寝転んで空を見る

山高きを厭わず 海深きを厭わない

2011夏の大縦走~立山から上高地へ~ (3rd Day)

2011年08月26日 | 2011北アルプスの旅

7月31日五色ヶ原のテンバにて、いつもの様に日の出1時間前に起床。

そのままウォークマンで数曲を聴き、気合を入れて行動開始。

お湯を沸かし朝食を取り、5時前になると辺りが明るくなってくる。

願いを込めるようにテントのファスナーを開け、フライシートを捲り上げる。

Img_0232五色ヶ原の朝

風に流される白雲と青空が視界に入った。

この二日間、雨の中を行動していたせいだろうか、青空だけでテンションが上がる。

天気のうちに行動開始と行きたいが、この日もスタートに遅れてしまった。

道具を乾かしていたのと、テントの中を整理していないのが原因(荷物が多すぎるのもあるか)。

何処かで、ちゃんと濡れた衣類・道具を干したいものだと考えつつ、8時前に今日の目的地『スゴ乗越テンバ』を目指して歩き出す。

本日の行程、一般コースタイムは以下↓

『五色ヶ原キャンプ場』→0:20→『五色ヶ原山荘』→0:50→『鳶山2616m』→0:50→『越中沢乗越2356m』→1:10→『越中沢岳2591.4m』→1:40→『スゴノ頭2431m』→0:40→『スゴ乗越』→0:40→『スゴ乗越小屋&テンバ』

計6時間10分の道のり。

高度の偏差を見てもらうとわかる様に、中々にアップダウンの多いコースだ。

先ずは、五色ヶ原山荘へ向け木道の道を軽く登って行く。

すると山荘が見える。

Img_0239 五色ヶ原山荘

山荘に到着し、ポカリスェット500ccを3本購入。(1本300円だったか、350円だったか・・・)

そのまま『鳶山2616m』を目指し50分の道を登って行く。

Img_0237 鳶山2616m

この登山道に限らず北アルプスでは、稜線の脇に残る雪渓を通り抜けた風が、登りで火照った体に心地良い。

Img_0240 Img_0241

鳶山のピークを踏んで越中沢乗越・越中沢岳を目指す。

上記右写真の様な道を行く                          ↑

この道中、木苺を発見。

Img_0243 イチゴ

本当はイケナイのだが、数粒摘んで口に入れる。

美味い!酸味が疲れた体に染み渡る!

力を得て越中沢乗越2356mを越える。

越中沢岳への登山道は、ハイマツ帯の中に赤茶けた石が山頂へ向かいゴロゴロしており、その石の道が登山道となっている。

(雨が降ると沢に成ってしまう登山道だろう)

左手に眼をやると、黒部湖が見えていた。

Img_0245 黒部湖

この直後、辺りは白い雲に包まれ雨が降り出した。

『また雨かよ・・・』そう呟きザックをザックカバーで覆い、レインウエアを着込む。

このルート、地図では『濃霧時注意』と書かれているが、注意するような所があった様には感じなかった。

11時17分『越中沢岳2591.4m』登頂。

Img_0248 越中沢岳2591.4m 

ここで行動食の『とっておき』、栗羊羹を食べる。

しかし、一口かじっただけで落としてしまった・・・。

砂塗れの羊羹を、ジャリジャリ言わせながら食べた。

天候が崩れだした為に、御覧の通り展望は利かない。

さらに、山頂にあるプレートが気持ちを萎えさせる。

Img_0249 山頂のプレート(表示)

『近くて遠いはスゴの小屋 アップダウンが続くよ!』

あと少し!

そう思っている所に、こう書かれると正直ゲンナリする(笑)。

頑張れ!あと少し!と書かれた看板に元気をもらった事は幾度もある。

今度行ったら、マジックで『頑張れ!』って付け足しとくか?

雨が降ったり止んだりの空の下、次の通過点『スゴの頭2431m』を目指す。

越中岳沢から急坂を下って行き、最後はまた急坂を登る1時間40分の道のり。

その道中、雷鳥が現れた。

Img_0252 雷鳥

この旅初の雷鳥。

霧の中から現れる、とは良く言ったものだと思う。(一説には、鷹・鷲等から身を隠す為だとか)

地図上にある、スゴの頭やスゴ乗越には表示が無い様だ。(見逃したか?)

