電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

4年に1度の誕生日(2月29日)

2012-03-02 22:11:05 | 生活・文化
 私の誕生日は、2月29日である。それを知ると、「4年に一回しか誕生日がないのだから、年を取らなくていいね」と言う人がある。そうだといいなと、何度思ったことか。誕生日がないのだから、そのくらいの特権があっていいのにとよく思った。特に、小学生の頃は、誕生日がないということは、とても悲しいことだった。2月の誕生会に入れられていたが、たいてい小さくなっていたように思う。けれども、年齢は、体力の衰えと同じように、確実に加算されていくことが、法律で決められている。その法律は、「年齢計算に関する法律」といい、はるか昔、明治35年にできている。

1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
2 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
3 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス
(明治35年12月2日法律第50号)


 この1の条項により、年齢は誕生日がきたからではなく、誕生日の前日が終了したときに一つ年を加算されることになる。誕生日の何時に生まれたかに関わりなく、誕生日もいれて1年を計算するということである。これは、4月1日生まれの人が、早生まれになり、4月2日生まれの人とは、1年の開きができてしまう理由でもある。この場合は、公共機関の会計年度が、4月1日から翌年の3月31日までとなっていることと関係しているが、つい最近改正された「学校教育法」に次のように規定されている。

 第17条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。
(平成23年6月3日法律第61号)


 先ほどの「年齢計算に関する法律」により、4月1日生まれの人は、3月31日の24時に満6才になるのであり、その翌日とは4月1日なので、「翌日以後における最初の学年の初め」というのは、その年の4月1日になる。これに対して、4月2日生まれの人は、満6才になるのは、4月1日であり、その翌日は4月2日であり、「翌日以後における最初の学年の初め」というのは、翌年の4月1日になるのである。これは、学校などの年度が4月1日から始まることになっているからだ。

 さて、それでは誕生日の前日というのなら、誕生日がない場合はどうするかということになるが、それは、「2 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス」による。そこには、「ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する」となっている。つまり、2月29日生まれの人は、誕生日があるないにかかわらず、2月28日の24時に一つ年が加算されるということになる。

 ところで、この民法143条というのは、「暦による期間の計算」についての法律で、なかなかおもしろい。もう一度、全文を引用する。

 第143条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
 2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
(明治29年4月27日法律第89号)

 これによれば、1年というのは、暦によるのであって、365日ということ決まっているわけではないということになる。だから、1ヶ月は、28日、29日、30日、31日の4通りが考えられることになる。私は、誕生日がないのだから、起算日はどうするのかとか考えたが、起算日は最初に1回あればよいのであって、後は起算日は必要ないことに気が付いた。そして、最初の誕生日というのは、生まれた日の暦の日であり、必ずあるものだ。

 そういえば、「数え年」という年齢の数え方があった。こちらは、誕生日に1歳と数え、後は、1月1日が来る度に、一つ年を取ることになる。こちらの方は、母親の胎内にいた期間(十月十日)も年齢に加算していて、それはそれなりに合理性はある。しかし、こちらは、年齢の加算に誕生日はあまり関係なくなってしまう。と言うわけで、どちらにしても、4年に1度の誕生日だからといって、特別何か特権があるわけではないのだ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする