物言えば、
唇寒し秋の風
【訳】
人の欠点を批判したり、
自分の長所を自慢したりした後は、
必ず言わなきゃよかったという思いにとらわれるものである。
(しかし、
言わなきゃ良かった、
と反省する人は偉い)
自らを顧みれない人が殆ど
また、
そうしたことによって余計な災難を自ら招くこともある。
口を開くと、
秋の冷たい風が唇に触れて、
寒々とした気分になることから。
松尾芭蕉の
「座右の銘」にある句で、
この句の前には
「人の短をいふ事なかれ己が長をとく事なかれ」とある。
略して「物言えば唇寒し」とも。
現代的に言えば、
偉く無い奴程、
自分を偉いと宣伝する。
夜静思
人は自らの価値を大きく見せたい。
価値づけようと、
色々、着色装飾するが、
遂に自らがなんでもないものだと
気がつく、
それは現実社会の中で疲れ果て、
自らがなんでもないと云う事を知って苦しむ、
しかし、
それが存在の証明なのかも知れない。
これはまだいい方で、
死に至るまで、
自らがなんでも無いと云う事に気づかないまま、
終焉を迎える場合は悲惨。
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世の中は『気づき』
それに『気づく』
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事が大切、
気づかないままの人生でも
生きて行くには問題がないのも事実。
気づく事で人生が見えて、
心が解放される。
魂の解放
西行は武士を捨てた。
それも名誉ある名家の当主としての座を捨てた。
西行が出家を前に歌を詠んでいる。
『世を捨つる人は、
まことに捨つるかは
捨てぬ人をぞ捨つるとはいふ』
(出家した人は、
悟りや救いを求めており、
本当に世を捨てたとは言えない。
出家しない人こそ自分を捨てているのだ)
なんと含蓄の有る歌か、
西行出家し、漂白の旅に出る。
李白への止まらぬ憧憬だったのか?
李白~西行~芭蕉
時空を超え、
この譜系を考えると
なんとも言えず、
この3人まるで仲良しか