Pains パリの味

パン屋、ベーカリー作りを応援します。

ベーカーテクノサービス

オーブンとは

2009-10-12 17:41:24 | Weblog

オーブンとは

パンはオーブンの内部に蓄熱された熱で焼く。焼かれる。
オーブンの内部に張られたレンガに熱が蓄えられ、その熱で焼き上げる。
古い窯はオーブン内部、焼き床の上で薪を燃やし内部を高温に上げ、薪をかき出した後にパン生地を並べパンを焼いていました。焼いている最中は電気のヒーターやガスバーナーが有るわけで無いので、パン生地を並べる前に加熱し、蓄えた熱だけで焼くわけです。
 これがオーブンです。

 レンガに蓄えられた熱、そこからは遠赤外線が発され、その遠赤外線がパンの中心に火を通し、美味しいパンに仕上げます。特に大型のパンは遠赤外線が大変重要な役目をします。
 ヨーロッパの大きなパンは生地で2~3kgあるので、焼成時間は2時間或いはそれ以上必要です。2~3時間窯内の温度を維持する必要があるので煉瓦の壁を熱くしなければなりません。この壁の厚さがパンの焼きを保障していました。

 この壁の厚さ、現在のオーブンは高性能な蓄熱材が使われ薄くなりました。。セラミックや高密度の耐火煉瓦が開発され蓄熱性能・効果は非常に良くなりました。しかし、煉瓦は蓄熱材としてだけでなく、同時に断熱材の役目も果たし外部に漏れる熱を遮断していました。今は良質な断熱材が各種開発され、この蓄熱材と断熱材を組み合わせて焼きを保障します。
 パンはオーブン内部のヒーターの熱で直接焼くのではなく、蓄えられた熱で焼くのだということを理解して頂きたい。

安いオーブンは断熱材が少なく、蓄熱材も質と厚さを落としています。安いオーブンはそれ自体小さくコンパクトで、重さも軽く、デザインもすっきりしている。これが、安いオーブンの売り文句、キャッチコピーに使われています。逆に言えば、焼きは良くないと言っているだけのことですが、素人には本当の意味が理解できないでしょう。

 良いオーブンの特徴は、重く、大きく、不格好。機能を追及すればこうなります。当然のことです。
 メーカーを選ぶ、ベーカリー機器は、本物は其れなりの価格がします。通販の安物は本物では無い。net通販に出ているベーカリー機器は厨房メーカーのもので、ベーカリー機器専門メーカーの製品は出ていません。厨房メーカーとベーカリー機器専門メーカーは違います。

断熱材少なければ、内部の熱が外部に漏れているわけで、無駄に熱を消費しています。と言うことは、内部のヒーターは常時通電され、熱を発しています。電気のオーブンなら電気を、ガスオーブンならガスを無駄に消費しているわけで、光熱費の負担が多くなります。


コンベクション、1枚差しデッキオーブンセット

2009-10-11 16:39:32 | Weblog

 パン屋開業で必ず必要な機器は、オーブンだけです。生地は手で仕込みが出来ますし、発酵は生地が乾燥しない程度な設備があればすみます。この設備が進歩・改良されホイロになり、今はドゥーコンディショナーになりました。

