心の中のBYJと共に!

ようこそ!老年期まっしぐらのハルの韓国旅行時々国内旅行の記録です。最近は旅には出ても、報告アップが滞りがちですが…

『あなた、その川を渡らないで』

2015-10-28 | 映画

10月26日の昨日四谷の韓国文化院にてコリアン・シネマウィーク『あなた、その川を

わたらないで』というドキュメンタリ映画を見てきました。

 

あと数年で100歳になるという夫と90歳近い妻の老夫婦の1年余りの生活を

追いつつ、純な二人の愛情交歓と結婚生活を振り返り、近づきつつある永遠の

別れを迎えるまでを描いたものでした。

 

二人はとてもお茶目です。冒頭落ち葉がたまった庭を、ハルモニ(おばあさん)が

掃いているとハラボジ(おじいさん)が手伝い、いつしか二人でお掃除。

でもそれも束の間、ハラボジは両手に落ち葉をいっぱい抱え持つと、ハルモニの

頭目がけてに雪のように降らせ始め、いつしか雪合戦ならぬ落ち葉合戦のはじまり。

(落ち葉合戦ではないけれど、ドラマ「冬のソナタ」の初盤で焼却炉当番をするチュン

サンが、ユジンに落ち葉の雪を降らせた場面が、すぐに浮かんできました^^)

 

雪の日は当然雪合戦を、初夏の山・野草摘みの後は、家の前の川で野菜を

洗うハルモニを対岸で見ていたハラボジ、いきなりハルモニにかかるように

小石を流れの中にポチャン。この時もいつしか水かけ合戦に!

 

二人は、とてもオシャレです。淡いピンクや紫など綺麗な色のおそろいの韓服を

着て、どこに行くのも堅く手をつないで一緒に出かけます。

老人に鮮やかな色の衣服は、日本人には馴染みのない感覚ですし、私もどちらか

というと地味好みなので、選んでみるといつも似た傾向の色になってしまい、娘に

「年を取ると黙ってても顔色がくすんで暗くなるから、洋服は明るい色にした方が

良い」なんてアドバイスをされています。韓国人の色彩感覚は娘のように若いようです。

 

二人はとても仲良しです。というより相手への愛が深いです。

先の落ち葉合戦の後、ハラボジは庭に咲く菊の花を摘み始め、小さな花束にして

手渡したり、耳に差してあげたり・・・。

深夜、家の外にあるらしい手洗いにハルモニが行く時、ハラボジは一緒に

お布団から抜け出し手洗いの外で歌をうたって待っててあげます。

二人はさりげなくいつもスキンシップしています。寝ている時はハルモニの髪を

なでてあげるハラボジ。身支度の時はお互いに相手の御髪の手入れも・・・

 

超高齢の老夫婦のドキュメンタリー、当然家族関係についても描かれます。

深刻ではないけれど、若干の問題も抱えているようですが、大したことは

ありません。二人は仲好く二人の生活を楽しんでいますし、家族は正月や

誕生日には二人の家に集合します。

 

映画の終盤ハルモニは洋品店でパジャマを買います。6人分・・・孫用?と

思っていると・・・・ちょっと違うようです。

病気や戦争で亡くなって、買って着せてあげられなかった子供のための寝巻だ

そうです。

「あの世であなたが着せてあげてね」と死期の近い夫に託し、竈で燃やします。

 

長い結婚生活いろんなことがあったけれど、二人とも誰よりハラボジが・ハルモニが

大好きで、死が二人を分かつまで一緒にいることそのものを大切に暮らしています。

 

秀作です。二人の日々の生活からにじみ出てくる相手への愛が、しみじみと心に

沁みてきます。今日検索していて、この映画が韓国作だという理由で、日本では

一般公開の目途すらないという記事がありました。残念でたまりませんが

良い作品なので、きっと、じわ~っと見られていくと期待して~~。