「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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三沢光晴と長井健司の「死」

2009-06-16 00:46:30 | その他
「死」をめぐる直接映像というのは
ジャーナリズムの仕事をしていても
そんなに頻繁に取り扱う訳では
ありません。

もちろん殺人事件や死亡事故の現場の
映像というものは
死に近い情報を与えてくれますが、
まだ間接的なもので
撮影対象となっている人間そのものの
「死」をめぐる映像と
向き合うことは実は少ないのです。
このことをどう取り扱うのかは
2009年を生きる僕には大きな問題なのです。

僕にはもちろん2007年9月27日におきた
ミャンマー軍による
長井さんの銃殺という衝撃的な映像を
受け止めたことがあるので
経験はありますが、
この週末は二年ぶりにその類の中身にゆきあたりました。

今回のプロレスラー、三沢光晴さんの
試合中でのアクシデントがあり
その後救命措置がとられて搬送されるまでの
一部始終の映像です。

長井さんと違い、僕は三沢さんを直接は知りません。
ただ二代目タイガーマスク時代から
三沢さんの主な試合の動向は知っていますし、
気になる試合はテレビなどで見ていました。

全日本からノア立ち上げ。
真面目な性格と責任感の強い人柄は
プロレス界の中でも突出していましたし、
ここ数年のプロレス不況とも言われる時代の中で
試合の中身で、お客を会場に呼べる
数少ない団体がノアで
その経営も試合も中核は三沢さんであったことは
他のプロレスマニアと同じく
僕にも常識でした。

最前線で身体を張ってまわりを支えていたのが
三沢さんでした。

この三沢さんがあのような形で亡くなられたこと。
さらには、そのアクシデントの直後の
リアリティのすさまじさが
直面した映像からひしひしと伝わってきました。
本当に起きている出来事はあまりにも
あっけなくて、
まわりの観客は最初は事態を正確にとらえることが
難しく、
何分後から動揺が走る様。
リングというプロレスラーにとっての
最前線で、試合中のアクシデントから
おきた一連の出来事の映像。

紛争状態というジャーナリストの最前線で
長井さんにおきた、
ある意味、あっけないまでの発砲の映像。

「死」をめぐるこれらの映像は
僕にすさまじく「思考」を迫り続けます。


この三沢さんの「死」を巡る映像が
YouTubeで
丸一日がすぎたくらいの今の時点で
既に80万回以上も見られていることも
僕らの「死」を巡る現在を
雄弁に物語っていると思います。

三沢さんのご冥福をお祈り申し上げます。


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徳光アナ「取り乱してしまい申し訳ない」
 14日午前放送の日本テレビ系「ザ・サンデーNEXT」は、前日13日の試合中に亡くなった三沢光晴選手がリングで倒れてから病院に搬送されるまでの映像を流した。

 かつてプロレス中継を担当したこともある徳光和夫アナウンサー(68)が番組冒頭、取り乱すシーンも。同アナは「三沢選手は受け身の名人でした。それが受け身で亡くなった。無念だったと思います。悔しいけど冥福を祈らざるをえません。彼はプロレス界のリーダー。今後プロレス界がどうなってしまうのか心配でなりません。私はこの映像を今初めて見ました。取り乱してしまい申し訳ありませんでした」。悲しみをこらえ、約20分にわたって三沢選手の訃報を伝えた。

日刊スポーツのサイトニュースより[2009年6月14日8時39分]
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