 ミキサーを使わず手で生地を作っているパン屋は日本にもあります。フランスでは、スラントミキサーで僅か3分程度のミキシングでバゲットを焼いているパン屋もあります。この様な方法は味は良いが、時間がかかります。生地のミキシングはグルテンを生成するための操作で、ミキシングが長くなればグルテンの生成がしっかりし、また焼成で大きなオーブンキックをもたらします。そのためふっくらボリュームのあるパンに成ります。しかし、長いミキシングで生地を作ると短時間の発酵でパンを作ることが出来ますが、この方法では小麦の香りと味が逃げてしまいます。残念ながら現在のパン作りの大半がミキサーで生地を作ってしまう方法です。
 ヨーロッパでは人件費が高くなり、パン作りに時間を掛けられなくなりました。そこでミキサーは短時間で生地のできるスラントミキサーが増え、きじの発酵時間を短縮した無発酵のパン作り、所謂ノータイ無法が主流になりました。
 また、そこで登場したのがドゥーコンディショナーで、前日の作業最後で整形した生地をドゥーコンに入れ、翌日の工程に合わせて発酵温度と発酵時間をセットして1日の作業が終わる、この方法になりました。フランスでは毎朝早い時刻にバゲットを店頭に並べることが義務ですから、人件費の削減には不可欠な機材といえます。
 私も、フランス駐在中はドゥーコンの元祖と言える”パネム”を使用しました。現在のドゥーコンに比べると全く稚拙な構造・機能でしたが、助けれた記憶があります。
 ただこれは、フランスではパン屋の開店が6時、7時と言う早朝の作業が多く、しかも法律で5時以前の勤務が禁止されるような環境にあったため、発達した製法です。(現在パン屋の勤務が5時以前禁止されているかは確認していません。)
 日本のように開店が9時、10時であればドゥーコンは必ずしも必要ではありません。私はドゥーコンを使わずベーカリーを経営していました。個人ベーカリーの規模ではリターダーを使いこなすだけで十分対応できます。

 ミキサー(日本的なパンには縦型ミキサーが良い。そのためスラントミキサーを敢えて作らないメーカーもあります。)、オーブン、ホイロ、冷蔵庫、冷凍庫、リターダーを装備するだけでパン屋は開店できます。

 縦型ミキサーはパン生地だけでなく、ケーキ生地、クッキー生地なども仕込めますが、スパイラルではパン生地だけです。日本人は流行に弱い。

 スパイラルミキサーで仕込んだ生地はスカスカのパンになりやすいですが、今売れるパン、大手が宣伝しているパンはモッチリ感の有るパンです。このモッチリ感を出すために、風味の無い澱粉を添加していることをご存知ですか。
 矛盾を感じませんか。縦型ミキサーで短時間のミキシング、これで風味の良いモッチリ感のあるパンが出来ますが、それでも流行に乗りますか。

 

 


シュトーレン

2009-10-10 10:31:40 | Weblog

強力粉                50%

中力粉                50
牛乳                  30
生イースト               6
上白糖                10
卵黄                  15
全卵                   5
蜂蜜                   5
有塩バター              30
マジパン               15
シュトーレンスパイス         1
レモンピール             10
フルーツミックス          140
スライスアーモンド         15


これは基本配合です。50%または70%中種法に組み直すと上手く出来ます。
その場合、多少の手直しが必要です。さあ、出来ますかな?かなり高度な技術が必要です。
ストレート法でも出来ますが、旨み、ソフト感に欠けます。

さらに高価格・高級品の配合・製法もございます。
フルーツミックスはラム酒、ブランデーで漬込む。
 ラム:ブランデーの比率は
レモンピールはキルシュ漬け。

ベーカリー身売り

2009-10-09 09:06:25 | Weblog

 八王子市弐分方に2年前大型のベーカリーが開店しました。桜上水の某プロデュース会社が開店させた店です。
 どう見ても売れる立地ではなく、店作りは安く、機材は中古、什器はインターネットで買えるみかん箱のような安物、販売員の教育はできておらず、最も大事な商品は手を出したいとは思わない稚拙な物、こんなプロデュースがあるのか、とても高いプロデュース料にも関わらずこのいい加減さ、驚きです。

 この店、頂いた情報では3000万円ほど賭けたようですが、プロから見れば2000万円ほどで出来ます。中古機材だけでなく、新品機材を交えて(ミキサー、ドゥーコンなど)も。個人のオーナーからもボッタクリ、店作りをする。オーナーは店作りが目的ではなく、ベーカリーを経営することが目的です。適正価格で売れる店をプロデュースする、人間味のあるプロデュースが出来ないものでしょうか。
 このオーナーには上手く乗せて、売り上げ予想30万円位で収支予想を出したのでしょうか。この店の立地では15万円がやっと、それも商品が充実していて商圏が5km以上にならないと不可能な数字です。弐分方の半径2km内の人口分布は2万人ほどではないでしょうか。これでは余程商品に魅力があり、充実していない限り、毎日の客数は90人止まり、これではとても店を維持できません。

