新緑の切り通しを抜け、小さなアップダウンを繰り返して、9000系が多摩湖まで登ってきた。
この日はベルーナドームでセ・パ交流戦があるから、午前中から大忙しのレモンイエローの4両編成だ。
国分寺駅の北口を塞ぐようにショッピングセンターがある。以前降りた時はなかったかな。
正面にバス乗り場を配して、あたかもこのミーツ国分寺が駅ビルの様なのだ。
多摩湖線の国分寺駅は単式ホーム、しかも10分間隔のダイヤだから、電車は忙しなく折り返していく。
だからひとつ目の一橋学園で必ず上り下りが交換する。ほら国分寺ゆきのレモンイエローがやって来た。
萩山駅では拝島線と連絡するのだけれど、2つの路線は駅の構内でX字に平面交差する。
多摩湖ゆきのレモンイエローは、萩山駅を出ると3回の転線を繰り返す。吊り革に掴まりましょう。
萩山から先は、保谷狭山自然公園自転車道線(水道道路)に沿って一直線に、そして緩やかに登っていく。
都道5号線(青梅街道)を跨いで武蔵大和駅前、小さな男の子が嬉しそうにレモンイエローを見上げて指を差す。
中天の陽に射られながら、自転車道路をきた方向にとぼとぼと戻る。汗が噴き出す15分だ。
めざす「手打ちうどん きくや」は昔ながらの町のうどん屋さん、ほら母子でお昼ご飯にやって来た。
おひとり様は肩を寄せ合って狭いカウンターで。
ほどなく「肉汁・天付L」が登場、これが基本ね。あとは玉の分だけLL,3L,4Lと増えていく。
生姜、刻みネギ、山葵と薬味で味変しながら、甘めの肉汁にコシのあるうどんが美味しい。
満腹を抱えて乗る後続の9000系はレジェンドブルー、これ埼玉西武ライオンズの球団色なのだそうだ。
武蔵大和からはまるで山岳鉄道のよう、右に左にきついカーブと勾配が続く。
車輪とレールが上げるキーン、キーンという音を聞きながら、左手に堰堤が見えてくると終点の多摩湖だ。
多くの乗客はそのまま山口線に乗り換えてベルーナドームをめざすから、
多摩湖駅の駅舎はあくまでも静かな別荘地の駅の雰囲気を醸す。いかにも西武の駅と街並みなのだ。
東村山 庭先ゃ多摩湖 狭山茶どころ 情が厚い♪ って子どもの頃歌いましたよね。
堰堤に登って西を望むと、鬱蒼とした森を湖面が鋭利に切り裂いて、遠くに富士が霞んでいる。
唯一銀の円盤を除いては人工物は視界になく、なんだか遠くに旅したような錯覚に陥りますね。
振り返ると新宿の副都心まで見渡せるのに不思議な気分です。
堰堤を南に歩いていくと見えてくるのが、日本で一番美しいと言われる第一取水塔、第二取水塔。
レンガ造りの壁面とドーム屋根、ネオルネッサンス様式の取水塔が湖面に映って、欧州の景色の様でもある。
お嬢さん、山口線はホーム前寄りですよ。案外の乗換案内は聞いていないものですね。
ライオンズファンを吐き出したレジェンドブルーで戻りましょう。昼呑みは国分寺で。
ここは国分寺だけど「名古屋」って、赤い提灯と暖簾がちょっと怪しげな地下空間に誘っている。
狭い階段を降りて引き戸を開けると、煙草の匂いと喧騒が流れ出す。
えっこんなに呑んでいるの、昼間っから、ご同輩ばかりか若い女性連れやカップルもいる。
先ずは生ビールと小手調べの “ポテトサラダ” を。可もなく不可もなく、かなぁ。
それでもお通しの “大豆と昆布の煮物” は泣かせるね。
それにしてもホールの娘たちは愛想がない。まったく。笑顔は別料金ってことか。合理的ですね。
人気メニューらしい “まぐろこぼれ盛り”、これは美味い。いい部位の端っこを上手に盛り付けているんだね。
となると日本酒なんだけど、“高尾の天狗” は柔らかい旨口でスッキリした喉ごしの純米吟醸。
この酒、酒蔵が絶えてしまった八王子の米を諏訪の「舞姫」に送って醸しているプロジェクトもの。
いずれ産学行政連携で八王子に酒蔵を復活させるのだとか。夢がありますね。
この店は鯨がラインナップにあって、呑み人は “竜田揚げ” を択ぶ。
すっきりとレモンスライスを落とした “チューハイ” を合わせる。タイムサービスで150円なのだ。
昭和な給食にはときおり鯨の竜田揚げが出て、ボクたちの人気メニューだった。懐かしいね。
さてとほろ酔いで地上に戻っても、夏至へと向かうこの頃はまだ陽が高い。
多摩湖線といえば、夕方になっても10分毎、生真面目に国分寺駅を折り返してゆくのだ。
西武鉄道 多摩湖線 国分寺~多摩湖 9.2km 完乗
<40年前に街で流れたJ-POP>
雨音はショパンの調べ / 小林麻美 1984
うどんは武蔵野うどんですかね~👀
相変わらず店選びは絶好調ですね!😉
名古屋、お寄りになりましたか。
ZUYAさんのチェックには緊張する私です。
そうか殿ヶ谷戸庭園がありましたね。
紫陽花は咲いているのでしょうか。
今度、国分寺線を乗るときに訪ねてみます。
コメント、ありがとうございます。