ここからがこの日の本番だった↓

Img_0254 登山道

上記写真の辺りを過ぎると樹林帯になって来るのだが、其処からの道は険しかった。

樹林帯で木の根や大きな石を乗り越えて行く急登が続き、鎖場もあった。

しかも雨は雷雨に変わり、土砂降りに。

ウエアに進入してくる水と背面パネルから浸み込む水で、体もザックの中もビショビショ・・・。

『此処は屋久島かっての!』そう毒つきながら、木の根や石を掴み、よじ登ったり下ったりしていた。

この時が、『今回の山旅で一番のドン底』だったと今にして思う。

その証拠に、その辺りから写真を一枚も撮っていない。(カメラが壊れかかっていたのも、ある)

この三日間、殆ど景色を眼に出来ず心も体も文字道理、雨に打ちのめされた。

『こんなの、何にも楽しくねぇ・・・』そんな愚痴も言った。

しかし旅を終えた今は、良い経験をしたと思っている。

そして実は、雨に打たれている時にも、後でそう思える事はわかっていた。

その後、雷鳴と雨の中『スゴ乗越小屋』に到着。

15時を過ぎていたと思う。

越中沢岳に11時14分到着して小屋に15時過ぎってのは、道中UFOにさらわれたとしか思えない。(笑)

それだけ精神的に落ちていたって事だろう。

テンバを見てみると水捌けが悪そうで、水溜りの中にテントを張っている状態・・・。

ここで決断を下した。

『スゴ乗越小屋』へ泊まろう、と。

理由は2つ、三日連続で濡れたマットには寝たくない、ダウンの寝袋を濡らしたら最悪だと言う事。

もう一つは、山小屋へ泊まれば乾燥室で装備・ウエア一式を乾かせるって事だ。

『水曜どうでしょう』の大泉洋ならば『それ魅力』って絶対言う所だ・・・。

こうして人生初の山小屋泊を決意した。(テント大好きなんです)

Img_0257 翌朝撮影のスゴ乗越小屋

料金は2食付で8600円。受付を済ませたらそのまま乾燥室へ直行。

乾燥室でアレを干し、これを干しで1時間位篭っていた。(と言うか小屋で着る物以外の全てを干した)

夕食を待っている間、愛知から来て居る(50~60代位?)の女性4人パーティと関西から来た男性(30代?)との会話を楽しんだ。

愛知の女性たちは、俺と同じく明日『薬師岳2926m』を登り太郎平小屋へ宿泊、翌日下山だそうで。

関西の男性は、剱沢へ向かい『剱岳2999m』を目指すそうだが、天候を心配していた。

どちらも話し好きな方達で、楽しい時間を過ごさせてもらったが、特に関西の男性は熱かった!(笑)

一人で山を登る楽しさ、それに伴う出会いの素晴らしさを熱く熱く語っていた。

全く持って俺も同感なのだが、翌朝話しかけるとえらい静かで口数の少ない人だった・・・。

どうやら、あの時は酒に酔っていたようだ(笑)

夕食は、その男性と50~60代位の男女3・4人パーティと同じテーブルで頂いた。

メニューは、天ぷら・キノコの味噌汁・漬物・・・後は忘れたが、天ぷらが美味しかったのは覚えている。(写真を忘れた)

無論、魚貝の天ぷらは無いが、竹の子・カボチャ等、畑・山の物の天ぷらを堪能。

北アルプスの山小屋の食事は良いとは聞いていたが、本当だった。(何処かのレトルトカレーオンリーとは、大違いだ)

夕食後ビールを飲みながら小説を読み、その後19時就寝。

寝床は、一階の二段目一番奥だった。(畳八畳位を横に並べた長い寝床で、それが上下二段になっている)

俺の隣には誰も割り振られず、布団3・4枚横に上記愛知の女性達が寝ているだけで朝まで安眠させて頂いた。

人生初の山小屋泊は、同じ屋根の下同じ釜の飯を食べた者同士の交流が楽しかったし、飯は美味いしで、癖に成りそうな夜だった。

翌日は、薬師岳2926mを登り薬師峠キャンプ場を目指します。

                                                    つづく