〇
ドアの割れ目から毛むくじゃらの腕が伸びてきた。
「ちょっと貸して」ルコが僕のシャツを強引に脱がし、怪物の腕に向かってシャツを鞭のようにしならせた。
怪物は呻き、なおも執拗に腕を振り回した。
「ナオスくん、ズボン借りるね」
今度はメライちゃんが僕の長ズボンを下ろして足首から抜くと、ルコに加勢して、ズボンを腕に叩きつけた。
数分後、思わぬ反撃に遭った怪物はすごすごと立ち去った——僕のシャツとズボンを収穫物として。
「ひどいよ」
シャツとズボンを脱がされてしまった僕は、怪物を撃退して安堵する二人に言った。
彼女たちは、パンツ一丁の僕に初めて気づいたようだった。
キャッと叫んで顔を背けるメライちゃん。
「ごめん。でも仕方なかったよね」と居直るルコ。
僕たち三人は、明日の夕方までここに留まっていなければならない。
外の世界は怪物がうようよしている。
この六畳に満たない部屋で僕たちは救援を待つ。
ルコとメライちゃんは普通に服を着て、僕だけパンツ一丁だった。
どこにも僕の羽織る物はなかった。
〇
妖怪キュルルに触れられると、その部分の服がまるごと消える。
僕はすでに靴と靴下をなくしていた。
欄干に寄りかかってメライちゃんと行き先を確認していたら、橋をよじ登ってきたキュルルに足首を掴まれたのだ。
「やだ。裸にされたくない」
メライちゃんが声を震わせた。
素早く僕の後ろに回って、キュルルの触手を逃れるメライちゃん。
あっと思った瞬間、僕のシャツは忽然と消えた。
身を翻して逃げる。キュルルルル、と叫ぶ声がして、やだ、気づくとズボンも消えていた。
あっというまにパンツ一丁にされてしまった。
キュルルの目当てはメライちゃんだった。
フェンスを乗り越えるメライちゃんのワンピースの裾がめくれて、パンツが見えた。
感動している場合ではない。キュルルが迫ってくる。
僕は棒切れを振り回してキュルルを威嚇した。でも無理だ。キュルルは全然恐れていない。
棒切れを草地に捨てると、僕も続いてフェンスに足をかけた。
てっぺんからジャンプする。やった、何とか逃れた。
キュルルのぶよぶよした体格ではフェンスは越えられないのだ。
メライちゃんが指のひらいた手を顔に当てて、キャッと叫んだ。
ん、なんか股間がスースーする。
白いブリーフのパンツがフェンスに引っ掛かっていた。
慌てて取ろうとしたら、ビリッと破れた。
まずい、とうとう素っ裸になってしまった。
メライちゃんと僕は、丈高い雑草に覆われた小径を歩いた。
僕だけ素っ裸なので、メライちゃんに先を歩いてもらった。
途中で道が二手に分かれていた。
「ねえ、ナオスくん、こっちでいいのかな」
メライちゃんが振り返って問う。
キャアアアア。
悲鳴を上げるメライちゃん。
無理もない。
そのとき、僕は全身粘膜に覆われた緑色の妖怪に覆い被されていた。
ぶよぶよした手が僕の平板な胸をまさぐる。
四つん這いにされ、お尻を固定される。
この妖怪には手が何本もある。まるで巨大なミズタコのようだった。
キューキュッキュッ。吸いつかれる。お尻の穴にぬるぬるした物が入ってくる。
思わず声が出てしまう。
襲われても声を出さないように頑張ったのは、ひとえにメライちゃんに気づかれないためだった。
でも、もうその必要はない。
メライちゃんは犯されている僕を見ながら、「ナオスくん、だいじょぅぶ?」ときいた。
だいじょうぶなわけないじゃん、もう。
早く助けを呼んできて、と伝えたいのに、口にも細長い管が入ってきて、言葉を発することができない。
おちんちんにも管が巻きついてきた。だんだんと大きくなるおちんちん。
「ねえ、ナオスくん、もしかして感じてるの?」
