旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

休日はローカル線で 越前大野城と花垣吟生と九頭竜湖

2013-08-24 | にいがた単身赴任始末記

 越美北線の起点は福井のひとつ先越前花堂で、ここで北陸本線から分岐している。
福井始発の一番列車は途中の越前大野止まりだ。
だから本物の "鉄っちゃん" は乗らないらしい。

帰省の妙齢の女性がひとり、一条谷朝倉氏遺跡を歩く歴史マニアの男性がふたり。
日本百名山のひとつ荒島岳に登る男性、そしてボクの5名を乗せて単行気動車が走り出す。

信長の武将金森長近が1580年に築城した越前大野城、今日も情緒豊かな町が息づいている。

この町は水が豊かだ。あちらこちらに清水が湧き生活を潤し、日本名水百選にも選ばれる。
夏休みの子どもたちが朝から歓声をあげて水場に遊ぶ様子が微笑ましい。

石畳を敷いた七間通りには朝市が立ち、古い町家をそのままに商いをしている。
町並みの主役は酒蔵が4軒、味噌・醤油蔵が3軒、古い煙突を立て杉玉を下げている。

城下町の東の防御壁としての寺町通りは、時の流れを感じながらゆったりと散策できる。
16ケ寺の御朱印を収集できるので楽しい散策になりそうだ。

町中には多くの無料観光駐車場があり、清潔なトイレも配している。
大型観光バスが駐まる駐車場も2箇所、それぞれ商工会議所と観光協会が張り付く。
人口僅か4万人の小さな市が交流人口を増やそうと頑張っている様子を拝見した。

駅に戻ると、終点の九頭竜湖まで行く単行気動車が入線している。
こんどは地元の方に加えて少なからぬ鉄ちゃんを乗せて座席はほぼ埋まっている。

仕込んだ南部酒造場の夢雫氷温囲い "花垣吟生" は、フルーティーでサラッとした口当。
酔い痴れるうちに列車は終点の九頭竜湖駅に到着する。

さて、写真を撮っている時に事件が起きる。列車が身震いひとつ動き出した。
しまった。酔いと居眠りで、完全に折り返しの発車時間を間違えていた。

次の列車は4時間後、荷物は列車の中。10分後にタクシーで列車を追いかける。
事情を聞いた運転手はベッテル並の追い越しをかける。それでも追いつかない。

結局追いついたのは終点福井の3つ手前の無人駅。ここまで49km。
タクシー代幾らかって?言いません。大人の遊びですから。



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