つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

「天の使い」・・・

2006-11-06 | Weblog
 殺伐とした事件・事故の多い昨今、久しぶりに心温まる記事を目にした。

 封筒の差出人名は「天の使い」、栃木県鹿沼市社会福祉協議会に、83年1月から毎月、「春めいてきましたね」、「係の人も頑張って下さい」とつづられた手紙と、1000円札1枚が届くようになり、それが今年8月で278回を数えたという。この「天の使い」の寄付金は、障害者や高齢者のためのボランティア援助金や、中越地震の被災地への支援金にもなったそうである。
 10月半ば、「天の使い」が初めて事務局に姿を現した。同市の小林美恵子さん(74)で、300回目までの残り22回分、2万2000円をそっと差し出したそうである。
 経営する理髪店を改築した時の喜びから、「社会に恩返しがしたい」と始めたが、夫の秀雄さん(76)にも秘密だった。が、約1年後に打ち明けると「ぜひ続けよう」と言ってくれ、以来、二人三脚で続けてきたという。
 だが、1999年に後継ぎの長男を白血病で失い、昨年には秀雄さんも手足の神経障害で入院し、4代続いた理髪店を閉店せざるを得なくなった。「200回目の直前に息子が亡くなり、『もうやめる』と言った時、夫は『せっかく続けてきたんじゃないか』と励ましてくれた。やめるにしても300回まで続ければ夫も喜んでくれる」と。だが、300回まであと22回、さらに2年続ける自信はなく、その額の全納を決めた。が、それには名乗り出るしかなかったというわけで、「天の使い」の主が判明したのである。事務局から手渡された300回分の預託証には、秀雄さんの名前も記してもらった。秀雄さんは「やってきたのはお前だろ」と、照れながら喜んでくれたという。

 たかが1000円といえど、24年間も続けるということは並大抵の気持ちではできない。先日ブログに書いた心臓移植を待つ朱理ちゃんへの募金活動にも、心ない中傷や非難が浴びせられているという世知辛い世の中で、ただ病床の夫を励ますために寄付を続けてきたという、この夫婦のさりげない善意の気持ちに感動した。
 長男を失うという逆縁、夫の入院、家業の閉店と、次々と苦境に立たされながらも寄付をし続けたことは、誰にもそうそう真似のできることではない。それだけに、300回達成のために、不本意ではあるが氏名を明かさなければならなくなったことを、きっと残念に思っているだろう。
 今時、わが身より人様のために、こういう奥ゆかしい、崇高な気持ちの持ち主がまだいたのかと、信じられない気持ちだ。たかが僅かの募金協力をしたくらいでブログに書いたりする私の行為など、いかにも偽善めいたものであるかを知らされ、このご夫婦の温かい人柄が感じられる話題に接して、謙虚さ、奥ゆかしさを見習うべきと自戒している。
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2 コメント

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Unknown (関西のヤングばーば)
2006-11-08 09:38:55
 すばらしいご夫婦ですね。心にしみます。
このような人がおられるというのが、私の心をホット温かくしてくれます。
 たくさんすればよいと言う問題ではなく、長く続けてこられたことが、誰にでもできることではないと思います。
このご夫婦にきっといいことがありますよね。
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Unknown (オールドレディー)
2006-11-08 10:37:45
 本当に、今の世に珍しいこのご夫婦、こういう夫婦なら共に白髪になるまで添い遂げたいと思うでしょうね。
 お互いが寄り添って生きてゆく、これが本当の夫婦かな。うらやましい!(^^)!。
 
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