感じてしまってるよ、感じるに決まってるでしょ、こんな目に遭ってるんだから。
ふとメライちゃんのほうを見ると、メライちゃんはとろんとした目をして、口から涎を垂らし、自分で自分の胸をまさぐっていた。
この緑色の妖怪が全身から発する催淫の匂いは、相当に強いのだった。
〇
妖怪村に侵入した女子探検隊から、連絡が入らなくなった。
音信不通になって一か月。
突然、彼女たちは町に戻ってきた。行きと同じように元気な姿で。
一見、出発前と何も変わっていないように思われた。
でも、僕は知っている。彼女たちは以前と比べて、格段に意地悪になった。
特に弱々しい印象を与える男子にたいしては容赦なかった。
とっ捕まえて、服を脱がし、解剖する。
以前の女子探検隊だったら、こんなひどいことはけっしてしなかったのに。
実際、僕はいじめられているところを彼女たちに助けてもらったことがある、何度もだ。
ただ向学心に溢れて、研究熱心なところは少しも変わっていないようだった。
女子探検隊は、放課後、屋上に呼び出した僕を真っ裸に剥くと、万歳した格好で両手を縛った。
今日のテーマは勃起。
実験用女子のスカートをめくってパンツを見せたりする。
たちまちピクッとおちんちんが反応してしまう。
探検隊はノートにその経過を書き込む。
「はい、次」と探検隊のリーダーが言った。
次は物理的な刺激を与えるという。
何回こすれば射精するか。
やめて、と僕は涙ながらに訴えた。もちろん彼女たちは聞く耳を持たない。
妖怪村はすばらしいところ、だけどもう二度と行けないの、と記録係が言った。
「妖怪村では、みんな幸せ。女子はみんな幸せ」
「だから、この町を少しでも妖怪村に近づけなくてはいけないのよ」
僕は呻いた。とうとう射精してしまった。
記録係は記録しそこなった。つまらないお喋りをしているからだ。
それなのに、
「もう一回、射精してよ」
いとも簡単に言ってくれる。
もう無理、すでに三回も射精させられているのだ。
少し休ませて、と僕は訴えた。
山の端に日が沈んで、一番星が鉄塔の上に輝いていた。
ドアの割れ目から毛むくじゃらの腕が伸びてきた。
「ちょっと貸して」ルコが僕のシャツを強引に脱がし、怪物の腕に向かってシャツを鞭のようにしならせた。
怪物は呻き、なおも執拗に腕を振り回した。
「ナオスくん、ズボン借りるね」
今度はメライちゃんが僕の長ズボンを下ろして足首から抜くと、ルコに加勢して、ズボンを腕に叩きつけた。
数分後、思わぬ反撃に遭った怪物はすごすごと立ち去った——僕のシャツとズボンを収穫物として。
「ひどいよ」
シャツとズボンを脱がされてしまった僕は、怪物を撃退して安堵する二人に言った。
彼女たちは、パンツ一丁の僕に初めて気づいたようだった。
キャッと叫んで顔を背けるメライちゃん。
「ごめん。でも仕方なかったよね」と居直るルコ。
僕たち三人は、明日の夕方までここに留まっていなければならない。
外の世界は怪物がうようよしている。
この六畳に満たない部屋で僕たちは救援を待つ。
ルコとメライちゃんは普通に服を着て、僕だけパンツ一丁だった。
どこにも僕の羽織る物はなかった。
〇
妖怪キュルルに触れられると、その部分の服がまるごと消える。
僕はすでに靴と靴下をなくしていた。
欄干に寄りかかってメライちゃんと行き先を確認していたら、橋をよじ登ってきたキュルルに足首を掴まれたのだ。
「やだ。裸にされたくない」
メライちゃんが声を震わせた。
素早く僕の後ろに回って、キュルルの触手を逃れるメライちゃん。
あっと思った瞬間、僕のシャツは忽然と消えた。
身を翻して逃げる。キュルルルル、と叫ぶ声がして、やだ、気づくとズボンも消えていた。
