ゆで玉子むけばかがやく花曇 中村汀女
今まさに花盛りのところも多いのではないでしょうか。
家族で、恋人同士で花茣蓙からの花見。家から昼食を持参したり、コンビニで弁当を買ってのピクニック気分。花吹雪の下で、知人や会社の同僚同士との酒盛り。さては弁当が面倒な人には、花の宴までのピザの出前があるそうですね。
それにしても「ゆで卵」の語感が無性に懐かしいですね。子供のころの遠足、運動会などには、おにぎりの付き物だった。大事にしてきたゆで玉子を、弁当の蓋や近くの石や木などで割る音があちこちでしたものだ。
子供のころは、花見といっても花を愛でるより食べる楽しみの方が大きかった。「むけばかがやく」などの詩情など起こるはずもなかった。
実は、この句の「花曇」の花は桜ではなく梅であるらしい。汀女によれば、仙台市の榴ヶ岡公園での観梅のときの句というが、桜時の「花曇」にも十分通ずる味わいがあると思う。