注文中の経緯台がまだ届かないのでいつものZERO経緯台を使用する。
三脚はManfrotto475Bでハイランダーに合わせてカサイの140mmハーフピラーを装着して高さを上げてある。もしかしたら低高度の対象では使いにくいかもしれない。
重量はそれなりにあるが持ちやすいので設置も緊張しなくて良い。
双眼望遠鏡ではどう見えるのだろうか?ハイランダーとの差は?通常の単眼との違いは?高倍率は可能か?100度の広視野は使い物になるか?
疑問や期待はたくさんあるが順番にやっていこう。
とりあえず今夜は最小倍率と最大倍率の両方を試してみる。
使用するアイピースはこれ。
まずはNikon NAV-17HWから。
土星に向けてピント合を合わせる。片目づつ個別に調整する。目幅はちょうど良さそうだったのでこのままとし、次にミラーを調整して視軸を合わせる。
先に経緯台を操作して左側望遠鏡で対象を中央に導入し、次に右側はミラー調整ネジで左右方向と上下方向を調整して対象がほぼ中央にくるように粗調整する。次に両目で見ながら像が一致するよう微調整する。FC-100DZとNAV-17HWでは47.1倍になる。この倍率での調整はとても容易だ。
左右の像が一致すると102度の視界にぽっかり浮いている土星が見える。土星は何度も見てるしハイランダーでも見ているが102度の双眼だとなんと言うかすごい臨場感がある。くっきり見えた瞬間にはっとした。そこに土星が浮いている。知識としては当たり前のことと理解していても体感すると何もない空間にぽっかり巨大な物体が浮かんでいてどこにも落ちていかない不思議さを強く感じる。土星に感動していたが機材に目を向けると意外に目の位置にシビアでないというか位置を合わせていることが難しくないことに気付いた。単眼で見ていたときには大丈夫かと心配していたが杞憂だった。
次に木星へ向ける。とても明るいが模様はちゃんと見える。ガリレオ衛星がとてもシャープだ。木星も土星同様に臨場感が凄い。
次に月へ向ける。明るくて目が痛い。
南しか見えないベランダでは時間帯が良くないことと雲が多いので恒星は見ていないがガリレオ衛星の様子からしてきっとシャープだろう。
NAV-17HWは双眼での使用はさほど苦でないことと、両目で見る102度の視界は臨場感が素晴らしいことを体感できた。
NAV-17HWと比べても大きさ的にあまり差がない。XW3.5は結構大きいのであった。FC-100DZに装着すると倍率は228.6倍になる。
まずは木星へ向ける。片側ずつピントを合わせていくのだがZERO経緯台だとさすがに揺れるのでシビアな調整は難しくて勘を頼りに合わせる。次に視軸合わせだがアイピースを変えるとかなりズレているのでNAV-17HWと同様に調整する。が目幅が少々合っていないようなのでビノテクノのクレードルの調整ネジで合わせ直す。そして再度視軸調整を行う。
どうもNAV-17HWよりも目の位置にシビアなようで見る際の姿勢維持も結構難しい。しかし一旦視野に木星を捉えると片目で見た時はピントはイマイチのような気がしたが両目では細かい模様がとても良く認識できる。TOA-130で一瞬よく見えたという状態が双眼ではずっと見えっぱなしのような感じだ。見えている範囲内で模様を認識するのがとにかく楽。
全体の雰囲気としては木星の上にガリレオがぽっこりタンコブのようにくっついている位置関係のためか木星がとても立体的に感じられる。
高倍率も実用になるかどうか気になっていたがこれならOKだ。TOE3.3mm、賞月観星XWA3.5などにするか5mmまで上げてNAV-5SWにするかなど高倍率のアイピース選びはずいぶん検討したが結果的に高倍率と見やすさのバランスを期待してアイレリーフに余裕のあるXW3.5を選んだ。しかし単眼の時よりも思った以上に目の位置にシビアだ。
雲が切れて土星の位置が確認できたので土星へ向ける。
土星が2重に見える。どうやら先程目幅調整したので視軸が合っていなかったようだ。合わせ直して土星を見るとウニウニしてあまりシャープではないし何だか暗い。今年の位置ではこんなものか。カッシーニの空隙も左右の端にわずかにそれらしきものが見える程度で少々残念だ。もう少し高度の高い季節に見るべきだったがもう遅い。ただ、単眼で見るよりはるかにじっくり見ることができる。
期待を超えなかったことが残念というちょっと贅沢な感想だ。
この状態で再度月へ向ける。すると先程より更にはっきり見やすくなった。クレーターの凸凹や影をじっくり凝視しても疲れない。これは良い。
こうなると経緯台が手動のZERO経緯台では対象がすぐ視野からハズレてしまうのが残念だ。
次にアルデバランへ向ける。若干薄雲もかかっておりこれくらい明るい星でないと肉眼で見つけ難い程度の空の状態だ。気になっていたのは2重星の見え方だ。しかし今夜は無理なので恒星がどう見えるかだけ試してみた。
双眼228.6倍で見るアルデバランは単眼よりもたくさんのジフラクションリングに囲まれているように見えた。表現が難しいが多重というよりも一周していない細切れのリングが上下左右に複数に見えたり明るいのが1周くるっとつながったりと刻々と変化して賑やかだ。中心のエアリーディスクはぽっこりと雪見だいふくのような丸い立体的な小さな光点に見えた。左右差が激しくてまともに見えないのでは?と危惧していたが結構いけそうな感じだ。これでシリウスBを見てみたい。
次は散開星団を見てみたい。自分の経験では最高に綺麗に見えるアイピースはNAV-12.5HW。主観そのものなので説明が難しいがとにかく没入できる。M41やトレミーが単眼でも何故か立体的に感じられる。これを双眼に使ったらどんな見え方するのかとても楽しみだ。明日も晴れて欲しい。