まるで一昨日からの続き物の日記ですが、テレビも結局買い換えました。家電量販店が最近つぶし合いというか喧嘩を売っているというか、相手の店舗のすぐそばに自分の店(もっとでかいもの)を開く、をあちこちでやっていて、おかげでいろんなものが安く広告されているのです。満員の店に行って、最新式のを横目に、型落ちのをさらに安くしてもらうことにしました。30年使ってきた組み立て式のAVラックも一部ばらしてテレビ台を入れることにしました(ついでですが、ばらすときにその板の重みによろめいて、家族総動員でやる羽目になりました。これを組み立てるときには一人でやったんですが、よくできたものだと過去の自分のことが不思議に思えます)。今まではAVラックにテレビをはめ込んでいたのですが、さすがにこれでは最大でも25インチブラウン管がぎりぎりだったものですから(30年前には20インチのテレビでも「大型」だったんですけどねえ)。
接続確認でビデオテープを再生してみて、その画像の荒さに呆然としました。いくら3倍速とはいえ、一応「S-VHS」だったのに…… DVDはこんな細部までじつはちゃんと写っていたんだ、と感心しましたが、これがブルーレイになったらどうなるのかな(持っていないのでまだ確認できていません)。マニュアルには新機能がいっぱい書いてあるし、なんだか、暇があったらテレビっ子になってしまいそうで、不安です。
【ただいま読書中】『オレンジガール』ヨースタイン・ゴルデル 著、 猪苗代英 訳、 NHK出版、2003年、1500円(税別)
ゲオルグ少年が4歳の時、父ヤン=オーラヴは病死しました。それから11年、ずっと隠されていたゲオルグ宛の“遺書”が発見されます。「オレンジガール」という長い小説の原稿が。
ゲオルグは、3歳半のときに父親と過ごした記憶をきちんと持っていません。残された写真やビデオはあります。しかし、自分自身のオリジナルの記憶としては不確かであやふやなものしか残っていないのです。
ヤン=オーラヴが19歳の医学生の時、満員の路面電車の中である少女(オレンジ色のアノラックを着、大きな紙袋一杯のオレンジを抱えていた“オレンジガール”)と出会ったことから“遺書”は始まります。ちょっと想像力が豊かすぎる描写が続きます。ともかく、電車の揺れでオレンジガールは袋を落としてオレンジは電車中に散らばり、ヤン=オーラヴはそれを救えなかったことに罪の意識を感じます。そしてそれから数週間後、カフェで偶然の再会。彼女は同じアノラックを着、そして大きな紙袋に一杯のオレンジを持っていました。二人は見つめ合い、彼はついに言います。「きみはリスだね!」。
ゲオルグはあきれます。好意を抱いている女性に初めてかけるセリフが「きみはリスだね!」だとは。もっともそれはゲオルグ自身の体験とも重なっているのですが(ゲオルグも思春期なのです)。
父子には別の共通点もあります。ハッブル宇宙望遠鏡に興味があること。それがこの「オレンジガール」と題された小説(遺書)とどのような関係があるのかは、最初は「謎」として提示されるだけです。
さらに大きな「謎」があります。ヤン=オーラヴはゲオルグに問います。もしもこの広大な宇宙の中で、たった1回の生を生きそしてすべてを失って死ぬか、あるいはそれを辞退するか、それが選択できるとしたら、君はどちらを選択するだろうか?
いくつものレベルの謎が重層的に提示され、それぞれが生き生きと有機的な関係を持っています。オレンジガールとは誰なのか。なぜヤン=オーラヴはこのような遺書を息子に残して死んだのか。白いトヨタの男は誰なのか。ハッブル宇宙望遠鏡は人類にどんな意味があるのか。
「人生とは何だ?」と大上段に振りかぶってはいません。身近な話題と謎を使ってとても深いところまで心に食い込んでくる本です(ただ、二人のなれそめとかセックスのこととかを子どもに知られるのは、親としてはばつの悪い思いでしょうけれど)。
ヤング・アダルトと、ヤング・アダルトの部分が心に残っている人には、お勧めです。
接続確認でビデオテープを再生してみて、その画像の荒さに呆然としました。いくら3倍速とはいえ、一応「S-VHS」だったのに…… DVDはこんな細部までじつはちゃんと写っていたんだ、と感心しましたが、これがブルーレイになったらどうなるのかな(持っていないのでまだ確認できていません)。マニュアルには新機能がいっぱい書いてあるし、なんだか、暇があったらテレビっ子になってしまいそうで、不安です。
【ただいま読書中】『オレンジガール』ヨースタイン・ゴルデル 著、 猪苗代英 訳、 NHK出版、2003年、1500円(税別)
ゲオルグ少年が4歳の時、父ヤン=オーラヴは病死しました。それから11年、ずっと隠されていたゲオルグ宛の“遺書”が発見されます。「オレンジガール」という長い小説の原稿が。
ゲオルグは、3歳半のときに父親と過ごした記憶をきちんと持っていません。残された写真やビデオはあります。しかし、自分自身のオリジナルの記憶としては不確かであやふやなものしか残っていないのです。
ヤン=オーラヴが19歳の医学生の時、満員の路面電車の中である少女(オレンジ色のアノラックを着、大きな紙袋一杯のオレンジを抱えていた“オレンジガール”)と出会ったことから“遺書”は始まります。ちょっと想像力が豊かすぎる描写が続きます。ともかく、電車の揺れでオレンジガールは袋を落としてオレンジは電車中に散らばり、ヤン=オーラヴはそれを救えなかったことに罪の意識を感じます。そしてそれから数週間後、カフェで偶然の再会。彼女は同じアノラックを着、そして大きな紙袋に一杯のオレンジを持っていました。二人は見つめ合い、彼はついに言います。「きみはリスだね!」。
ゲオルグはあきれます。好意を抱いている女性に初めてかけるセリフが「きみはリスだね!」だとは。もっともそれはゲオルグ自身の体験とも重なっているのですが(ゲオルグも思春期なのです)。
父子には別の共通点もあります。ハッブル宇宙望遠鏡に興味があること。それがこの「オレンジガール」と題された小説(遺書)とどのような関係があるのかは、最初は「謎」として提示されるだけです。
さらに大きな「謎」があります。ヤン=オーラヴはゲオルグに問います。もしもこの広大な宇宙の中で、たった1回の生を生きそしてすべてを失って死ぬか、あるいはそれを辞退するか、それが選択できるとしたら、君はどちらを選択するだろうか?
いくつものレベルの謎が重層的に提示され、それぞれが生き生きと有機的な関係を持っています。オレンジガールとは誰なのか。なぜヤン=オーラヴはこのような遺書を息子に残して死んだのか。白いトヨタの男は誰なのか。ハッブル宇宙望遠鏡は人類にどんな意味があるのか。
「人生とは何だ?」と大上段に振りかぶってはいません。身近な話題と謎を使ってとても深いところまで心に食い込んでくる本です(ただ、二人のなれそめとかセックスのこととかを子どもに知られるのは、親としてはばつの悪い思いでしょうけれど)。
ヤング・アダルトと、ヤング・アダルトの部分が心に残っている人には、お勧めです。