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スッポンのお味は?

2014年07月16日 | 食・レシピ

体表の泥臭さもバッチリ消えたので、いよいよ宴です。

 

捌き(解体)は、スプラッター映像と化すので・・・割愛しときます。残念

(調理方法・捌き方は検索してちょうだい)

しかし、自分で獲って殺して食べたスッポンなので大まかな流れは記しときます。

 

まずは、捌きからですね。 

Img_0063 甲羅の長さ25cmのスッポンです

裏返しに寝かせると首をぐりーんと伸ばして起き上がろうとするので、素早くガッチリと首を握ります。

(首根っこを押さえるってやつです)

 

で、首の付け根から切断!すると血がドクドク出てきます。

(手足はバタバタ暴れるし、首だけでも噛み付くので注意)

ワイン・日本酒・焼酎などで割って飲むスッポンの生き血ですが・・・

こいつは野生のスッポン、寄生虫の恐れあり。(芽殖孤虫、皮下で増殖し内臓や脳へ至る寄生虫。致死率100%)

なので今回は、ガマン。

 

続いて、薄皮をはがし、甲羅を外したり、内臓を取り分けたりして捌いて行きました。

Img_0064_2 丸く大きいのは殻付きタマゴで小さく黄色いのは卵巣

予想の通り、雌のスッポン。卵持を持っていました。

殻付きの卵を割って食べてみると、味は『しょっぱい生卵』。

 

以前釣って来て食べた鰻も生命力がありましたが、スッポンも凄いです!

切りとった首が動いているのは、まあ、あるとしても、四肢が動く動く!

首の無い胴体の尻を持てば、後ろ足で手を引っ掻いてくるし

首側(首はもう無いけど)を持てば、前足で手を引っ掻いてくる

苦手な人は卒倒するんじゃなかろうか

反射作用だと言うが・・・正確に手を引っ掻て来るのが、反射なのだろうか??

毎度の事、動物の生命力には驚かされますね。(鰻や鼈が精力が付くと言われる由縁なのかな?)

 

この解体作業の中で一番苦労したのが、『絶対に破裂させてはいけない膀胱を取り除く時!』

臓器を掻き分け見つけた膀胱を破らない様に腹膜から剥がし、切除する・・・

その神経をすり減らす作業は、もう外科手術。

内臓も人間に近いので・・・解剖実験の様でもあり。

やっぱり、ダメな人、多そうです。

 

ここまでは大変、でも後は簡単。

生姜&ネギの青い部分を入れ、酒と水でスポンを煮て行きます。

Img_0066 アクを取るのが面倒で・・・やっぱ料理は愛情なのか?

上写真、黄色いのが脂肪層。

しばらく煮続けると良い香りがしてきます。

『煮れば煮るほど美味い』と聞いたので30分で良いところを1時間煮てみました。

Img_0071

薄く色付く程度の醤油と、塩で味付け後、白菜・長ネギ・豆腐を加えました。

最後にレバー&卵巣を投入して調理完了。(エノキの入れ忘れに今気が付く・・・)

3~4人前はあるだろうか?

Img_0072 足と甲羅の一部。黄色いのが脂肪(バターの味)

さて、肝心の御味などをQ&A方式で

Q臭みは?

A釣ってきた時の泥臭さ(強烈)は、泥抜きで消えていますが、生臭さはありました。

また、鳥・牛・豚にも特有の臭いがある様に、スッポンにもあります。(それをどう感じるかは人其々かな~)

Qやっぱり見た目がキツイ?

A緑色の甲羅や皮膚は、気持ち良くは無いです。

『ハリウッド版映画ゴジラが近々公開だな』と思いました。

Qスープ&出汁は美味いの?

A黄色い油が浮いたスープは、良い感じです。(しかし、世に言われるほどでも・・・無い様な)

Qゼラチンはどうよ?

A甲羅の周り部分(エンペラ)と裏側の殆どがゼラチン質です。

口がベトベトします。

ゼラチン質豊富ですが、無味無臭なので御飯のおかずには・・・?な感想。

お肌の美しくなりたい女性は、甲羅周りと手足の骨までしゃぶり尽くして下さい。

Q肉は豊富?美味しいの?

A四肢や長い首、胴体の肉は赤身で硬く淡白です。味は鶏肉系かな。

養殖物より大きいので肉の量も多かったです。

Q脂身は少ないの?

A腹や四肢の付け根に黄色い脂肪層(上写真の黄色い物)が多くあります。

(人間の手術映像等で腹部とかをメスで切ると見える、黄色い脂肪層。アレです)

この黄色い脂肪は、まんまバターその物の味で、驚きです!(人間もそうなのか??)

しかし、脂肪だけ食べるのは、しつこいです。

肉と一緒に食べると丁度かな。

Q卵巣のお味は?

A卵巣は、ゆで卵の黄身そのままって感じなので、鍋で食べるとパサパサしています。

珍味として売られている様に、甘辛に煮付けて食べた方が美味しいそうです。

 

Q結局、美味いの?

A味は普通です。不味くは無いが、特別美味くも無い。

正直、牛&豚しゃぶしゃぶ・すき焼きの方が美味いと思います。

(でも豚や牛を自分で解体して食べるなら、大変だし、美味しく食べれるか・・・疑問です)

スッポンのすき焼き、あり、かも知れません。

 

スッポンが万人受けする美味さなら、スーパーに並ぶ食材になっていると思います。(完全養殖できますからね)

そうなっていない事、珍味と言われる事が、スッポン料理を良く現しているのではないかな?と思います。

 

スッポン料理とは、昔は貴重な動物性タンパク質として。

時代を通しての滋養強壮食材。(鯉・鰻らと同じで信仰に近い?)

現在は、珍味&美容食材。

それがスッポン料理なのかなぁ~と言う感想です。

(板前さんが調理したスポンを食べたらこの感想は変わるかも知れませんが・・・)

 

因みに、自分で獲って来て殺して食べる時、自分なりのルールがあります。

それは、獲物を食す時『それ以外の主食となるもの(獣・魚など動物)は食卓に並べない』と言うルールです。

(普段は飽食してますが・・・)

 

今回のスッポンも夕飯のおかず、ビールのつまみとして美味しく頂きました。

数日間は出汁で、うどん・おじやで楽しめそうです。(気温高いから無理かな~)

御馳走さまでした。