思い出したくないことなど

成人向き。二十歳未満の閲覧禁止。家庭の事情でクラスメイトの女子の家に居候することになった僕の性的いじめ体験。

すっぽんぽんの犬(その2)

2007-06-16 19:50:37 | 4.とんだ災難
 肛門に深く埋められたゴム状の球体から白い紐が伸びている。
 全裸の僕を拘束し、いやがる僕の気持ちを全く無視して、球体を僕の肛門に押し込んだ若者たちは、この白く伸びた紐を「尻尾」と呼んだ。
 その若者たちがバーベキューの準備を始めた頃、僕はY美に助けられて、このつらい体験をさせられた場所から逃れることができた。ただし、「尻尾」を填められた僕は犬であり、犬である以上、二本足での歩行は許されないのだった。素っ裸のまま僕は草地に手をつき、尻を上げると、若者たちが囃したてる中、「尻尾」を振りながら、Y美に付いて進んで行った。

 西の空が夕焼け色に明るく染まっていた。両脇の草がY美の背丈よりも高く茂った道をくねくね曲がりながら進む。Y美が一飛びに越えた水溜りを四つんばいの僕は、じゃぶじゃぶ這って渡った。
 若者たちから充分に離れた場所まで来ると、Y美は立ち止まり、岩に腰を下ろした。こは周りを丈高い草に囲まれて、人の目に付き難い。Y美は、もう二本足で立ってもいいから、と言うと、困った顔をして足を組み、考え込むのだった。僕はY美のそばで、おちんちんを隠したまま起立し、言った。
「とにかく脱いだ制服を早く着たいです」
 Y美はちらと僕を見てから、
「パンツはどうしたの」と聞いた。
「パンツは」と、僕はもじもじしながら答えた。「はさみで針から外したんですが、すぐに速い流れに飲み込まれてしまい、流されてしまいました」と答えた。
「そうか」と、足を組み直すと、Y美はさらに深く考え込んでしまった。そして、「あんたがパンツを無くすのは、予想していなかったんだよなあ」と、困ったような声でぼやいた。「それにその尻尾も。そんなもの埋められちゃって、もう」と、僕を軽く非難するような目で、見た。
「もうパンツは仕方ないですから。それよりも暗くならないうちに、早く服を着て帰らないと。パンツがなくても直にズボンを穿けばいいだけですから」
「それがねえ、そう簡単にはいかないんだよ」と、相変わらず難しい顔をしてY美が言った。「あんたの服ね、F田雪ちゃんに渡しちゃったんだ、鞄ごと」
「なんですって」
「雪ちゃんが鉱石を採ってくれたお礼に何かしたいと申し出たから、あんたの服と靴を鞄の中に全部詰めて、これを私の家の庭に放り込んでほしいと頼んだのよ。雪ちゃんはお安い御用とばかり引き受けて、幸ちゃんと一緒に帰っちゃった。だから、あんたの服は、今ごろ、うちの庭の中」
「ひどい。どうしてそんなことするんですか」僕が全身をわなわな震わせて抗議すると、Y美は珍しく首をすくめて、申し訳なさそうに言った。
「パンツ一枚あれば、恥かしいかもしれないけど、人に見つかっても、川で泳いでいましたとか言ってごまかせると思ったのよ。そういう子どもって実際いるでしょ。私はあんたをパンツ一枚で帰すつもりだったの。でも、真っ裸でお尻から尻尾出して帰る人は、ちょっといないよ。人に見られたら、言い訳できないくらい恥かしいし。それよりもチャコ、パンツを探したほうがいいんじゃないの」
「こんな格好で、ですか。川にはまだたくさんの人がいるのに。お願いですからY美さん、探してきてくださいよ。もしかしたら、向こうの浅瀬のほうで引っかかっているかもしれないし。僕はここの草の中に隠れて、尻尾を取り外して、待ってますから」
 仕方ないな、とY美は岩から立つと、川のほうへ行った。一人取り残された僕は、肛門に埋められた尻尾を出そうとして、踏ん張った。何度も何度も下腹部に力を入れて、うんちをひねり出すつもりで踏ん張ったが、全然取れそうにないのだった。肛門の異物感が気持ち悪かった。肛門に指を入れてほじくり出そうとしたが、うんと奥まで差し入れて、ようやく球体らしいぶよぶよした物体に触れるのがやっとだった。これを手前に引き出すことなど、一人では途方もなく難しいものに感じられた。次に、尻尾を引っ張ってみた。しかし、ちょっと引くだけでちくっと痛む。我慢して少し強く引いてみると、肛門から腸が引きずり出されるような激痛が走った。和式便所でうんちをする時の格好で、片手で肛門を押し広げ、もう片方の手で尻尾を引いてみても、結果は同じだった。この痛みに耐えて引っ張り出すことなど、不可能に思えた。多分、力の限り尻尾を引っ張られたら、僕は失神するだろう。

