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セリフのリズム

2015年05月28日 | 映画
「駆込み女と駆出し男」が抜群に面白い。

原作:井上ひさし「東慶寺花だより」
監督、脚本:原田眞人
出演:大泉洋 戸田恵梨香 満島ひかり 樹木希林 堤真一 キムラ緑子

と、この「おぉ・・!」と感嘆の声が出そうな芸達者な脇役陣を揃え、原作が井上ひさしと
きたら観るっきゃない、と愉しみにしていた作品だ。
江戸時代、夫との過酷な状況に家を飛び出し駆け込み寺(幕府公認なのだ)に助けを求めた女たちを描く。
内容の中身は壮絶ともいえる状況なのだが、なんだか、全員跳んでる感じが爽快だ。
激しすぎたり、剽軽だったりと個人の色合いが強烈。
セリフの面白さも際立つ。井上ひさし独特の語り口で、大泉洋がぴったり役に嵌っていた。
大泉の声質・話方が明瞭で、どんな早口で流れても耳にしかりと残る。
御用宿の住人”キムラ緑子”との初対面での二人の丁々発止のやり取りが抜群に愉快。
(キムラ緑子はなんとも上手い女優さんで・・惚れ惚れ)


満島ひかりの着物捌きが粋でカッコいい。
豪商の妾という役柄で「あだっぽさ」の中にキリリと商売をこなすヤリ手の女将さんを
介在させ見事てきれいであった。

樹木希林(御用宿の原兵衛役)は敢えて言うまでもなく、強烈な個性で役を嵌めていた。
樹木に至ってはどんな役でも「嵌めて」しまうのだ・・恐るべし芸達者。
この人の「間」の取り方が絶妙で場面にくぎ付けとなる。

堤真一、武田真治も着物捌きが粋で、それぞれの場面で印象に残る。

総じて、セリフのリズムが心地よく耳に残る作品であった。
セリフで聴く作品といったら大げさだろうか。

加えて特筆すべきはロケ地の美しさである。
滋賀県の「百済寺」「教林坊」「八幡堀」などを撮影されていて、、緑濃い風景も雪景色も
人々の暮らしに沿うように美しくそこにあった。
行ってみたい。



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