旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

雪室で眠る葡萄の精

2020-08-13 | 旅のアクセント

 青白い光を放っているのは、昨シーズン降り積もった雪。
明治31年築の重厚な石蔵は大量の雪を抱え込んで、室温10~15℃は快適と云うより寒い。

市の指定文化財に登録されたこの第二号石蔵の半分は、ワインの樽熟成庫になっている。
雪室から引きこむ冷気の下、横たわる樽たちの中ではマスカット・ベーリーAが眠っている。

マスカット・ベーリーAを世に送り出したのは、日本のワインぶどうの父 川上善兵衛。
翁が開設したのが「岩の原葡萄園」であり、この品種のふるさとでもある。
華やかな香りと深みある "マスカット・ベーリーA" をちょっとだけ(香りだけ)愉しむ。
頸城平野を見下ろす斜面では紫の房が夏の日に煌めいて、収穫の時を待っているのだ。

パープルタウン / 八神純子 1980
     



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