旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

花時計

2018-06-26 | 日記・エッセイ・コラム

 17才の夏。ちょうど梅雨があけた頃、ボクたちは夜更けの公園にいた。
文化祭に上映する自主製作映画が完成した日の夜だった。
徹夜で8mmフィルムと格闘した日々。試写を終えた17才たちはHighだった。
缶ビールに缶チューハイ、ワンカップ、あの頃はコインを入れさえすれば酒が買えた。
花時計の小山に上ってプルリングを引いた。
映画のこと、音楽のこと、単車のこと、進路のこと、語るにつれ缶が空いた。
やがて地球が緩やかに回りはじめる。足を投げだして、星空を見上げたタイミングだ。
怒号とともに何条かの光に照らされたボクは、屈強な公権力に羽交い締めにされた。
赤いランプに浮かび上がった白い建物で、逃げ遅れた何人かで説教された。
「気を付けて帰りなさい」と送りだされたボクらは、自転車に跨ったはずだ。
やはり大らかな時代だった。仲間が集まるとこの話題で懐かしい "あの日" に帰る。


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