1960年代のバラエティー番組といえば、1961年の『スチャラカ社員』、そして、1962年の『てなもんや三度笠』、どちらもおもしろかったなあ。『スチャラカ社員』は日曜日のお昼、『てなもんや三度笠』は日曜日の夕方6時からの放送だったようだが、その頃、テレビがある家は数えるほどしかなく、テレビが見たければ裕福なご近所さんと仲良しになるか、喫茶店や食堂などへ行って見るしかない時代であった。もちろん貧乏なわが家にテレビなどあろうはずがないのに、どこで見たのか記憶は定かではないが、たしかに見た記憶があるのだ。
『スチャラカ社員』は現代劇で、藤田まことも白木みのるも若かった。『てなもんや三度笠』は、藤田まこと扮する「あんかけの時次郎」が、クラッカーの箱を手に持って「おれがこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」と、水戸黄門の印籠のように振りかざすあのCMのフレーズははっきりと覚えている。また、「耳の穴から指つっこんで、奥歯ガタガタいわせるぞ」のギャグもあり、あの頃からか、“馬面(うまづら)”という言葉がはやったような気もするのである。
あのCMで有名になった“前田のクラッカー”のメーカー・前田製菓株式会社は、大正7年創業のクラッカー・ビスケットを専門とする老舗の製菓会社で、現在でも大阪で営業を続けているそうである。あのクラッカーはまだ製造されているのだろうか、今度スーパーへ行ったら探してみよう。
藤田まことは本当に芸達者で、喜劇、時代劇、現代劇となんでもこなし、特に、シリアスな役をやらせると大人の“男の魅力”がプンプン、とてもすてきな役者であった。1968年に『てなもんや三度笠』が終ってからは、しばらくは顔が見えなかったが、次に登場したのが、1973年の必殺シリーズ第2弾『必殺仕置人』で、主役となったのは第4弾からだという。その頃はわが家にもテレビがあり、毎週楽しみに見たものである。
日常は、姑と妻にいびられっぱなしの頭の上がらぬ婿養子、奉行所では上役からも同僚からも“昼あんどん”とバカにされる下っ端同心。だが、ひとたび裏の仕事となると、顔つきまでガラリと変わって悪人を斬り捨てるすごい男。その変身振りが中年のおじさんたちのうっぷん晴らしになったのか大好評で、「主水」といえば藤田まことの代名詞となった。
一昨年か、テレ朝で毎朝10時から再放送されたが、時代風刺が現代にも通じていて、40年以上も昔のドラマなのに少しも違和感がなかった。しかし、東山紀之主演の『必殺仕事人2009』の「主水」はおとなしすぎておもしろくなかったので途中から見るのを止めた。
それよりも私は、1988年から始まった池波正太郎原作の『剣客商売』シリーズがとても好きだった。つい最近もスペシャル番組が放送されたが、老成した藤田まことの魅力がいっぱいの傑作で、品格ある剣客「秋山小兵衛」を見事に演じていた。また、老中・田沼意次役の平幹二郎とのからみも大物2人の重厚さが光って、しっとりとした大人向けのいいドラマだった。
現代劇では、1980年から始まった和久峻三原作の『京都殺人案内』シリーズ、1988年から18年続いた『はぐれ刑事純情派』シリーズがある。どちらも今までの刑事ドラマと違って、アクションより人情味あるストーリーが特徴で、ほろっとさせられるドラマだった。『京都殺人案内』は、2010年2月27日放送予定の第32話で終了となるそうだ。昨今、この年代で主役が張れるのは藤田まことさん以外にいるだろうかと考えたが、誰も思い浮かばない。本当に惜しい役者であった。
享年76歳、誠にあっけない幕引きだった。仕事に没頭し、「家族といることが短かったから」と生前に希望し、関係者の弔問を辞退。19日の葬儀・告別式も近親者のみで行われたという。「老兵は消え行くのみ」、そんな最期であったように思う。
『スチャラカ社員』は現代劇で、藤田まことも白木みのるも若かった。『てなもんや三度笠』は、藤田まこと扮する「あんかけの時次郎」が、クラッカーの箱を手に持って「おれがこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」と、水戸黄門の印籠のように振りかざすあのCMのフレーズははっきりと覚えている。また、「耳の穴から指つっこんで、奥歯ガタガタいわせるぞ」のギャグもあり、あの頃からか、“馬面(うまづら)”という言葉がはやったような気もするのである。