あっというまにパンツ一丁にされてしまった。
キュルルの目当てはメライちゃんだった。
フェンスを乗り越えるメライちゃんのワンピースの裾がめくれて、パンツが見えた。
感動している場合ではない。キュルルが迫ってくる。
僕は棒切れを振り回してキュルルを威嚇した。でも無理だ。キュルルは全然恐れていない。
棒切れを草地に捨てると、僕も続いてフェンスに足をかけた。
てっぺんからジャンプする。やった、何とか逃れた。
キュルルのぶよぶよした体格ではフェンスは越えられないのだ。
メライちゃんが指のひらいた手を顔に当てて、キャッと叫んだ。
ん、なんか股間がスースーする。
白いブリーフのパンツがフェンスに引っ掛かっていた。
慌てて取ろうとしたら、ビリッと破れた。
まずい、とうとう素っ裸になってしまった。
メライちゃんと僕は、丈高い雑草に覆われた小径を歩いた。
僕だけ素っ裸なので、メライちゃんに先を歩いてもらった。
途中で道が二手に分かれていた。
「ねえ、ナオスくん、こっちでいいのかな」
メライちゃんが振り返って問う。
キャアアアア。
悲鳴を上げるメライちゃん。
無理もない。
そのとき、僕は全身粘膜に覆われた緑色の妖怪に覆い被されていた。
ぶよぶよした手が僕の平板な胸をまさぐる。
四つん這いにされ、お尻を固定される。
この妖怪には手が何本もある。まるで巨大なミズタコのようだった。
キューキュッキュッ。吸いつかれる。お尻の穴にぬるぬるした物が入ってくる。
思わず声が出てしまう。
襲われても声を出さないように頑張ったのは、ひとえにメライちゃんに気づかれないためだった。
でも、もうその必要はない。
メライちゃんは犯されている僕を見ながら、「ナオスくん、だいじょぅぶ?」ときいた。
だいじょうぶなわけないじゃん、もう。
早く助けを呼んできて、と伝えたいのに、口にも細長い管が入ってきて、言葉を発することができない。
おちんちんにも管が巻きついてきた。だんだんと大きくなるおちんちん。
「ねえ、ナオスくん、もしかして感じてるの?」
感じてしまってるよ、感じるに決まってるでしょ、こんな目に遭ってるんだから。
ふとメライちゃんのほうを見ると、メライちゃんはとろんとした目をして、口から涎を垂らし、自分で自分の胸をまさぐっていた。
この緑色の妖怪が全身から発する催淫の匂いは、相当に強いのだった。
〇
妖怪村に侵入した女子探検隊から、連絡が入らなくなった。
音信不通になって一か月。
突然、彼女たちは町に戻ってきた。行きと同じように元気な姿で。
一見、出発前と何も変わっていないように思われた。
でも、僕は知っている。彼女たちは以前と比べて、格段に意地悪になった。
特に弱々しい印象を与える男子にたいしては容赦なかった。
とっ捕まえて、服を脱がし、解剖する。
以前の女子探検隊だったら、こんなひどいことはけっしてしなかったのに。
実際、僕はいじめられているところを彼女たちに助けてもらったことがある、何度もだ。
ただ向学心に溢れて、研究熱心なところは少しも変わっていないようだった。
女子探検隊は、放課後、屋上に呼び出した僕を真っ裸に剥くと、万歳した格好で両手を縛った。
今日のテーマは勃起。
実験用女子のスカートをめくってパンツを見せたりする。
たちまちピクッとおちんちんが反応してしまう。
探検隊はノートにその経過を書き込む。
「はい、次」と探検隊のリーダーが言った。
次は物理的な刺激を与えるという。
何回こすれば射精するか。
やめて、と僕は涙ながらに訴えた。もちろん彼女たちは聞く耳を持たない。
妖怪村はすばらしいところ、だけどもう二度と行けないの、と記録係が言った。
「妖怪村では、みんな幸せ。女子はみんな幸せ」
