旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

小浜線を完乗! 「気比そばと早瀬浦と舞鶴赤れんが倉庫と」

2022-11-12 | 呑み鉄放浪記

風の音しかしない静かな駅、列車交換のために2両の125系が少々長めの停車をしている。
南から延びてきた尾根が何本かそのまま海に落ち込んでいて、その合間から青い日本海が覗いているね。

秋の乗り放題パス(連続する3日間)を握りしめて、北陸新幹線工事の槌音響く敦賀までやってきた。
小一時間の待ち合わせ、先ずは佐渡酒造先生に手を合わせる。今回も美味しいお酒と巡り会えますように。

かつてはホームにあったのかな?気比そばあまので “おろしそば” をいただく。ちょっと辛味が美味しい。
「これは “越前そば” ですか?」と呑み人、「いいえ、ここは “若狭” ですからね」と笑顔でお姐さん。
やっ、やっちまった。でも旅人の無知は時としてなごみを生むね。

漸く1番線に932Mが入線してきた。このブルーフェイスの2両編成で小浜線をゆく。
ローカル専用の125系は単行できるように両側に運転台、後から無理やり設置した感じのトイレがあって、
そのせいか座席と窓の位置が合ってなかったり、なんだか中途半端な作りなのだ。

河口が近いというのに川の流れが急だ。美浜駅に到着する前に海が覗いた。秋の日本海が青く穏やかだ。

列車交換する十村駅、ボックスをシェアしていた高校生がたった一人降りていった。静かに時間が流れている。
背景の山並みは福井と滋賀の県境の山、鯖街道もこの山の連なりを越えてゆくのだ。

カポっとワンカップを開ける。独りになったからね。“早瀬浦” は美浜の三宅彦右衛門酒造の酒だ。
しっかりした味わいは、漁師たちの酒って感じだろうか。呑みごたえがあるね。

沿線の中心駅小浜に途中下車してみる。
八ヶ寺をめぐるか、蘇洞門めぐりの遊覧船に乗るか、いずれかが小浜観光の常道だろうがその時間はない。
次の電車までは1時間半、小浜の古い町並みを歩いてみようと思う。

小浜には、人魚の肉を口にして、若く美しいまま不老不死になった八百比丘尼の伝承が伝わる。
マーメイドテラスは、美と長寿を願うモニュメントとして、二人の人魚が小浜湾に臨んでいる。 

狭い路地にベンガラ格子や出格子の家が軒を連ねるのは、小浜西組の三丁町(さんちょうまち)だ。
まるで京都の路地に迷い込んだような気分になるね。家々に灯がともる時刻に歩いてみたいものだ。

この町並みを少々外れるとフォトジェニックな庚申堂がある。
ひっそりとしたお堂に色とりどりの「身代わり猿」が吊り下げられている。飛騨地方のさるぼぼに似ているね。

後続の934Mは16:55発、当然に高校生中学生でいっぱいになる。この状態は首都圏の通勤時間帯と変わらない。

小浜湾に夜が訪れる。マジックアワーが過ぎて半島や小さな島々が漆黒に沈んでいく。もう少し見ていたい。

ブルーフェイスの2両編成は敦賀から2時間、若狭湾とともに緩やかに弧を描いて舞鶴に到着する。
一本の鉄路ではあるけれど、ここから西は舞鶴線として別の運用となる。ここが小浜線の旅の終わりだ。
真っ暗なのを承知で舞鶴港まで足を伸ばす。夜の闇に浮かび上がった「赤れんが倉庫」が美しく幻想的だ。

小浜線 敦賀〜東舞鶴 84.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
miss you / Hi Fi Set 1982



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2 コメント

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Unknown (呑み人)
2022-11-13 20:31:22
トントンからし様
こんばんは。過分なコメントをいただき恐縮です。
乗って、呑んで、感じるまま綴っております。
時折でも、お訪ねいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
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Unknown (とんとんからし)
2022-11-13 17:37:18
初めてコメントいたします
いつも、とてもステキな文章ですね!
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