だーばぁの流儀

児童文学作家・岡田なおこブログです。
全身マヒ+オストメイト・作家・アラ還ならではの日々を気ままにつづっています。

「あかりとマモル」 障がいだけが障害じゃない の巻

2019年03月01日 | クリエーター・モード
障がい児は・・・外に出たいのか? (社会に出たいのか?)


  ↑ 「あかりとマモル」を作るにあたり最初のさいしょーのミーティングで、絵を依頼したサカイノビーさんに質問されたことです。



ワタクシメが子どもの頃、親も周りも「積極的に外に出て、健常児と交流した方が良い」と考え、いろいろ工夫してくれました。
50年以上前のことですから (/ω\) 何もかも暗中模索・試行錯誤だったことでしょう。
今ふりかえれば、周囲(赤の他人)の協力に頭が下がります。
でも「障がい」に対して偏見の強い時代で、身内には「隠したい」気持ちがあるのも感じていたし、
通りすがりの人の心無い態度に傷つくことは日常茶飯事でしたから、
「無理してイヤな思いをしたくない」というのが素直な子ども心でした。


20年前、児童館・学童保育クラブの活動に参加させていただくようになった当初は、
「障がい児のためのプログラムを考えて下さるなんて有難い。素晴らしいことだから、もっと大勢参加すればいい」と思い、
知り合いの障がい児のママに声を掛けたこともあります。
しかし、そこで「障がいによっては『交流』が苦手な子もいる」とか、
「児童館に連れていくことが親の負担になるケースがある」とか・・・個々に事情があることがわかってきました。

この15年位の間に、民間でも「障がい児の支援」をする所が多くになり、障がい当事者が「支援サービスを買える」ようになったのです。
ワタクシメの幼少期は、「施し的」だったかもしれない行為が、「行政の義務」となり、
だんだんに「ある種の産業」として成り立っているわけです。


それからワタクシメ自身の考えにも変化があり、
「障がい児(者)が外に出る自由を保障しなければならない」と思う一方で、「外に出たくない意思も尊重するべきだ」とも、考えるようになりました。

ーー誰にでも「選択の自由」はあっていいじゃん!

それで、ノビーさんの「障がい児は・・・外に出たいの?」の質問にうまく答えられず、
「じゃー、どういう作品にしたいの? 何を伝えたいの?」という自問自答から、作品作りが始まりました。


「障がいだけが障害ない」です

児童館・学童保育クラブとの交流で一番学んだことは「障がいだけが障害」ではないということです。
複雑な家庭の子もいるし、「お兄ちゃん・お姉ちゃん」だから両親に甘えられず頑張るしかない子もいます。
ハーフの子や外国人の子は親よりも日本語が堪能で、「日本での生活を子どもが支えている」感じです。
見た目には「健常」であっても、そんな薄っぺらな言葉で判別できない、いろいろな「障害」を知りました。

だから児童館での活動を土台にするならば「『障がい』にだけスポットを当てるような作品は描きたくない」と強く思い、「あかりとマモル」に取り組みました。
そのスタンスは今後も貫くつもりです。

ワタクシメのコダワリを編集者さんも共感してくださり、伴走してくれたのですが、途中で気持ちが揺らいだことがありました。
ほぼ完成版のダミー本を身近な人たちに見てもらったのです。
普通は完成するまで誰にも見せませんが、今回は「なおこのおともだち」との合作でもあるので、ある程度はまわりの意見も聞いたのです。

この作品は「絵本」としてスタートしましたけれど、絵に文章をあて書きせざるを得ないページがあり、どうしても「決定打」が出ず悩んた時でもありました。

すると、
「まわりの子の事情なんかカットして、ハンデのある子のことだけ書けば、スッキリして絵本らしくなるよ」と。
このダメ出しをしたのはオヤジ様と(笑)、病気の子を持つママでした。

ーー親としたら周囲のことより、ハンデのある子のことをメインに書いてほしいのかなー (?_?)

なにしろ「文字が多い」のが気にかかっていたので、「断腸の想い」でまわりの子にあてたスポットを削ったりもしましたが・・・
編集者さんが、あえて苦言を呈して下さって(笑)、ワタクシメも自信を取り戻し、「障がいだけが障害ではない」というテーマに立ち返れました。


伝わった・・・みたい 😊


たった400部の私家版絵本ですから「実験作」であり、どこまでワタクシメのコダワリが読書に伝わるかわかりませんが、うれしい感想を書いていただいたのでご紹介します。

前回も抜粋した森川成美さんのブログから・・・【森川成美の創作日記】より
体があんまり動かないあかりは、みんなと遊ぶのが苦手です。
でも親は外で遊びなさいと言います。
あかりのともだちは自分は親が忙しくてかまってもらえないのに、あかりがいつも親といっしょなのをうらやましいと思っています。
どちらも、こどもらしい正直な気持ちと思います。


原和正さんは・・・【児童文学 ぞろ目の日タイムス】より抜粋
人と交流すること、特に、苦手な人と関わることは、本当に必要なことなのでしょうか。
自分だけの問題として考えると、よくわからなくなります。
しかし、絵本を通して見ると、やはりいろんな人と関わって世界を広げることは素晴らしいことなんだとわかります。
このお話の主人公あかりは、体が不自由です。あかりは犬のマモルを飼い始めたことをきっかけに、ちょっと苦手な人達と関わっていきます。
あかり自身は、最初は大変なのだと思いますが、その様子は見ていてとても幸せそうです。



こんなふうに感想を書いて下さったので、かなりホッとしています💦💦💦 (笑)

でもワタクシメの自問自答はずっと続くことでしょう。



    ↓  主人公のあかりが描いた絵です。
       初稿ではこの絵はいじめっ子たちにけなされて、あかりが反撃するセリフがありましたが、
       そのくだりは全部カットしました! 
       「絵が描けた」ことだけで、みんなの心が一つになるようなラストです。














コメント
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