喜多方駅前から線路沿いに市道を西へ歩くこと500m、緩やかに右カーブする遊歩道の入口が現れる。
んっ、これは廃線跡の匂いがぷんぷんする。
果たせるかな、遊歩道は薄紅の花糸を垂らした「しだれ桜並木」となって、さらに先へと延びている。
喜多方から熱塩まで結んでいた国鉄日中線は昭和59年、国鉄再建法により全線廃線になった。
廃線跡は遊歩道として整備され、約3キロにわたって約1000本のシダレザクラが咲き誇る名所となっている。
日照量の違いだろうか、並木の片方は五分咲き、もう片方は蕾から三分咲きってところだ。
それでも所々に満開となった早熟な枝垂れが、訪れた者の目を愉しませてくれる。
もう1週間もすれば、満開となった薄紅のトンネルをくぐって漫ろ歩きできるだろうか。
「しだれ桜並木」の中間地点には、往時混合列車を牽いていたC11型機関車が佇んでいた。
春待気流 / 長渕剛 1980