 ここも身売りするようです。本当に罪作りなプロデュース会社です。


ベーカリー開業初期投資

2009-10-08 21:30:52 | Weblog

 初期投資を抑えたい、これは誰もが願うことです。ベーカリー開店は1000万円以上のコストがかかります。当然個人で開店するとなれば人生を賭けた大事業であるはずです。

 しかし、この人生を賭けた大事業、失敗が許されない大事業を食い物にしている悪徳コンサル、プロデュース会社が複数あります。新宿のパン学校もろくな技術指導をせず卒業生に開店を唆し、悪毒利益を上げています。それも高い機器を、普通は値引きがあるはずの価格を殆ど定価で、過剰設備を押し付け開店させています。

 パン学校で習うことは技術ではありません。粗悪な取り説をただ与えられるだけで、その配合、マニュアルの意味まで理解させる講師もいないので。パン学校で習う製パン法、技術はパン屋の現場では全く通用するようなレベルではありません。こんな低レベルな知識、技術とは言えない技術で開店したら2年と持たないはずです。それで苦労している方がいる、不幸です。

 パン学校なんかに入学して、それだけでパンが作れるようになると思う、そんな短絡的に考える根性無しが多いこと、これが悪徳パン学校とコンサル、プロデュース会社が蔓延る原因です。パン屋になるなら其れなりの覚悟と体を張り技術を会得する根性が必要なこと肝に銘ずるべきです。

パン屋を開店するなら、忍耐があると思える方、長時間労働に耐える体を持っていると思う方、誰にも負けない技術と知識を持ち、さらに研究心の旺盛な方にしていただきたい。
 パン学校に1年通っただけでは、パン屋の現場では全く通用しません。ただ、邪魔なだけです。 学校もそこに通う学生も、もっと真面目に考えるべきで、学校は授業料を、それも相当な額をボッタクルなら、責任をもて。


ピッツァ

2009-10-07 09:22:21 | Weblog

 ピッツァ、宅配のピザとは全くの別物、元祖、本物のナポリピッツァのことです。

 宅配ピザはピッツァがアメリカへ渡り、改悪に次ぐ改悪であの様な不味い生地にごってり具を乗せ、さらに胸焼けするチーズの様な物を乗せて焼き上げた平らな食品に変わってしまいました。ただ、ニューヨークで食べたピザは、日本の宅配ピザより美味しく感じましたが、味覚の麻痺したアメリカ人の食べ物、食文化を日本に導入してチェーン展開している企業がありますが罪悪感は無いのでしょうか。

 コーヒーもアメリカの物はコーヒー本来の香りが無く、飲めるのはライオンコーヒーの”コナ・ゴールド”だけで、ハワイ駐在中は食品全てが不味く閉口しました。

 美味しいナポリピッツァを焼く専用オーブン、この専用オーブンで焼成したピッツァはこんなに美味しい物なのかと再認識します。
 焼成は高温で短時間、ピッツァもパンも同じです。リーンな生地を高温で短時間で焼くので、生地の表面がメイラード反応して食欲をそそる小麦独特の香りが出て来る訳です。

 パンもリーンな配合が美味しいと思うのですが、最近は高配合なパンが主流です。無駄な材料を配合して、商品の売価を上げ、消費者に押し付ける悪徳商法はそろそろ止めるべきでは無いでしょうか。単純配合、素材の味を活かした商品開発が出来ないものでしょうか。


ソフトなパンドカンパーニュ

2009-10-03 10:15:31 | Weblog

 パンドカンパーニュと名前が付いていますが、ソフトでシットリ日本人好みに仕上げた商品です。

強力粉              70%
薄力粉              10
小麦全粒粉              20
ルバン               20
インスタントDイースト       0.4
モルト                0.6
シママース             2.2
水                 70~75

