、この物語の最初から気になる存在だった“小鬼”ティリオンは、本巻でも“絶好調”です。「裁きを、つけてやる」とか「きみはだれだ、本当は?」とか、心に響くセリフをまき散らしながらひょこひょこ動き回ってくれます。彼は“小さな”存在ですが、脳裡には誰よりも大きな地図を持っています。トリックスターと言うにはちょっと重要人物すぎるのですが、他の人物の描写が続くと私はちょいと欲求不満になってしまいます。全体を見通すために、そろそろティリオンを出せ、と。
そうそう、本書の舞台はイギリスのように見えますが、ではしょっちゅう登場する胡椒は、この世界では一体どこからやって来るんでしょうねえ?
自転車や一輪車の乗り方
転ばない歩き方
正しい夫婦げんかのやりかた
ネット上でのフレーミングの鎮め方
他人から尊敬を得る方法
恋人との別れ方
読書法
【ただいま読書中】『王狼たちの戦旗(上) 氷と炎の歌2』ジョージ・R・R・マーティン 著、 岡部宏之 訳、 早川書房、2004年、2800円(税別)
これまで見たこともない大きさの血と炎の色の彗星が空を切り裂く赤い傷となって現われ「赤い剣」「赤いメッセンジャー」と人々に呼ばれます。予兆です。ただし、その予兆がどのような意味を持つかについて人々の意見は割れています。おおむね自分たちに有利に解釈しているのですが、それを疑う人もいます。
七王国では、10年続いた「長い夏」が終り、「もっと長い冬」が始まろうとしていました。
ロバート王の暗殺後、「鉄の玉座」は息子ジョフリーが継ぎます。しかしそれを認めない叔父二人はそれぞれ「王」を自称、さらにジョフリーに殺されたエダード・スタークの息子ロブは「北の王」として立ちます。北の防壁の向こう側の異形の存在は蠢動を続けています。
私は、前巻でてっきり死んだと思っていた人と再会できました。また、信じ、裏切られ、そしてもうだまされないために誰も信じないぞ、と決心する人も目撃します。でもそれは「信じたこと」が悪いのではなくて「裏切る人を信じたこと」が悪いのですが。ですから次にするべきは「もう人は信じない」と決心することではなくて「信じるかどうかきちんと見きわめる判断力をつけるか、一度信じたらそれを貫く勇気を持つか」のどちらかじゃないかなあ、なんて忠告をしたくなります。本のページに向かって何を呟いても意味はないのですが、実はそれを私は自分に向かって呟いているのです。
各地で「会話」が行なわれています。表面的なことばの交流と、語られない裏の意味の交流とが。複雑な政治と外交が国中で展開しています。「次」に備えて。
ストーリーが停滞する瞬間がありますが(というか、本書ではストーリーはほとんど進みません)、読者は退屈する暇はありません。そんなとき物語は、過去に向かって広がっていくのです。これまで説明抜きで放置されていた人々の過去が少しずつ明かされます。読者にとって新しい場所が登場すると、そこにはたいてい過去の戦いの傷や人間関係の傷が残されています。そしてそれらは“終わったこと”ではありません。過去は屈折しながら未来へ投影され続けているのです。
夜警団は北への遠征隊を組織します。所属するレンジャーほとんどによる武装偵察です。異形の者たちの侵攻が何を意味するのか、北方で何が本当に起きているのか、七王国そのもののために確認しなければならないのです。しかし彼らが発見したのは“沈黙”でした。
“沈黙”は海の向こうにもありました。前王朝の末裔デーナリス・ターガリエンは14歳で女王となり、ドラゴンの卵を孵し、そして爆心地を思わせる広大な砂漠の死の町でキャンプをしています。そして死の町は、七王国の中にも……いくつも……
ここに至って、前巻『七王国の玉座』が気になります。エダードの子どもたちは一人に一匹ずつ大狼を持っていました。しかし、その内一匹は欠けてしまい、一匹は行方不明になっています。それが一体何を意味するのか、が今頃になって気になりだしたのです。これは絶対伏線です。しかし、どんな伏線?
立派な領主になれそうなのに本当は騎士になりたい少年。本当は国王になれたのに辺境で一生を終えようとする老人。北へ帰りたいのに南へ駆り立てられる女性。その人の望みと回りの望みと、環境と運命との複雑なすれ違いが続きます。
そうそう、この物語の最初から気になる存在だった“小鬼”ティリオンは、本巻でも“絶好調”です。「裁きを、つけてやる」とか「きみはだれだ、本当は?」とか、心に響くセリフをまき散らしながらひょこひょこ動き回ってくれます。彼は“小さな”存在ですが、脳裡には誰よりも大きな地図を持っています。トリックスターと言うにはちょっと重要人物すぎるのですが、他の人物の描写が続くと私はちょいと欲求不満になってしまいます。全体を見通すために、そろそろティリオンを出せ、と。
そうそう、本書の舞台はイギリスのように見えますが、ではしょっちゅう登場する胡椒は、この世界では一体どこからやって来るんでしょうねえ?
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