旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

帝釈天と老舗の葛餅と剣菱の小瓶と 京成金町線を完乗!

2024-02-03 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

旧水戸街道の高架道路をくぐって、赤いラインの4両編成が京成金町駅に入ってきた。
節分の休日は真っ青な冬晴れ、それではと、金町線の短い旅をしようと下町の駅に降り立った。

京成金町駅は雑居ビルの1階にぽっかりと改札口の穴を開けている。
JR金町駅を背にして駅前広場を見渡しても、案内表示なしでは容易に見つかりそうにない。

わずか2.5kmの路線の唯一の中間駅だけが複線になっていて、上り下りの電車が交換する。
この短い金町線ではあるけれど、4両編成で車掌が乗務しているから、相当の乗降客があるのだろう。

その賑わいの背景の一つがこの中間駅にあるのは間違いがない。
柴又駅の案内板にはお馴染みのシルエットが描かれている。そう、柴又駅はフーテンの寅さんのふるさとだ。

帝釈天参道で上下姿の一団に出会す。ここで初めて今日が節分であることに気づいた。
ちょうど二回目の節分会の時間に当たって、参道は初詣のような人出になっている。

 唐破風と千鳥破風を飾った楼門(二天門)が見えてきた。
寺男の源公(佐藤蛾次郎)が掃き掃除をする静謐な帝釈天の雰囲気はなく、今日の境内は善男善女が埋め尽くす。
やがて豆まきが始まると老いも若きも歓声をあげる。一際大きなまき手は、元関脇旭天鵬だ。

帰りの参道で髙木屋老舗に潜り込む。雰囲気だけは味わいたい。
熱いお茶にホッとひと息ついたら、黒蜜と黄な粉をたっぷりかけて “くずもち” を味わう。
っと柱の振り子時計が鐘を四つ鳴らした。そろそろ飲みに行っても良い頃だろうか。

夕暮れの柴又駅、“寅さん” と一緒に旅に出る。とは言っても京成高砂駅まではわずかに2分。
寅さんの視線の先には、エプロン姿の “さくら” が弱々しい冬の夕陽を浴びて立っているね。

測ったように上り下りの電車が交換する。やや高砂方面からの入線が早い。
家路に向かう降客と、帝釈天を訪ねた乗客を入れ替えて、4両編成はそれぞれ高砂と金町をめざす。

鉄路の東側では江戸川が音もなく東京湾へと流れていく。
呑み人が土手に登った頃、泥だらけのユニホーム姿の野球少年たちが、自転車で流れを描いていた。

赤いラインの4両編成は、左手に電車庫が見えると、するすると高架に上って行き止まりの5番線に終着する。
吐き出された4両たっぷりの乗客は、整然と京成本線ホームへのスロープを下っていった。

カンカンカンと警報音を響かせる開かずの踏切をやり過ごして、暖簾が掛かったばかりの高砂家へ。
魚や野菜が並ぶ奥行きのあるカウンターに丸イスを並べて、なかなか趣のある店なのだ。

やっぱり “生ビール” で始める。“まぐろ納豆” はブツではなく切り身でちょっとびっくり。
トンカツのように揚げた “ハムカツ” はボリュームたっぷり、辛子とマヨネーズをブレンドして美味しい。
二杯目からは “ホッピー黒” を。この店はカウンターのお母さんが作ってくれる。

小鍋で煮てくれる “肉豆腐” は、胡麻油が効いてなかなかの逸品、汁まで美味しい。
お酒は “剣菱” の一択、サンデシ瓶なのは店の女の子が注いでくれるから、ちょっとご機嫌だね。

ローカル線の雰囲気たっぷりに金町線に乗って、柴又を訪ねるのは、ちょっと遠出をした気分になる。
ガタゴトと行き交う電車の音を聞きながら、下町情緒の酒場で杯を重ねて、金町線の旅が楽しい。

京成電鉄 金町線 京成金町〜京成高砂 2.5km 完乗

男はつらいよ / 渥美清



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2 コメント

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うむむ... (ZUYA)
2024-02-05 06:23:35
素晴らしいお店のチョイス...感服いたしました

こちらのブログを覗いている限り、自分は休肝日を作ることは出来そうにありません
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ZUYAさん (呑み人)
2024-02-09 00:03:34
こんばんは。
開店から18:00まではお母さんが、
何くれと世話を焼いてくれます。
18:00を過ぎるとお嬢さんが注いでくれます。
お好きなタイミングで暖簾を潜ってください。
雰囲気のいいお店です。
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