「だから、この町を少しでも妖怪村に近づけなくてはいけないのよ」
僕は呻いた。とうとう射精してしまった。
記録係は記録しそこなった。つまらないお喋りをしているからだ。
それなのに、
「もう一回、射精してよ」
いとも簡単に言ってくれる。
もう無理、すでに三回も射精させられているのだ。
少し休ませて、と僕は訴えた。
山の端に日が沈んで、一番星が鉄塔の上に輝いていた。
子話楽しみにしていました。キュルルのネタの話ありがとうございます。話がボリュームアップしてとても良かったです。緑の触手のタコ妖怪とのことで女神は受難を与え給うの水草オクトパスと関わりあるかもと思いました。執筆中の長編も推理ものとのことで女神は~の続編でしょうか、楽しみにしています。
いつも早々にあたたかいコメントをありがとうございます。ものすごく励みになります。
水草オクトパスとは嬉しいご指摘です。
現在執筆中のものは、女神~ではなく、思い出したくないことなどのフィナーレを飾る内容になります。
女神の第2部はもう少し先になりそうです。もう人生賭けて書きます。
合間に小話を投稿していきたいと思いますので、どうぞ気長にお付き合いいただければ大変嬉しく思います。
新作長編、遂に思い出したくないことなどの最終章なのですね。ミステリーとのことで夏祭りで何か事件が起こるのか、または天女の一件でおば様に口封じされるのか、前話で仄めかされた出生の秘密に迫るのか、妄想が膨らんでとても心待にしております。ナオス君にはハッピーエンドを迎えて欲しい気持ちとおば様の仄めかすおぞましい進路の末路を見たい欲求がせめぎあっていますが
どちらにせよ楽しみにしています。
女神の第二部も楽しみにしています。
水草といえば瑞樹君も川でお尻を責められていたので、先生と同様水草に寄生されてるかもと妄想しています。
思い出したくないことなども女神~も本当に好きな作品なので私も人生かけて最後までお付き合いさせて頂きたいです。
長文失礼しました。
一気に展開されるより、単発で展開された方が見やすかったかもしれないです。
「思い出したくないことなど」の続きが読みたいです。
女子探検隊は小話で時折出てきてたと思いますが女尊男卑な価値観に染めた妖怪村がホラーな存在感があって良いです。
キュルルの催淫効果で催してしまったメライちゃんも服を消されて触手責めされてしまいそうでとても良いです。好きな女の子が○されてるのに自分もお尻を責められ喘いでるナオス君が想像できます。
ナオス君はメライちゃんがピンチの時に勇敢に立ち向かうけど無力な場合が多いのでそういう所でメライちゃんが冷めてしまったのかなとふと思いました。
この後服が消えてしまう二人がすっぽんぽんで帰宅する妄想がはかどります。
https://www.pixiv.net/users/90422880
話を構成するのはとても難しいですがやってみると面白いですね!
いつもありがとうございます。
ホラーとエロが自分のテーマだと思っています。
長編をせっせと書き続けているところです。
M.B.O様
御作、読ませていただきました。
たくさん書かれているのですね。
ぜひ続けてくださいね。
教えてくださってありがとうございました。
どうか無理せずマイペースにお書きください。
ホラー、オカルト要素も楽しみです。これまでのお話で一番ぞっとしたのは至福をもたらす池のN川さん似の幽霊です。話自体も好きですが由来も不明なのが不気味でした。
私も軽い熱中症にかかって食欲不振と倦怠感でフラフラな状態です。
夏は用事がある時以外の外出を控えて極力涼しい場所に待機した方が良さそうです。
後、冷房はつけ続けないと命の危険を感じます。