あのCMで有名になった“前田のクラッカー”のメーカー・前田製菓株式会社は、大正7年創業のクラッカー・ビスケットを専門とする老舗の製菓会社で、現在でも大阪で営業を続けているそうである。あのクラッカーはまだ製造されているのだろうか、今度スーパーへ行ったら探してみよう。
藤田まことは本当に芸達者で、喜劇、時代劇、現代劇となんでもこなし、特に、シリアスな役をやらせると大人の“男の魅力”がプンプン、とてもすてきな役者であった。1968年に『てなもんや三度笠』が終ってからは、しばらくは顔が見えなかったが、次に登場したのが、1973年の必殺シリーズ第2弾『必殺仕置人』で、主役となったのは第4弾からだという。その頃はわが家にもテレビがあり、毎週楽しみに見たものである。
日常は、姑と妻にいびられっぱなしの頭の上がらぬ婿養子、奉行所では上役からも同僚からも“昼あんどん”とバカにされる下っ端同心。だが、ひとたび裏の仕事となると、顔つきまでガラリと変わって悪人を斬り捨てるすごい男。その変身振りが中年のおじさんたちのうっぷん晴らしになったのか大好評で、「主水」といえば藤田まことの代名詞となった。
一昨年か、テレ朝で毎朝10時から再放送されたが、時代風刺が現代にも通じていて、40年以上も昔のドラマなのに少しも違和感がなかった。しかし、東山紀之主演の『必殺仕事人2009』の「主水」はおとなしすぎておもしろくなかったので途中から見るのを止めた。
それよりも私は、1988年から始まった池波正太郎原作の『剣客商売』シリーズがとても好きだった。つい最近もスペシャル番組が放送されたが、老成した藤田まことの魅力がいっぱいの傑作で、品格ある剣客「秋山小兵衛」を見事に演じていた。また、老中・田沼意次役の平幹二郎とのからみも大物2人の重厚さが光って、しっとりとした大人向けのいいドラマだった。
現代劇では、1980年から始まった和久峻三原作の『京都殺人案内』シリーズ、1988年から18年続いた『はぐれ刑事純情派』シリーズがある。どちらも今までの刑事ドラマと違って、アクションより人情味あるストーリーが特徴で、ほろっとさせられるドラマだった。『京都殺人案内』は、2010年2月27日放送予定の第32話で終了となるそうだ。昨今、この年代で主役が張れるのは藤田まことさん以外にいるだろうかと考えたが、誰も思い浮かばない。本当に惜しい役者であった。
享年76歳、誠にあっけない幕引きだった。仕事に没頭し、「家族といることが短かったから」と生前に希望し、関係者の弔問を辞退。19日の葬儀・告別式も近親者のみで行われたという。「老兵は消え行くのみ」、そんな最期であったように思う。
生涯役者、いくら自分でそのつもりでも人気が無ければ早くに消えて行ったでしょう。
自分のやりたいことを死ぬまで続け、ぽっくりと亡くなって皆に惜しまれる。
うらやましくもあります。
こういう幅広い役がこなせる役者っていませんね。
頼りがいのある優しいお父さんというイメージがあって、どのドラマを見てもおもしろかったです。
今、各局で追悼番組をやっていますが、今晩はBSで「明日への遺言」が放送されます。
お元気の様ですね
最近は時代を共に共存した芸能人の方々がお亡くなりになっていくのは、本当に寂しい思いがします
そして自分の年齢に重ね合わせてその時代を鮮明に実感します
政局も又混乱しだしたし、早く言えばもう我々の時代は着々と終わろうとしていますね~
どんな時代になるのか
私もパソコンに向っていてもワクワクしなくなり
アナログの時代が懐かしく思ってしまいます
デジタル時代になって何処か社会に自信をなくす中高年…わたしだけ?
毎日のぞいていますが、なかなか更新がないようで…。
人さまの死は、自分にも他人事ではない年齢になったことを実感させられます。
昨今のテレビはまったく見る気もしないのに、いい役者がいなくなると、ますます興味を失います。
私はもっぱらBS民放の韓流ドラマにはまって、これで退屈しないですんでいます。
先日わが市の市長選挙があり、出口調査に引っかかったとき、支持する政党はという問いに、「支持する政党なし」と答えてしまいました。
だんだんと民主党政治に興味がなくなりつつあります。困りますよね。
友人から聞いた話ですが、居合い抜きの先生が見て、時代劇俳優の中で、一番刀を「重いもの」と感じさせる使い方をしているのは藤田まことさんだそうです。
実際、刀自身の重量を上手く使って相手を切るのが実戦の剣術だそうで、そこまで芝居で表現出来る藤田さんの役者としての凄さを感じさせる話だと思いました。
どんな役をやってもさまになっていましたね。
「剣客商売」では品格を感じさせる秋山小兵衛役が見事でした。
もうこういう器用な役者は現れることはないかもしれませんね。