思い出したくないことなど

成人向き。二十歳未満の閲覧禁止。家庭の事情でクラスメイトの女子の家に居候することになった僕の性的いじめ体験。

朝の仕事

2007-06-06 01:05:58 | 3.この家の決まり
 家庭の事情で母と離れて、クラスメイトのY美の家に居候させてもらうことになったのだが、もちろん僕自身が望んだことではない。
 Y美には、小学五年生の頃、つらい体験をさせられたので、僕はY美のことが嫌いだし、その意地悪い性格を内心恐れている。
 居候して一週間目の夜に、僕はY美の部屋に呼ばれて、パンツ一枚にさせられた。そして、折檻を受け、この家で生活する以上、Y美の言うことに従うこと、逆らわないことなどを約束させられた。約束を破ると、僕の母は職を失い、Y美の家に抵当に置かれた家屋や土地は、僕の家族から永遠に失われることになるという。

 その翌日。ドアを蹴る音で目を覚ました。Y美だった。
「起きなよ、まだ寝てるの?」朝から不機嫌そうな声が聞こえた。
「おはよう」僕がドアをあけて挨拶すると、Y美はもう学校の制服を着ていた。
「ちょっと、あんた、昨日約束したことをもう忘れたの。敬語でしょ。タメ口が許されるのは学校の中だけ。一歩でもこの家の敷地に足を踏み入れたら、あんたはもう私に敬語を使う決まりでしょ。約束を破ってもいいわけ?」
「忘れていました。ごめんなさい。おはようございます」
「それからもう一つ。夕べ、私の部屋を出た時、あんたの服は私が預かったままだったよね。あんた、今なにを着てるの?」
 パジャマ。パンツ一枚の裸で自室に戻って、僕は当り前のようにパジャマを着て、布団にもぐったのだった。つらい思い出がフラッシュバックしてなかなか寝付けなかったが。
「私が許可するまで服をまとったらいけないんだよ。あんたはパンツ一枚で寝なくちゃいけなかったのに」
「申し訳ありません」僕は頭を下げた。
「仕方ないね。もういいから、朝ご飯の用意をしてきな」
「はい」

 階段を下りて台所に行くと、Y美の母親が食器を洗っていた。朝の挨拶を交してから、
「夕べ遅く事務所から仕事の電話が入って、疲れてそのまま寝ちゃった。片付けもしないで」と、朝になって夕食の後片付けをしている理由を照れながら教えてくれた。
 Y美の母親は会社経営、不動産経営の仕事で忙しい。地元で仕事しているから、空いた時間を巧みに利用して家に戻り、炊事や洗濯などをする。それからまたすぐに仕事に行き、時には帰宅が深夜に及ぶこともある。毎日休みなく動き回っているにもかかわらず、疲れた感じの全然しない人で、最近、地元の情報誌に「三十代のエネルギッシュな女性」として紹介された。
 手伝いを申し出て、腕をまくってY美の母親の横に立つと、びっくりして、
「あら、いいのよ、そんなことしなくて。それより朝の支度をしたら」と言う。
「お世話になっていますし」と、僕は言い、布巾を取って濡れた皿を拭く。すると、僕から布巾を取って、別の布巾を渡し、「それじゃなくて、これで拭いてね」と言った。
「ありがとうございます。お母様」と僕はお礼を言った。
 Y美が冷蔵庫を開けて、ヨーグルトを取り出すと、自分の分だけ皿に盛った。
「あんたね、軽々しく人の母親をお母さんとか呼ばないでくれる?気持ち悪いじゃん。ねえ、お母さんだってそう思うよねえ?」冷蔵庫にヨーグルトを戻しながらY美が言った。
「別に気持ち悪いってことはないけど」困惑の笑みを浮かべながら、Y美の母親が答えた。「でも、そうねえ、どうせ呼んでもらうなら、おば様がいいかな」
「おば様ね。じゃあ決まり。この家では私のお母さんのことは、おば様って呼ぶこと。あんた、忘れんじゃないよ」
「まあ、怖い娘ねえ。そんなふうに言うもんじゃないわ。女しかいないこの家で、唯一の男の子じゃないの。もっと大事にしなくちゃ。ふふふ。それに頼もしいわ。朝ご飯の準備も手伝ってくれてる」
 トースターからパンを取り出し、皿にのせて運ぶ僕を横目で見て、おば様がにっこりと微笑んでくれた。僕は妙に嬉しくなった。
「居候だからそれくらい当然だよ。お母さんもあいつにもっとたくさん家事をやらせなよ。楽できていいじゃん。あ、あんたはヨーグルト食べちゃだめ。それは私の。ごちそう様」Y美は食べ終えた食器を流しに運ぶと、「行ってきます」と言って玄関を出た。






3 コメント

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こんにちは (memaido)
2007-06-06 06:49:28
はじめまして、楽しく拝見させていただきました。
またちょくちょく拝見させていただきます。
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Unknown (M.B.O)
2015-08-08 08:43:47
Y美の一家って早起きなんですね~!
わざわざナオスさんを起こしに来るなんて…


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Unknown (加奈子)
2016-01-29 19:19:48
Y美の家の生活が戸塚ヨットスクール以上に酷いのでは、何故、母は、ナオス君をY美の家に預けたのでしょうか。もし「スパルタの海」のドラマと同じ体験談だったらナオス君が自宅の自部屋に突然Y美とおばさまが現れて連行したことになるでしょう。ナオス君は、「スパルタの海」の俊平みたいに暴れなかったのでしょうか。Y美が戸塚ヨットスクールの教員以上に暴力振るうのならナオス君は、怪我(内出血)などあったのかが心配です。
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