fernhaven rd.

狭いベランダで育てているバラのこと、趣味のこと、トールペイントのことなどなんてことない毎日を書いていきます。

昨日から夫は出張中、気楽な夜に映画『アスファルト』を観た。

2016-09-24 20:04:25 | 映画
夫のたまの出張の夜は、ご飯の心配もなく少々家の中が散らかっていても平気でとても気楽。

昨夜は、久々シネリーブル梅田でフランス映画『アスファルト』を観ました。

一見地味ながら繊細な詩情あふれる映画に、すごく感動しました。

よくぞこんなにステキな映画を作ってくださいました、脚本を書き監督もしたサミュエル.ベンシェトリさんに深く感謝。


フランス都市郊外のピカソ団地、古くて灰色の建物が並ぶ、冷たい風が吹きすさび、そこに住む人々の心もどこか孤独だ。

始まりのシーン、故障続きのエレベーターの交換について話し合う何か滑稽な住民たちの様子が映し出されます。

映画を観るとき、面白い映画はもう最初からいい映画の予感がするものですが

まさしくこの映画は始まった瞬間から「これはきっと当たりだわ。」とおもわせる魅力がありました。


簡単にあらすじを言えば、母親を亡くし孤独に暮らす中年の冴えない男スタンコビィッチ、母親と二人暮らしなのに母親の影がほとんど出てこない高校生のシャリル

一人息子が刑務所に入っているマダム.ハミダの三人がひょんなことから思いもかけない人と出会って、暖かな心を取り戻す、と言った内容です。


スタンコビィッチは夜勤の看護婦さんと、シャリルは落ちぶれた中年の女優と、マダム.ハミダは、空から降ってきたアメリカ人の宇宙飛行士と出会うのですが

その出会いは、一見現実的ではないのに全くのおとぎ話とも思えない絶妙のバランスで私たちの心をしっかりととらえます。


少しくたびれて寂し気な夜勤の看護婦さんにカメラマンだと嘘をつき何とか親交を結ぼうとするスタンコビィッチ

何故か落ちぶれた中年の女優に興味を持ち、彼女に再び女優として生きる勇気を与えようとするシャリル

刑務所にいる息子の代わりにアメリカ人の宇宙飛行士を慈しみかいがいしくお世話をするマダム.ハミダ
(英語しか話せない宇宙飛行士とフランス語しか話せないハミダのちぐはぐな会話に終始笑えます)

繰り返される孤独で退屈な毎日が、次第にささやかなでも美しく大切な時間へと変わっていく、

何処かしら奇妙でユーモラスなシーンを積み重ねながら得も言われぬ極上の映画へと作り上げていく監督、俳優さん、スタッフさんたちの力の結集に深く感動しました。


川底に潜む砂金のような映画、沢山の方にぜひ観に行っていただきたい映画です。

映画館を後にして、きっとホカホカと温かく幸せな気持ちで家路につけると思います。



二人の謎の若者、時々爆音で走り去る車、キィキィと団地に鳴り響く不可解な音、、、すべてが明かされるわけではないところもいいです。


中には700円も払ってこんな程度の内容なの?と言うパンフレットもありますが、
この映画のパンフレットは中身がとても充実しているのでお買い得です








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