長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ブラック・ビューティー』

2021-01-04 | 映画レビュー(ふ)

 美少女研究家としては(←謎)『インターステラー』のマッケンジー・フォイ主演作は見逃せず、いそいそとディズニープラスに加入した次第(スイマセン、本命は『マンダロリアン』でした)。1877年にイギリスの作家アンナ・シュウェルによって発表された小説『黒馬物語』の映画化だ。舞台を現代に移し、野生馬ブラック・ビューティーの目線からマッケンジー・フォイとの友情が描かれる。

 動物が人の言葉を喋るのはディズニーの伝統芸だが、冒頭から続くブラック・ビューティーのモノローグは馬の一人称で書かれた原作小説に沿ったもので、贅沢にもボイスキャストにケイト・ウィンスレットがキャスティングされている。カメラは馬と大自然を美しく撮らえており、黒馬と黒髪のマッケンジー・フォイのツーショットはそれはそれは絵になる。しかし、この題材に対して演出は詩情が足らず、僕らがディズニー実写映画に期待する域を出ていない。本来、言葉の通じない相手である馬の一人称で書かれた小説を、人間側から描けば当然“喋り過ぎ”となるだろう。ブラック・ビューティーが少女の元を離れ、様々な飼い主の手へ渡っていく後半になってようやく物語には求心力が生まれてくるが、遅すぎた感は否めない。

 『くるみ割り人形と秘密の王国』の項でも触れたが、マッケンジー・フォイの美貌はディズニー映画には不似合いなシリアスさであり、そろそろヒット作がほしいところ。
 彼女の叔父には『ゲーム・オブ・スローンズ』のジョラーことイアン・グレンが扮した。英国俳優の彼がアメリカ東部のカウボーイを演じる所に「相変わらず仕事選んでないな」と思うが(なんせ『バイオハザード』シリーズに付き合った人である)、過去を思わせる含みがあり、ゲースロ最終章よりずっとスクリーンタイムが長いため、ファンは必見である。


『ブラック・ビューティー』20・米
監督 アシュレイ・エルビス
出演 マッケンジー・フォイ、ケイト・ウィンスレット、イアン・グレン、クレア・フォーラニ

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