 西の方角が薄い紫に染まって、鴉が鳴いていた。土手の散歩道を子どもたちが自転車に乗って去ってゆく姿が草の間から見えた。ここから家までどれくらいの距離があるのだろう。確実に1㎞以上はあるように思われた。こんなところから、素っ裸のまま、お尻から尻尾をぶら下げて、帰れるだろうか。僕はY美がパンツを見つけてきてくれることを、ひたすらに祈った。
 服を着たい。もうこれ以上素っ裸をさらして恥かしい思いに耐えるのは、うんざりだった。普通に服を着て普通に生活がしたい。全裸の体を草地に丸めて、そんな幸せを思った。僕は今、その幸せから力ずくで引離されたのだった。人に見られないようにこそこそ隠れて過ごしているうちに、卑屈な思いが湧いてくる。
 せめてパンツ一枚でも穿いていれば、今よりは救われた気持ちになる。人に見られたら赤面するけれども、素っ裸でお尻から尻尾を垂らして歩いている姿を見られることを思えば、大したことはないように感じられるのだ。パンツ一枚でもいいから、身にまとって、この言い訳しようのない、恥かしい尻尾を隠したい。

 チャコ、チャコと呼ぶ声がし、草が大きく揺れてY美が戻った。Y美は手になにも持っていなかった。立ち上がった僕が口を開く前に首を横に振って、「だめ。見つからなかった。遠くまで探したけど、ない」
 がっくりと気落ちする僕に、「私が付き添ってあげるから、人に見つからないように帰ろうよ」と言い、僕のお尻から尻尾が垂れたままなのを見た。
「取れないんです」と、僕は泣きそうな声を出した。
「やっぱり取れないか」岩の横に置いた鞄を取ると、Y美はこの高い草に囲まれた場所から出ようとした。「ちょっと見てあげるから、付いてきて」と、言った。
 草原を出ると河原だった。まばらに人影が見える。
「ここだと人に見られてしまいます」僕が押し殺した声で強くそう言うと、Y美はこちらを振り向いて、「草の中だと暗いでしょ。人に見られたって、薄暗いから、なにやってるのか、よく見えないわよ。早くここに来て四つんばいになって」と、石のごろごろした足元を指し示す。
 夕映えのオレンジ色の空気の中、僕は川に頭を向けて四つんばいになった。素っ裸なので夕暮れの風が少し肌寒く感じられる。頭を下げると、河原の石に顎が触れた。Y美が僕のお尻を開いて肛門を覗き込んでいる。そして、「見づらいんだけど」と言った。僕は恥かしさに震えながら、お尻を突き上げた。
 Y美の指が僕の肛門をまさぐっている。これか、とか、ずいぶん奥まで入ってるね、とか呟きながら、ゴム状の物体を引っかいたり、尻尾を引いたりしている。そのたびに走る激痛に僕が体をのけ反らせると、「ちょっとは我慢しなさいよ。大袈裟なんだから」と、僕のお尻をぴしゃりと叩く。 
 河原の石には日中の日差しの温もりがあった。それを手や腕、足の裏で感じていると、人の気配がして、釣り人が片付けをしながらちらちらとこちらを見ているようだった。見られている。この薄暮の中、釣り人の距離からは、Y美と僕の姿は岩のように黒く見えるに違いない、と僕は考えることにした。実際、こちらからもその釣り人が一人なのか二人なのか、、三人なのか四人なのか、判然としなかったのだから。
「難しいね。少し川に浸かってみたら」と、Y美が新しい考えを述べた。川の水で肛門を濡らしたら取れやすくなるのではないか、と。
 日中と違い、夕暮れ時の川の水は冷たかった。僕が腰まで浸かると、Y美が「もっともっと」と言う。肩まで浸かると、僕の頭のてっぺんをぐっと押して、体全体を川の中に沈めた。もがいてY美の力から逃れた僕は、Y美に背を向けてごほごほと咳き込んだ。
 川から上がった僕の手首を掴んで、Y美は下流の方へ移動した。日中、幼稚園児たちが水遊びをしていた場所である。さすがに今は園児たちの姿はなかったが、この広く見渡せる河原には、まだ人影がまばらにあった。
 ここの川は深さがくるぶしぐらいまでしかない。Y美は自分が肛門に水をかけながら尻尾を引いてみる、と言い、僕に川の中で四つんばいになるように命じた。僕がその通りのポーズを取ると、岸からでは浅すぎて水がうまくかけられなかった。Y美は「やだな。私も川に入らないと、水をかけられないのかな。やだな、裸足になるの。足とか汚れそうだし」と、ぼやいている。
 それを聞いて、僕は急に込み上げるものを感じた。こっちは午後二時半頃からパンツ一枚の裸にされ、川で石採りなどをさせられた挙句、パンツを無くしてしまい、七時近くの今に至るまで、ずっと丸裸のままなのだ。そして、年下の女の子におちんちんやお尻を観察されたばかりか、多くの人が見ている前で恥かしい屈辱的な格好で拘束され、肛門に尻尾まで付けられいる。そういう僕のつらい体験を知っているくせに、Y美は裸足になって川に入るのがいやだと言う。
「あんまりじゃないですか。もういいですよ。川に入らなくても」
「なによ、私、そんな変なこと言った? なんで涙流しているのか、よく分からない。あんたと私は、対等じゃないんだし、あんたが裸で私が服着ているのは当り前のことじゃないの。それに私、あんたにパンツ脱げなんて一言も言ってないよ。あんたがパンツを釣り針に引っ掛けたって言うから、はさみまで貸してあげたでしょ。それなのに、あんたが自分の不注意でパンツを紛失したんじゃないか。私はあんたのために、川の下流の方までパンツを探しに行ってやってるんだよ。自分の不注意で恥かしい思いをしているくせに、なんで私の責任みたいに思っているのよ。いい加減にしなさいよ。だいたいあんたがパンツを流されたりしてなきゃ、今ごろ家でテレビでも見ていたよ。親切心で付き添ってやってんのに、仇で返すとは恐れ入ったわ。あんた、誰の家に飼われているの、チャコ。あんたなんか置いてけぼりにしてもよかったのに」
 だんだんヒートアップするY美に、僕は「ごめんなさい」と、頭を下げた。
「それが謝る態度? ちゃんと土下座して謝りなよ。その川の中でいいから」
 川から上がろうとする僕の肩を「川の中でいいって」と、どんと突いて、Y美は、川の中で尻餅をついた僕が土下座の姿勢になるまでを、仁王立ちに待つ。
「申し訳ございませんでした」全裸の身に冷たい川の中で僕は土下座した。
 聞こえない、とか、気持ちがこもってない、とY美が言い、そのたびに僕は土下座を繰り返させられた。下げた頭を水の中に押さえつけられたりもした。何度も大きな声を張り上げさせられたので、土手の上から何人かが振り返ったほどだった。
 
