ナカナカピエロ おきらくごくらく

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灼熱地獄

2011-06-15 03:36:09 | 日記
灼熱地獄

とある真夏の日である。

私がまだ実家の一軒屋にいた頃、2階の自分の部屋で、だらだらしていたら、しゃくとり虫が、さながら尺を取ってゆっくりと動く様が、視界に入った。

私は昆虫が好きだが、けむし類は駄目。こうやって名前を書いているだけでも、背筋に鳥肌が立つように、気持ち悪くなる。

しかしこの虫もこの世で生を受けたもの。私は芥川龍之介の”蜘蛛の糸”を思い出し、この虫も逃がしてやろうと思い、広告の紙の上に乗せて、急いで窓から放り投げた。

ここで私は重大なミスを起こした。北側の窓ではなく、南側の窓から放り投げてしまったのである。

南側の窓の下はサンルーフがあり、灼熱の太陽を延々と浴び続け、まるで鉄板焼きのように熱く焼けていた。その上に落ちた、しゃくとり虫は、普段ののろまな動きが嘘であるかのように、狂ったようにもがき苦しみ、動かなくなった。

私は、この世でもっとも残虐な地獄を味わせてしまった、この虫にレクイエムを捧げた。
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