谷間を走る狭隘な国道から、小さな支流の扇状地を登る山道に入る。
青々とした棚田の風景を3つ4つ大きなカーブを描くと、重厚な茅葺屋根が見えてきた。
そば処「木草庵」は、さらに山間から移築した庄屋家屋の古民家だ。
大きな梁に掛かった振り子時計がぼ~んぼ~んと11回、開店時間に飛び込んだからね。
カラッと 夏野菜の "天ぷら" と "のっぺい" をアテに一杯(うそうそ今日は運転手)したら、
地産のそば粉「とよむすめ」を自然薯をつなぎにした手打そばをズズっと啜る。
そばの豊かな香りが広がって美味しい。
照りつける夏の日に、けたたましいアブラゼミ、手打そば、そろそろ懐かしい新潟の夏。
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やさしさ紙芝居 / 水谷豊 1980