 川の中ほどに尖がった岩が突き出ていた。
 その岩にしがみ付くようにY美が言った。
「もっと股を開いて、しっかり掴まりなさいよ。おちんちんを岩に押し当てなさい。もっと、ぎゅっとおちんちんを岩に当てるの。ぎゅっと。そうそう、それでいい」と、Y美は、裸足になって川に入り、素っ裸のまま岩にしがみ付いて尻尾の垂れた尻をさらしている僕に近づいてきた。
 そして、先ほどのように、僕のお尻をひらいて肛門の尻尾を調べると、川の水で濡らした指を操って肛門の周りをマッサージするのだった。時々川の水をかけて、丹念に肛門を揉みながら、ゆっくりと尻尾を引いた。しかし、尻尾はびくともしなかった。Y美は根気よくマッサージを続けていたが、一向に肛門の中の物体を動かすことができないので、ついに苛立って、力まかせに尻尾を引いた。
 激痛。僕はしがみ付いていた岩から落ちて、川の中に尻餅をついてしまった。横たわって痛む肛門をさすっていると、Y美が「だからしっかり掴まってろって言ったでしょ」と、僕の髪の毛を掴んで川の水にぎゅっと沈めるのだった。
 水から頭を上げて荒い呼吸をしている僕に、Y美が、
「とてもじゃないけど、ここで尻尾を取ることはできないね。あんたは肛門から尻尾を垂らした丸裸のまま、家に帰るしかないよ。ちょっと遠いから、もしかすると、もっとたくさんの人にその恥かしい格好を見られちゃうかもしれないけど、まあ、運命だと思って諦めな」と言い放つのだった。
 沈んだお日様の代りに月の光がこぼれていた。その細やかな光の粒はY美のブラウスやスカート、長くてすらりとした手足の上に輝き、この十三歳の女子の気まぐれな性質を、崇高で及び難いものとして、いっそう際立たせるのだった。

人気blogランキングへ
FC2 Blog Ranking

[追記]
う~ん、今回は、ちと純文学的な表現が鼻につくか。
昔の僕の悪い癖が出てしまった(笑い)
あんまり文学とか、興味ないんだけどね。

読んでくださった方、よろしかったら感想とか聞かせてください。
リンクも歓迎。

チャコ拝
 


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
☆最高です☆ (hiro)
2007-06-16 21:00:20
いつも楽しみにして、読んでます。
女の子に裸を見られてしまうのとか、すごい萌えました☆

これからも、応援しております。
頑張ってください
返信する
感謝します (チャコ)
2007-06-17 05:23:19
hiro様

初めまして。
応援、ありがとうございます。

この話、長編でして、まだまだすごいことになります。
いまだ序の口溝の口、と言ったところです(意味不明!)

引き続き、どうぞよろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