空き缶の行方

空き缶の行方

ある休日の晴天の日、私は横須賀線に乗って、久里浜に向かっていた。横須賀線は鎌倉を過ぎると、一気に乗客が減り、人もまばらになって、何とも、のどかな気分になる。

私は向かいの外をボーっとして見ていると、左から空き缶がカラカラ音を立てながら、転がってきた。空き缶は微妙な傾きによって行きつ戻りつしていた。少し傾いたのか、空き缶は勢いづいて、カラカラと転がってきて、目の前の女性のハイヒールにカタっとぶつかった。そして空き缶はそのハイヒールで座席の下に追いやられた。

しばらくすると、いつの間にか女性は消えて、空き缶はまたカラカラ音をだして動き出した。しばらく行きつ戻りつしながら、今度は加速して左に転がっていった。

途中で中学生四人組のところへ行き、サッカーボールのように蹴りあいとなった。私は、笑いながら、餓鬼だな、と思い、その無邪気な様をのんびりと見ていた。

しばらくするといつの間にか四人組は消えて、空き缶はまたカラカラ音をだして動き出した。しばらく行きつ戻りつしながら、今度は加速して右に転がっていき、車両の間の繋ぎ目に、ポトっと落ちた。

私は空き缶が何を思いながらさまよっていたのか、想像した。そして空き缶にしては波乱万丈だったな、っと一言をねぎらってやった。