小型で焼成時間を短く、クラストを薄く焼成するようにしました。カンパーニュとしては驚異的な売上を記録しました。          


騙されてベーカリーを開業し、売上でお困りの方

2009-10-02 21:23:27 | Weblog

 1週間でパンが焼けるようになります。売上も10万円程度作れます。機材は小型1枚差しのデッキオーブンとコンベクションオーブン、ドゥーコンセット。
 プロ用オーブンでなく家庭用オーブンに近い代物。これでどう10万円の売上を作るのでしょうか。

 1週間でパンが焼けるようになる?冷凍生地を数種類、天板10枚程度を焼くので有れば、1週間の特訓で焼けるようになります。それ以上焼くには1週間ではとても無理です。6取り天板1枚に最大で12個並びます。1個150円の売価で、天板1枚は1800円です。10枚焼いて1万8千円の売上。20枚焼いて3万6千円。
 どうやって1日10万円の売上を作るのでしょうか。

 1週間でパンが焼けるようになる、これは冷凍生地を解凍して焼くだけであれば、そして数種類であれば不可能ではありません。ただ、素人が1から始めて10万円の売上は不可能です。10万円売るには、50枚以上の焼成が必要で、1週間でそのオペレーションを覚えることは不可能です。50枚焼くためには、10時間休み無く連続で焼くことになります。しかし、この様な小型オーブンに連続焼成能力はありません。そして、冷凍生地の仕入れ価格は高く、材料費が50%を超え、商売として成り立つには1人で製造、販売全てをこなし、営業時間10時間を休憩なしで働くことになります。

 このようないい加減な機材で「10万円売上が出来ます」と、提案しているプロデュース会社が実在します。

 オーブンは価格に大きな差があります。プロ用を本物とすれば家庭用オーブンは「おもちゃ」です。そして価格以上に差が有るのは焼成能力です。プロ用オーブンは休み無く焼成できますが、家庭用はドアを開くと温度が下がり温度を再度上げるには時間がかかります。
 オーブンの焼成能力の差はなぜ生まれるのでしょうか。それは、オーブンの材質、特に内部の蓄熱材と断熱材の質と使われる量にあります。普通オーブンは上下のヒーターか熱風で過熱します。
 良いオーブンは蓄熱された熱と蓄熱材から出る遠赤外線で焼成しますが、安いオーブンは上下のヒーターの熱で焼くことになります。これは、内部に貯められる熱量の差から生まれるものです。安いオーブンは断熱材の使用量が少なく、放熱量が極めて多く常にヒーターに通電し加熱状態にあります。そのため消費電力が2クラス上の大きさのオーブンに匹敵する電力を消費します。また、安いオーブンはオーブン外板で目玉焼きが出来るほどの温度になります。安いオーブンは焼成時間が長く、パンがパサパサになります。

 パン屋にとってオーブンは大事です。オーブンだけは良い物を選ぶ、これがベーカリーの鉄則です。
 いい加減なコンサル、ベーカリープロデュース会社に騙されない知識とパンの常識を持つことです。
 パン屋は体を張り、開店前から閉店後も製造に励み、お客様に喜んでもらえる商品を、美味しい商品を提供するこれが喜びです。売上に比べ僅かな利益を追求し、身を粉にして働くそれがパン屋です。

 体を張る事無く、利益利益と金だけを追いかける輩にはパン屋は無理だ。
 最近そんな輩が、馬鹿な依頼者が多すぎる。

 いい加減なコンサルに騙されてパン屋を開業し、売上が伸びずお困りの方、サポートシます。売上何とかします。但し、体を張る覚悟だけは持っている方。


Pain de campagne sur levain

2009-10-01 09:17:09 | Weblog

 カンパーニュでも特に生地Phを下げるタイプです。

 ルバンはライサワーを元種にして、その元種を小麦粉でルバンを作ると簡単にPhの低いルバンになります。
 
強力粉             70%
ライ麦粉             30
ルバン(TA=160)         40~60
インスタントDイースト       0.4
シママース            2.3~2.7
モルト               0.6~0.8
水                70~75

捏上げ温度は低く、ミキシングは十分に。
発酵時間10分、分割、直ちに丸目てシンペルに入れる。