長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

節句働き

2010年08月24日 08時08分00秒 | 折々の情景
 「怠け者の節句働き」という言葉がある。
 節句は祀りごとをするので、仕事はお休みするのですが、怠け者は仕事が終わらないから、そんなときに限って働いている、ということですな。
 みんなが休んでいるところで立ち働いて、ことさら働き者のようにアッピールしていることもいうのかもしれない。

 旧盆のあいだ、東京はものすごくガラガラで、昭和の円谷プロの特撮もの、「ウルトラQ」や「怪奇大作戦」の、街から突然人が消えた…的なSF物を観ているようだ。常日頃の人口密度がすべてまぼろしだったようで、何となくウキウキする。
 そんなスカスカしたお盆の都内で、働くのも、日頃行かない都内の名所旧跡に行ってぼんやりするのも、愉しい。

 …お盆が過ぎるといよいよ夏休みは終盤で、子ども心は焦りに焦りまくるのだが、この、夏休みの誘惑にはあらがうすべがない。
 恒例、怪談やドラキュラ映画だって観なくちゃならないし、デパートの特設会場のお化け屋敷にも行かなきゃ。両親や町内会、子ども会が企画してくれる海水浴やキャンプはあまり気が進まないが、行かなきゃね…とまぁ、やりたいことはたくさんあるのだ。

 立秋が過ぎて、旧暦の七月になると、蝉の声に代わり、秋の虫の声が聞こえ始めて、ただただ青かった空も、風が透明な朱色を帯びて、そこはかとなく哀愁を含んでくる。
 …ぼんやりと、そんな秋の気配を感じていると、あっという間に夕暮れが忍び寄ってくる。花火ってすぐ終わっちゃうんだね…とか、何となく子ども心にも無常感がしみじみと迫ってくる。
 そうして、あっという間に夏休みは終わり、毎年、深く後悔しながらも、私は結局、9月1日に夏休みの宿題をやっていたのだった…。

 お盆はもともと、旧暦の七月十五日の行事で、それをそのまま新暦に移したのが東京のお盆。日にちだけ残して、気候的にマッチする8月15日に執り行うようになったのが、今いわれている旧盆である。旧暦では十五日は満月にきまっているから(月齢がそうでも暦の都合で一日ずれてる場合もありますが)、それで十五日というのは特別な意味合いがあったらしい。
 お盆を、太陰太陽暦で本来の七月十五日に行うことにすると、今年はきょう、8月24日火曜日に当たります。
 お墓参りに行きそびれた方は、本日、どうぞ…。
コメント
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