”東京オリンピック2020 サイドA" 監督:河瀨直美
監督が河瀨監督と発表されたときに期待と不安の気持ちが半々あった。
河瀨さんの作品は好印象をもっているが、果たして”オリンピック”を撮ることに向いているのかどうか?と。
蓋を開けてみれば・・・私はこの作品自体は秀作だと思ってます(生意気ですが)
ただ、はっきり好みが割れそうですが・・。
始まってから十数分の間にじわりと涙が溢れてきた。涙を誘うような展開はないのに「なんで?」なのか。
あのコロナ感染の始まりの様子、オリンピック反対の声、比して国立競技場の周りで開会式を祝福してくれる人々の様子、
特に印象的な夜空に打ち上げられた光の”地球”を見て、選手の間に外の観衆の間に感動のどよめきが沸き上がった時に
「開催できて良かった」と改めて心底思えたのです。(自身もあの時は「反対派」だった)
一年という選手にとって長い長い延期を経て直前まで迷走して辿りついた開催。そんな記憶が蘇った。
そう、この作品は余白がたっぷりあるんです。ナレーションを入れず映像だけで見せて、聞こえてくるのは選手やその家族
だったり関係者の声だけ。なので、ナレーションに誘導されることなくそれぞれの場所でそれぞれの思いを確かめながら
時間が過ぎていく。
各国の選手たちの事情を丁寧に扱っているところも好印象。
そして、エンディング曲の歌詞に選手たちの気持ちの総意を感じた
ただ、
市川崑監督の「東京オリンピック」を想像してしまうと、いささか趣が違ってしまうかも。
(特異な難しい状況での開催だったし)
しっかりと河瀨監督ならではの作品です。サイドBは6/17より
帰路、考えたこと。
やはり、大スクリーンで観る試合映像はド迫力で、あの迫力で「車いすバスケ」の試合映像を是非観たいと思った。
リアルタイムで観たのは決勝リーグだけで予選リーグはNHKの録画画像で観たのだが、
もしかしたら予選リーグを見逃した人って多いんじゃない?かな。どの試合もとてもいい試合だった
改めて映画作品として制作するという大変な要望ではなく、予選から決勝まで8試合ハイライトとして繋いで
「東京パラ・男子車いすバスケ全試合の記録」として映画化して欲しい。興行的にも観たいと思う人は大勢いると
予想する